宮崎大学医学部付属病院 卒後臨床研修センター

卒後センター研修医・教員ブログ

2015年08月28日更新

卒後センター特別企画『ソンクラ研修報告会&2年次研修医レクチャー』開催!

 8月27日(木)17時より、宮崎大学卒後臨床研修センターにて、卒後センター特別企画『ソンクラ研修報告会&2年次研修医レクチャー』を開催しました。

 第Ⅰ部は、8月にタイ王国のソンクラ大学(Prince of Songkla University: PSU)で海外医療研修を行った2年次研修医の髙村一成先生とのき田一旭先生による研修報告でした。PSUとは宮崎大学の卒後臨床研修においても10年前から連携があり、これまで約20名の研修医が1か月間の海外医療研修でお世話になっています。今回のお二人は、救急、小児科、地域医療・家庭医療の3領域を経験されてきました。お二人がPSUでの研修風景をたくさんの写真を使って詳細に説明して下さり、実際の研修の様子、特に日本との医療体制や医療事情の違いがよく分かる報告でした。お二人とも出発前と比べてぐんっと逞しくなったなあと、プレゼンを聞きながら感慨深く思ったところです。この8月はタイの首都バンコクで事件もあり、安全確保が最も懸念されていましたが、PSUのある南部都市ハジャイは比較的落ち着いていたとの連絡をお二人から定期的にいただいていました。無事に、そして元気に戻ってきていただき、本当にホッとしました。この研修をコーディネートして下さった本学国際交流室担当の坂口慶子様、卒後センター教員の中島先生、宮内先生、PSUに指導医として帯同して下さった坪内先生、本当にありがとうございました。

 第Ⅱ部は、2年次研修医による研修レクチャーで、吉留綾先生からは「呼吸困難の鑑別」、松尾倫子先生からは「58歳女性、腰痛の症例」というテーマでの症例検討でした。お二人とも、プレゼンター兼進行係として、少しずつ臨床情報を提示しながら、First impression、欲しい追加情報、予想される所見、考えられる鑑別診断等を、非常に上手いタイミングで参加していた同僚あるいは1年次研修医に振っていき、それは見事な全体統括でした。もともとのお二人のpotentialがあってのことですが、それぞれの研修ローテーション先でこういったトレーニングの機会もいただいているようで、指導の先生方にも改めて感謝するばかりです。最終診断は、吉留先生の症例が「緊張性気胸」、松尾先生の症例が「化膿性仙腸関節炎」でした。前者は皆よく知っているがいざ目の前にすると診断に苦慮する症例(実際、この症例でも心疾患・大動脈疾患の既往がしっかりあり、どうしてもその情報に引っ張られるという、いわゆるanchoring biasやconfirmation biasに陥りやすい症例でした)、後者は基礎疾患のない中年女性の急性発症に近い腰痛で、ややもすると単なる急性腰痛症と考えがちなパターンながら、実は見逃してはならない重篤な病態に陥っていた症例、といずれも教訓的な大変勉強になる症例でした。

 やはり研修医勉強会は、指導医による一方向的レクチャーだけでなく、研修医が自ら教え学ぶ機会になるよう、私たちがもっと積極的に企画・運営しなければならないな、と改めて感じさせられたとても充実した勉強会でした。髙村先生、のき田先生、吉留先生、松尾先生、本当にありがとうございました。ぜひこの流れを続けていきましょう。


(小松)
 


 


 

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