宮崎大学医学部付属病院 卒後臨床研修センター

卒後センター研修医・教員ブログ

2020年07月28日更新

できない事を達成するためには

ブログの原稿依頼を頂いたので、また投稿させて頂いた。

文章を書くのが苦手で、実は、依頼を頂いてから既に1カ月以上経つ。どれ位苦手かというと、例えば小学生の時、作文で400字詰め原稿用紙何枚という指定があった時に、指定の枚数はおろか、1枚すら満たす事ができず、字数を稼ぐのに、意味のない段落変えを行い、その段落の最後の数文字と次の段落の1字分を浮かせたりした。苦手さは、今も小学生の時と同じである。そして作文に対する気持ちも同じである。

前置きはこれ位にして、今回のブログの本題に入りたい。最近思っている事を書いてみたいと思う。それは「ある物事について、同じ事をやっていると、いつまで経っても同じ事しかできない。」という事である。私の趣味はクワガタムシ採集飼育である。子供の時と比べて機動力を得て、採れるムシの数は格段に上がった。しかし採取できる種類に関しては、子供の時と、ほぼ同じで何ら変りがない。私の採取法は、主に灯火採取やムシの好む樹木を探して、その木に集まっているムシを採取するという方法である。クワガタは、亜種まで含めると、日本には60種弱もいる。当然、種類によって好む樹種や生息形態も異なる。「採集法が同じなら、その採取法に合った生息形態をとる種類にしか出会えず、いつまで経っても同じ種類しか採れないのは当然ではないか。」という事を実感している。

実は、子供の頃に、この事に薄っすらと気づいて、違った採取法を試みた事があった。朽木採取である。朽木採取は、クワガタが好んで潜む朽木を探して、朽木中のクワガタを得る方法だ。朽木採取を初めて行った時、確かに数的にも良く採れ、このまま行くと今までに採ったことのない種類にも手が届くのではと子供ながらに採取を進めながら思った記憶がある。しかし雰囲気の良い朽木を見つけ、「ここには絶対おる。よーし。」とばかりに採取にかかった時の事であった。朽木の中に何とも言えない「ヌルー」とした手応えを感じた。嫌な予感がしたが、さらに掘り進めると、「ギャー」。ナメクジである。しかも当時、地元ではヤマナメクジと言われていた超巨大ナメクジである。正式和名は分からないが、いや正確には悍まし過ぎて調べる事すらできないので分からないが、体長30cm位になる世界最大級のナメクジである。私は、物心付いた時から、あの外観と触ると取れないネバからナメクジが大の苦手で、見ただけでも、まさに「身の毛もよだつ。」という風であった。通常サイズのナメクジでも、この様なのに、30cm級となるとそれはもう卒倒寸前ものである。勇気のある方は、このナメクジをネットで検索して頂きたい。自分には画像を見るのも恐ろしくて検索すらできない。

話が少し外れたが、朽木にはルリクワガタ、大木のウロには、オオクワガタがいる。しかし、これらの場所には、高率でナメクジもいる。大木のウロや、朽木を攻めるか。これには、ヤマナメクジを乗り換える勇気と覚悟が必要である。

できなかった事ができるようになるという事は、クワガタの採取だけに限った話ではなく仕事にも通じる事ではないかと思う。

今できない仕事、苦手な仕事を、見方を変え、情報を更新入手し、またこれらを実現するために、その分野に熱意をもってあたる。できない事を克服するためには、こういった事が必要かもしれない。

自分の弱点を乗り越え、今までに採取したことのない種類のクワガタを採取できたら、また報告させて頂こうと思う。

(卒後臨床研修センター 越田)

センターひろば

卒後臨床研修センター通信vol.44

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