宮崎大学医学部付属病院 卒後臨床研修センター

卒後センター研修医・教員ブログ

2015年05月07日更新

Off the job training (OJT)とは 

宮崎大学の研修医および医学生の皆さま,そして宮崎大学での研修に興味を持ってくださっている皆さまへ。種々のOJTを経験し,それらの運営および指導側も経験してきた私からのメッセージです。
この手のOJTが,全国各地で流行り始めたのは2004年頃で,心肺蘇生法にまつわる内容のものがほとんどでした。心肺蘇生法に関しては国際的なガイドラインの統一の動きが拍車をかけて,大小あらゆる団体が講習会を開いていましたが,米国心臓協会(AHA)が開催する講習会の展開規模があまりにも大きく,今もなお国際的に名の知れた講習会として飛び抜けて存在しています。
各種OJTのほとんんどに共通する特徴は,講習内容と到達目標が固定されていて,ただ「受講した」というものではなく,講習の最後に評価というステップを設けることで「修得した」という位置づけを行っていることです。もうひとつ,受講料の相場がそれなりで,受講する側には負担が大きいです。しかし,間違いなくその負担分の真剣さが生じます。自己投資と思ってください。
心肺蘇生法も,基礎的なものから小児や二次救命などアドバンスなものまで,講習会の種類も多岐にわたります。それらにやみくもに手を出すのも悪くはないのですが,自身の専門医制度に必須とされている種類の心肺蘇生講習会を履修するのがオススメです。
救急科をはじめ多くの専門科では,ICLSでもAHA BLS→AHA ACLSでも構いません。いずれかを専門医試験の要件としていることが多いです。各自ご確認ください。麻酔科は,今のところAHA BLSそしてAHA ACLSに限定しています。内科は,ICLS→JMECCです。ちなみに,ICLSには試験はありません。JMECCは内科学会会員のみが受講出来ます。
一度受講したら,臨床の現場で必要とされるときに完璧に行動できるでしょうか?それは困難かも知れません。その場のチームの一員として役に立つ,それならできるでしょう。そうして慣れて行くに従って完璧な行動に近づけていけば良いと思います。いち早く慣れたいなら,これまで述べた各種OJTの指導側に立つことです。人に教える経験は自分を高める良い手法です。

ここでは,書き尽くせませんが,他にも,基本的な,病院前処置,救急診療,外傷診療,熱傷対応,集中治療,新生児蘇生,産科救急,災害対応,緩和ケア,など,学生の時分に学びきれなかったけど,今後どの科に進んでも,中小病院の当直などで遭遇するようなケースに役立つ内容のものばかりです。学生も研修医も時間と費用と意欲がありましたら,ぜひOJTを満喫してください。ネットで掘り出しきれない情報に関しては,メール(tarohk@mac.com)でも何でも遠慮無く河野におたずねください。お待ちしております。


河野

センターひろば

卒後臨床研修センター通信vol.44

2023年11月発行!大学病院ならではの研修医体験記、研修医の学会受賞など、卒後臨床の今をお伝えします!

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