宮崎大学医学部付属病院 卒後臨床研修センター

卒後センター研修医・教員ブログ

2021年09月17日更新

趣味視点の上達論

研修スタートから5ヶ月ちょっとが経過しました。宮崎の気候や人柄の良さに癒されつつ、少しは仕事にも慣れてきたかなぁ…いやいや、もっと頑張らねば…と日々がむしゃらに格闘しながら充実した研修生活を過ごしています。

今まで回らせて頂いた全ての科で素晴らしい経験をさせて頂きましたが、特に印象深いのは4〜6月の宮崎市郡医師会病院での救急科研修です。個人的に扱う疾患の緊急度や忙しさも含めて研修の山場は救急だ!と考えており、ある程度仕事に慣れた年度後半がいいな〜とのんきに構え、送られてきたローテート表を見て絶句した事を今でも覚えています(笑)  国試後にほぼ何もせず、ただでさえ手持ちの少ない医学知識が枯渇し切った状態の自分…この状態で救急研修に臨むのは、個人的にはレベル5くらいのピ○チュウでチャンピオン戦に臨むようなものでした。

そんな不安だらけのスタートでしたが、救急科研修は先生方や同期に恵まれとても充実した3ヶ月でした。しかし、やはり自分の力不足を感じる場面は多々あり、特に覚えたはずの知識が現場で出てこない時にそれを実感しました。当たり前ですが、5択の問題に少しの知識と鉛筆転がしを駆使して正解できる事と、現場で素早く適切に行動できる事はぜんぜん違います。その度に先生方が皆優しく分かりやすく教えて下さり、救急研修がここの先生方で本当に良かったと思うと同時に、(あぁ、自分はまだ医者ではなく、国試の過去問にだけ詳しい医者っぽいやつに過ぎないんだな…)と実感したものでした。

学んだ知識を使いこなせるものにする為、いま特に心がけているのは「とにかく経験、実践する事」です。実際に一度でも患者さんを受け持った経験から得た知識は、数回見ただけの理論や表よりずっと頭に残るものだと研修が始まってから強く実感しています。

一応他にもキッカケがあり、その1つがポ○モンでした。お気付きかもしれませんが僕のほぼ唯一の趣味はポケ○ンのネット対戦で、これに関する知識だけはおそらく脊髄反射レベルで染み付いている気がします。せっかくなので布教も兼ねて何をしているのか紹介すると、まず性格や個体値を含めた孵化厳選、そして仮想敵を定めて510ある努力値をHABCDSに振り分け、自分に合うパーティ(特に対面構築)を組んでひたすら対戦…呪文のような言葉が並んでしまい申し訳ないですが、要するに「膨大な数の育成や対戦を行い、勝ち負けを繰り返しつつ経験則を積み重ねて知識を得る」事をやってました。特に負けた試合ほど強く記憶に刻まれるなんて事も多かった気がします。もちろん趣味のゲームと医学を同列に語るべきでないのは重々承知ですが、「見るだけより色々やってみた方がより成長できる」という点だけは少し似ているのかな…と個人的には思っています。

(書きながらふと気になってレポートを見返すと、去年だけで1000時間以上をポ○モンに費やしていました。どう考えてもやり過ぎです。その時間で勉強したら良かったのでは…と思った賢明な読者の皆さん、僕も100%そう思います。)

さて話を戻しますと、経験した事、特に失敗した内容ほど頭に残りやすいのは確かにそうなのですが、大前提として医療現場で失敗の推奨はあり得ない事です。ただ、全力を尽くした上でそれでも経過が思わしくなかった症例、もっと突き詰めてやれたのではという反省はこの先も出てくると思います。成功体験だけでなくそういった経験も踏まえて次はもっと上手くやろう、成長しようと意気込む気持ちはずっと欠かさず持っておきたいと思っています。もちろん経験だけではなく知識のインプットも大切です。救急科の先生方はあらゆるジャンルの医学書を多数持っており、空き時間にそれらを読み込む姿がとても印象的でした。先生にオススメして頂いた本は全て購入し、今では研修になくてはならない相棒となっています。

研修開始からの5ヶ月はざっとこんな感じです。爆発的に知識を身につけた訳ではないですが、医師としての心構えの面だけでも少しは成長したような気がします。同じピ○チュウでもレベル7くらいにはなっているでしょうか?しかし、自分の目指す総合診療医になるにはもっと成長しなければ・・・そもそもピ○チュウでは足りません(笑) 目標はでっかくガブリ○ス・・・いやいや、現環境最強のザ○アンといきたいところです。

研修生活はまだまだ続きますが、成功も反省も含めた様々な経験を積み重ねてもっと実力をつけていきたいと思います!

稚拙な長文でしたが、お付き合い頂きありがとうございました。

p.s.
途中の意味不明なポ○モン用語が気になる方いたらぜひ僕に聞いてみてください🙇‍♂️

(研修医 T.H)

センターひろば

卒後臨床研修センター通信vol.44

2023年11月発行!大学病院ならではの研修医体験記、研修医の学会受賞など、卒後臨床の今をお伝えします!

バックナンバー»