宮崎大学医学部付属病院 卒後臨床研修センター

卒後センター研修医・教員ブログ

2016年03月14日更新

暗黒大陸

大学病院で研修していると、各分野の先端医療に触れることができます。今回は2内科で私が担当しているカプセル内視鏡についてです。
異論があるとは思いますが人体最後のフロンティア・・・それは小腸です。成人の小腸は5~7mの長さといわれ、長大な臓器であるにもかかわらず、生体では近づくことが困難な臓器であり、そのため「暗黒大陸」とも形容されておりました。通常の上部消化管内視鏡や下部消化管内視鏡では小腸の一部しか観察できず、大部分は直接見ることはできなかったのです(小腸造影検査で間接的に観察はできていましたが、手技の巧拙による病変検出率の差が大きく、平坦な病変や色調の変化などは分かりません)。その「暗黒大陸」には10年ほど前に登場したカプセル内視鏡により光が差しこむようになりました。

  

カプセル内視鏡検査は患者さんにとって非常に楽な検査です。カプセル本体は長径26mm(写真左)とやや大きいですが、飲み込みさえすればそのあとに苦痛はありません。小腸病変の検出率も高く、患者さんの苦痛はほぼ無く、術者の手技の巧拙は関係ない優れた検査です。

しかし、この検査は解析が大変なのです!カプセル内視鏡検査はカプセルが全小腸を通過した後、記録装置に集積した画像データを解析します。その画像は通常数万枚に及びます。それを早送りしながら全て読影していくのですが、これがつらい!ほとんど同じような画面(写真中)を病変がないか目を皿のようにして見るわけです。ほとんど拷問です。でも私はこの読影が大好きです❤
医局のカプセル内視鏡が置かれている一角(写真右)にはこの 拷問 作業を知っている医局員は誰も近づきません。私が読影していると、たまに研修医の先生が珍しがって近づいてきますが、私が画面を見ながら得意げに解説しはじめ後ろを振り返ると・・・誰もいない・・・私は画面に向かって独り言ちている変なおじさんになっているというパターンです。この一角も暗黒に覆われています。しかし私の心は開拓精神で燃えています。

勇気ある研修医のみなさん!私と一緒にこの暗黒に切り込んでみませんかっ!

(安倍)

センターひろば

卒後臨床研修センター通信vol.44

2023年11月発行!大学病院ならではの研修医体験記、研修医の学会受賞など、卒後臨床の今をお伝えします!

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