宮崎大学医学部付属病院 卒後臨床研修センター

卒後センター研修医・教員ブログ

2016年09月26日更新

平成28年度「宮崎内視鏡外科アニマルラボセミナーin佐土原」開催

 平成28年9月17~18日の2日間、宮崎県佐土原町の企業施設において、宮崎県地域医療支援機構主催(宮崎大学医学部共催)の「平成28年度宮崎内視鏡外科アニマルラボセミナーin佐土原」が開催されました。本セミナーは、研修医や医学生がアニマルラボで高度な外科手技を主体的かつ実践的に学習できる全国でもあまり例を見ない先進的な教育企画です。

【開催のねらい】本企画の第一の目的は、研修医や医学生に高度な手術手技とその一連の流れを執刀医として主体的に経験する場を提供することで、外科領域の醍醐味と奥深さを存分に体感してもらい、その後の臨床研修の動機付けをより高めてもらうことです。そして、第二の目的は、この全国に誇る施設を活用して「宮崎発の全国トップレベルの教育企画」を実施し、本県の教育活動の目玉として県内の研修医や医学生に質の高い教育環境と内容を提供することです。

【講師陣と参加者】宮崎大学外科学講座の七島篤志教授を中心に、長崎大学よりアニマルラボ教育経験の豊富な日高重和先生をお招きし、宮崎大学より池田拓人先生、河野文彰先生、田代耕盛先生、西田卓弘先生、中尾大伸先生、県立宮崎病院より日髙秀樹先生、潤和会記念病院より佛坂正幸先生、なかじま外科・内科院長の中島真也先生の計10名をお迎えし、強力なインストラクターチームを構成しました。参加者は、県内に広く募集をかけ、宮崎大学医学部附属病院研修医8名(2年次4名、1年次4名)、宮崎大学医学部5年生1名の計9名でした。実施コーディネータは、宮崎県地域医療支援機構、宮崎県臨床研修・専門研修運営協議会、宮崎大学医学部医療人育成支援センター/卒後臨床研修センター全てに関与する私(小松)が務めさせていただきました。

【セミナーの日程】

《1日目》

13:00-13:30         開会式・オリエンテーション

13:00-16:00         講習(30分×4テーマ)

16:00-17:30         腹腔鏡シミュレータ(ドライBOX)手技トレーニング

17:30-19:30         休憩(宿泊先のコテージ・ヒムカへバスで移動)

19:30-21:30         外科医師キャリアセミナー・懇親会

《2日目》

08:30-09:15         事前説明と準備

09:15-16:15         アニマルラボ実習(途中、昼食を含む)

16:15-16:30         閉会式

【セミナーの内容】

1.講習

 講習は4名の講師が、①「内視鏡外科の特性とトレーニング」、②「手術で使用する器具・デバイス」、③「ブタの腹腔内解剖~ヒトとブタの違い~」、④「外科学のススメ~地方病院での外科~」の4つのテーマについて、それぞれ30分ずつ講義をしました。

2.腹腔鏡シミュレータ(ドライBox)手技トレーニング

 9名の受講者は4つのドライBoxゾーンに分かれ、マンツーマンで外科インストラクターより操作指導を受けました。鉗子を使ってビーズを左から右へ正確に移す訓練の中で、三次元空間における鉗子先端部の位置の把握や把持の方法など、丁寧に指導を受ける中で、受講生は短時間ながらその操作がより正確にできるようなっていきました。

3.外科医師キャリアセミナー・懇親会

 受講者とインストラクター全員でバスに搭乗し、宿泊地であるフェニックスシーガイアリゾート(コテージ・ヒムカ)へ移動しました。外科キャリアセミナーは懇親会と同時並行で進められ、様々なキャリアを有する医師と現在臨床研修や臨床実習の真っ只中で研鑽に励む研修医・医学生が本音で語り合う貴重な場となりました。

4.アニマルラボ実習

 第2日目は、終日アニマルラボでの実習となりました。倫理的配慮が十分にされた状況下で、2つの手術台に獣医により全身麻酔管理されたブタが仰向けでセットされ、敷布の間から露出した術野はかなりの臨場感を有していました。1つの手術台を4~5名の研修医と医学生が担当し、インストラクターの丁寧なアシストを受けながら、執刀医として胃切除、大腸切除を順に行っていきました。

 今回は、宮崎県地域医療支援機構と宮崎大学医学部、そして宮崎県医師会が三位一体となって、従来にない新しい視点と高いクオリティーの教育セミナーを実施することができました。今回は外科領域をターゲットとしてアニマルラボを用い、受講者からも高い満足度が得られました。この経験が受講生の今後の臨床研修や臨床実習のみならず、宮崎での医師キャリア形成への意欲に繋がれば、企画開催が一定の意義を持つのではないかと考えます。今回の開催フォーマットを活かして、今後、アニマルラボの継続開催を視野に入れれば、経皮的冠動脈形成術などの血管内治療やERCPなどの内視鏡治療をターゲットとし、外科系のみならず内科系の教育企画も可能になると思われます。また、このような高いクオリティーの教育企画は、研修医や医学生が宮崎県を臨床研修の場と考える上での一つの魅力となる可能性も秘めています。今後も県・大学・医師会が緊密に連携して、新たな取り組みを継続していきたいと思います。

        (小松)

センターひろば

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