卒後センター研修医・教員ブログ
2015年11月02日更新
おみおくりの作法
「おみおくりの作法」(原題 Still Life)という映画を観ました。この映画はとある民生係の男性が身寄りが無く一人きりで亡くなった人々を弔うなかで繰り広げられる人間模様を描いた作品です。話題となった「おくりびと」とともに弔いのありかたについて考えさせられる映画でした。私が担当していた患者さんが旅立たれた数日後に気になっていたこの映画を観たのです。
多くの医師は患者さんの臨終に立ち会うことになります。臨終の際は、死の三徴を確認し、死亡時刻と死の宣告を行い、死亡診断書を書く・・・そこで我々の仕事は終わりでしょうか。実際はその後ご遺体とともに霊安室へ移動し、一時的に安置した後、焼香とご家族への挨拶をし、ご遺体を霊柩車へ移しお別れします。私はその度に、死後の家族への対応は十分に出来ていたか、死者に対する態度はどうだったかと自省します。
私は終末期医療の専門ではありませんし、死生観や宗教に詳しいわけでもありません。あくまで個人的な考えなのですが、医師には「みとり」から「おみおくり」への橋渡しとしての役割もあり、医師にも「おみおくり」に際して相応の心構えが必要で「作法」を身につけておかなければならないのではないかと思うのです。
我々は「みとり」関してはある程度の知識や関心がありますが(それもはなはだ不十分であると言わざるを得ませんが)、「おみおくり」、弔いに関しては今のところ全くの素人で関心が薄いのではないかと思います。「作法」をどう学ぶべきかは分かりません(そもそも人に教わるべきものでは無く、それぞれの信念を持っていれば良いのかもしれません)が、ゆめおろそかにしてはならないと自戒する今日この頃です。
(安倍)