宮崎大学医学部付属病院 卒後臨床研修センター

卒後センター研修医・教員ブログ

2020年02月21日更新

〈検証〉宮崎に移住してみた

私は高校まで熊本に住んでいて、大学は東京の学校に行ってました。どの病院で研修するか迷走していたマッチングの時期、もともとは縁もゆかりもない宮崎に移住することを決意しました。

ということで、縁もゆかりもない人間が宮崎に移住してみて感じたことを、完全なるよそ者の視点からお届けします。(かなり個人的な意見も含みます)

 

とはいえ、長くなるので、まずは結論から。
これは過激な意見かもしれませんが、宮崎にないものはないんじゃないか…?と個人的には思いました。宮崎ですべて事足りる感じがします。実際、宮崎に住み始めてから「とにかくどこか行きた〜い!」という旅行欲がぐっと減りました。不思議です。大学時代は都道府県制覇する勢いで旅行してたんですが…。

さて、宮崎に着いてすぐ、最初はもしかしたらびっくりするかもしれません、結構な田舎だな!と。空広いな!田んぼ多いな!と。私も正直びっくりしました。でもそこでめげたら、もったいないです。その衝撃を乗り越えたところに、今度は素敵な衝撃の連続が待ってます。

まず行ってほしいのは、なんといっても青島。大学病院から車で20分くらい。
ハワイってこんなところにあったのか。そう、ここは日本のハワイです。フェニックス、太平洋、深い青!
日常の延長線上でサーフィンをする人々。ハンモックや椅子などセッティングして過ごす人々。ヤドカリや魚を眺める人。海辺を犬と散歩する人。おしゃれな店たち。少々の猫。
かつては新婚旅行のメッカとして君臨していたのが頷けます。それも上皇陛下が新婚旅行に青島に来たのが始まりだとか!隣接する植物園もいいんです。全体的に自然の色が濃くて南国気分満載です。青島は普段とても程よい賑わい具合ですが、タイミング次第ではこんなに素晴らしい場所たちをほとんど貸し切りに近い状態で過ごせるときもあります。なんというか、贅沢です。

「キッチン」や「TUGUMI」で有名な作家のよしもとばななさんが青島が舞台の小説を書いてます。内容としては、宮崎の青島に移住して亡くなったおばさんの家を尋ねるという話。以下、引用です。
「宮崎には飛行機に乗ったらすぐについた」
「海がきらきら青く光って、フェニックス椰子がふんだんに生えていて、景色のあまりの豪華さに私は驚いていた。こんな楽園みたいなところがあったなんて」
「青島が近づいてくるにつれて、この島はまるで緑の宝石みたいだという気持ちがますます強くなった。鬼の洗濯板に守られて、こんもりと存在する小さく神聖な楽園。橋から眺める青島の景色は特別なものだった。果てしない海に混じって幾重にも重なった岩とその向こうのあふれそうな緑」
「ここを見つけて越してきたおばさんの気持ちが今では完璧に理解できた」
(よしもとばなな「さきちゃんたちの夜」より)

ほんとそれ!言いたいこと言ってくれてありがとう!ってなります。
さらには、サラダ記念日で有名な俵万智さんも最近宮崎に移住してきてます。みなさん分かってらっしゃる。

ちなみに、海のある生活は精神疾患を有意に減らすという研究があります。確かに、東京に住んでいた頃は絹豆腐くらいのメンタルだったのですが、現在は水切りした木綿豆腐くらいに強くなりました。これは結構な変化で、自分でもびっくりしています。

近場には堀切峠(オススメ)、鵜戸神宮(オススメ)、加江田渓谷(オススメ)などいろんな見どころがあります。ちょっと足を伸ばせば綾(温泉や大吊橋)、もっと足を伸ばして高千穂などもあります。
大学病院周りも自然が多く、自転車で通勤するとキャンプをするときの山とか森とかの独特の匂いがして、朝から尋常じゃなく爽やかな気持ちになれます。

(加江田渓谷と同僚)

 

次に実際住むにあたって気になることたちについて。
まずはお金。家賃は東京に住んでいた頃の半額になりました。安くて新しめな研修医宿舎もあります。15000円くらいだったですかね。
また、宮崎は正直に言ってしまうと車社会なのですが、3年目からも宮崎に住むか分かんないし、研修の2年間のために車買うのも…という方、安心してください。レンタリースなら車検費等込で月2万円ちょっとから乗れますよ。中古車なら月1万円から乗れるみたいです。
もちろん車がなくても生活は可能です。私も最初の4ヶ月は電動自転車とバスで生活しました。毎日が旅をしているようで結構楽しい日々でした。でもバスは便によっては15分程遅れることがあるので注意してください。日向タイムってやつです!愛すべき宮崎の特性です。土日祝は500円で路線バス乗り放題チケットもあるので活用するといいかもです。コンビニのコピー機で手に入ります。

ショッピングも困りません。行くだけで楽しい九州最大級のイオンモールがあります。でもどうしても都会に遊びに行きたいという人、今は宮崎の女子高生が制服着て週末に東京に行ってる時代です。そのくらい気軽に行き来できます。時期によりますがジェットスターだと往復1万円台前半〜2万円台前半くらい。ジェットスターは成田空港着ですが、2時間1000円で東京駅に直行するリムジンバスがあります。また、東京→宮崎が高い時期でも、宮崎→東京は半額程度で行けます。つまり関東の方、お得に里帰りができます。そしてなんといっても宮崎空港は街中や大学病院からアクセスがいいです。軽視しがちですが、これ意外と大事なポイントだな、って住んでみて思いました。とにかく便利です。

食事については、お酒も食べ物も美味しいです。宮崎のお肉の美味しさは有名ですよね。私はお肉が苦手なのですが、お肉が好きな人は宮崎をより楽しめると思います。羨ましいです。でも、肉より魚派の方々も安心してください。海鮮もかなり美味しいです。
あとオシャレスーパーが多いです。お気に入りは霧島のフーデリーと青島のボンデリスです。フーデリーは最近改装してますます貫禄の品揃え。
文化に関しては、カリーノに入ってるツタヤは都会の大きめの本屋と遜色ない品揃えです。でも街中だから駐車場必要じゃん、ってなりますが、街中でも1時間100円の駐車場も珍しくないので(この前90分100円のところ見つけました、宮崎マジすごい)ゆっくり本選びができます。
あと気付いたことは、南国なのに意外と涼しい。(海が近くて風通しがいいし緑が多いからと思うのですがどうなんでしょうか?)
あとあと、星が綺麗です!平地でも流れ星が見えるなんて宮崎に来て初めて知りました。天の川も都市伝説と思ってました。
私の知らない宮崎の良いところ、まだまだたくさんあると思います!

 

一番大事な研修の話もすると、こんなにフレキシブルなところもかなり珍しいんじゃないかと。
マッチングのときにまず考えることって「大学病院か、市中病院か…」ということですが、宮崎大学病院を選べば悩む必要はありません。何故ならどちらでも研修できるからです。1年単位のタスキがけ制度はよく聞きますが、この宮崎大学病院ではそれどころじゃない、なんと月単位で選択できるんですよ。自分のなりたい医者像にどんな研修が必要か、自分で考えながら選ぶことができます。
選べる研修先も豊富です。県内の多数の病院から選べて、フルマッチの人気病院も選べます。私は公衆衛生にも興味があるんですが、まさか月単位で保健所で研修できるなんて、想像もしてなかったのですごくありがたいです!

また、同期や先輩の研修医たちは優しく面白い人たちが多く、完全なるよそ者の私と仲良くしてくれて楽しく研修生活を送っています。研修が始まる前は受け入れてもらえるかドキドキしていましたが、拍子抜けしたくらいです。皆いろいろな研修先に行き月ごとに大学病院にいるメンバーが少し変わるので、いろんな人と仲良くなれますよ。
他大学出身の方は知り合いづくりのためにも、最初の年は大学病院多めがオススメです。

 

私にとって宮崎に住むことはほとんどギャンブルでしたが、当たったな〜という感じです。そして、誰がやっても結構な確率で当たるんじゃないかな?と思います。だって宮崎だから!
ただ、肌に合う生活というのは人によって違います。自然の多いところより都会の方が好きって人も多いですよね。でも、少しでも、宮崎での自然のある生活に興味のある方、フレキシブルな研修に興味のある方、一度来てみる価値はあるんじゃないかと思います。そして宮崎の土地がもつ開放感を味わってみてください。

(初期研修医 吉田佳奈)

センターひろば

卒後臨床研修センター通信vol.44

2023年11月発行!大学病院ならではの研修医体験記、研修医の学会受賞など、卒後臨床の今をお伝えします!

バックナンバー»