宮崎大学医学部付属病院 卒後臨床研修センター

卒後センター研修医・教員ブログ

2018年06月11日更新

はじめの一歩

研修医一年目の神谷俊樹です。
4月から医療現場に出て、もう早いもので6月になりました。県立延岡病院の救急科で医療人としての第一歩を踏み出してから本当にあっという間です。しかし私はこの「はじめの一歩」を踏み出すのに大変苦労したので今回はそれについて書かせて頂こうと思います。

まず、私が苦労したのは医療の現場の常識が全く分からないことでした。正確に言うと医療現場で働いている方々にとっての常識レベルの知識でさえ無いことでした。一応これでも国試は乗り越えてきたので疾患の知識は多少なりともあると思っていました。学生時代も臨床実習で医療現場をみてきました。しかし、実際に医療現場の一員として働くとなると、「先生、〇〇とって」と言われてもそれが何かわからない。わかってもどこにあるかわからない。看護師さんからこのオーダーお願いしますと言われてもどうすればいいかわからない。採血、ルートの採る部位での注意点も知らない。薬の製品名言われても何のことだか。他にも例えば気道に閉塞をきたす恐れのある患者に対して、学生時代は「気管挿管」の選択肢を選ぶだけで良かったものが、働き始めると「本当に挿管の適応なのか、挿管チューブの太さ、種類、その他の道具の準備、挿管できなかった時の対応、Cormack分類、困難が予想されるときの準備、挿管後の人工呼吸器の設定、ご家族への説明、同意、その後の方針」等考えることが格段に増えます。その学生時代とのギャップに慣れることに一番苦労しました。実際に自分の知識が現場でどう生きるかも考えずに知識だけ入れることに必死の勉強がいけなかったのかなと今更ながら反省し日々精進しています。
またこれは私だけかもしれませんが、日本語の難しさも私の「はじめの一歩」を阻む大きな要素でした。一番苦労するのは紹介状です。紹介状は紹介先の病院に失礼のないように最大限の敬語を用い、かつ簡潔にわかりやすくスタイリッシュな文章が求められます。しかし日本語が不自由な私はどうしても丁寧に書こうとすると長ったらしい文章になってしまったり、敬語に気を取られすぎて伝えたいことがおろそかになってしまったりしています。第一、今まで「御机下」や「御侍史」とか人生で使ったことありませんでした。せいぜい「御中」が限度でした。しかしこれも医療人としての前に社会人としての常識の一つなのかもしれません。様々な年代が働く業界での最低限のマナーとして、正しい日本語を身につけていきたいです。数を書いて、大人の文章に慣れていきたいと思います。

まだまだ上記以外にも苦労することはたくさんあり、「次の一歩」を踏み出そうと現在も奮闘中です。皆さんもそれぞれの苦労もあるかと思いますが、お互いに頑張っていきましょう!
拙い文章でしたが読んでいただきありがとうございました。

(1年次研修医 神谷)

センターひろば

卒後臨床研修センター通信vol.44

2023年11月発行!大学病院ならではの研修医体験記、研修医の学会受賞など、卒後臨床の今をお伝えします!

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