脳神経内科の杉山です。私は大学院生時代、機能生化学分野で小胞体膜分子と脳疾患について研究していました。昨年、脳の萎縮のメカニズムに関する研究成果(https://www.miyazaki-u.ac.jp/newsrelease/edu-info/post-682.html)を発表しましたが、今回、この研究に関連して治療に着目した研究を発表いたしました。
 
前回の研究で詳細に解析した小胞体膜分子Derlinを中枢神経特異的に欠損させて脳萎縮と運動機能障害が生じたマウスに、ケミカルシャペロンという脳神経疾患への応用が期待されている薬を投与すると、脳萎縮と運動機能が改善することを発見しました。さらに、薬の作用点について解析したところ、従来考えられていた小胞体機能の改善そのものではなく、脳にとって重要なコレステロール合成を促進させるという新しいメカニズムを突き止めました。
 
臨床医として治療につながりうる研究ができて嬉しく思います。
 
【論文】
Chemical chaperones ameliorate neurodegenerative disorders in Derlin-1-deficient mice via improvement of cholesterol biosynthesis  
 
【プレスリリース】