脳神経内科 宮本です。先日の台風14号では、各地に被害が出ていましたね。皆様のところは大丈夫だったでしょうか。そんな台風が宮崎に上陸する2日前、佐賀で行われた第237回日本神経学会九州地方会に参加するべく、演者の研修医の先生と、医局員の3人で福岡へ出発いたしました。そう、久しぶりの現地発表です。学会前日、感染対策を行いながら、博多で美味しいもつ鍋を頂きました。美味しく頂いている最中に、帰りの飛行機が欠航になったと連絡があり、急いで高速バスを予約したのも良い思い出です。

さて今回の発表は「ALSとの鑑別に苦慮した抗CNTN-1抗体関連nodopathyの一例」です。亜急性に進行する四肢の筋力低下と豊富な線維束性収縮があり、運動ニューロン疾患も鑑別に挙げられた一例でした。しかし神経伝導検査での著明な脱髄所見、髄液中蛋白の著増があり、CIDPとして免疫治療を行ったところ症状の改善が見られました。髄液中の蛋白が著増していたこと、急速な経過を辿ったことから、後日抗CNTN-1抗体を測定したところ、陽性が判明しました。

抗CNTN-1抗体や抗NF155抗体が陽性となる症例は、これまでのCIDPと異なる臨床徴候、病的学的所見を呈することから、2021年に改訂されたEAN/PNSガイドラインでは自己免疫性nodopathyとしてCIDPから除外されました。さまざま分子レベルでの病態解析が進むことでCIDPが再分類され、それぞれ治療アルゴリズムが確立していくことが予想されます。今後も目が離せないですね!