HTLV-1関連脊髄症(HAM)は、HTLV-1キャリアに発症し、慢性に進行する両側下肢痙性麻痺と膀胱直腸障害を呈することでQOLを低下させてしまう神経難病です。残念ながら有効な治療法は見つかっていないのが現状ですが、南九州はHAMの患者さんが多く、HAMの臨床研究は非常に重要な課題と考え、以前から取り組んできました。
2015年には、PETを用いてHAM患者における脳内の糖代謝を調査し、分水嶺領域の糖代謝低下を示し、その病態生理について考察しました。内科学会総会では内科学会奨励賞を頂きました。2017年にはHAM患者における脊髄MRIを多数調査し、脊髄の形態学的変化を示し、その病態生理について病理学的な分析も加えて考察しました。今後は国家的な施策によって国内のHTLV-1キャリアは減少していくものと思いますが、赤道周囲などの国々ではまだまだ増加しており、HAMの研究は今後も重要なものと考えています。