医局の現状

宮崎の麻酔科医は絶対的に数が足りません。完全な売り手市場です。

不足する原因の一つは、麻酔科の専門業務の増加があります。手術麻酔はもとより、ICU、ペインクリニック、緩和ケアなど多方面に人材を投入しなければなら なくなりました。特に手術は病院収入の柱となっているためいずこの病院も手術数を増やそうとしており、麻酔科医を欲しています。しかしながら、日本麻酔科学会によると日本中の麻酔科医の半数は麻酔以外のペインクリニックや緩和、救急などの 業務に就いているとのことです。宮崎大学麻酔科では、麻酔業務に17名、ICUに7名、ペインクリニックに3名が従事していますが、猫の手も借りたい状況です。理想的には、大学では医師としての仕事以外にも、教育や研究、また国内外を問わず留学などの研修も必要です。これを満たすには40名程度の麻酔科医が必要となります。関連病院の充足も考慮すると、実に今の倍以上の人数が必要です。将来を見据えても、麻酔科は安泰です。高齢化社会になると、ますます手術の需要は増加します。麻酔科はすべての外科診療に必要とされますから、ニーズが枯渇することはありません。2019年 度から専門医研修が厚労省の管轄になり専門医取得のためのハードルが高くなることから、大学での研修が見直されはじめました。今後、後期研修医は大学病院 や同規模の病院を中心とした専門研修関連施設での研修が必要となりますので、大学がかつての勢いを取り戻すのではないかと期待しています。

 

さて、大学病院は最新式の機能を備えたハイブリッド手術室がこの10月より稼働しています。主に心臓血管外科の血管狭窄や人工血管、また脳神経外科のコイル 塞栓術などで、透視画像を全自動で重ね合わせることにより3次元画面を作成し、3Dナビゲーションとしてリアルタイムに操作位置を確認しながらより安全に 手術を進めることができます。最近注目されている大動脈弁狭窄症に対する弁付きステントの挿入術(TAVI手術)に対応することもできます。また、当病院 のハイブリッド手術室の目玉として、移動式CT撮像装置O-armの導入があります。どの手術室でも術中のCT撮影が可能となり、さらにナビゲーションシ ステムと連動させることにより、数ミリのずれも見逃さない正確な位置を掌握しながら手術を行うことができる画期的な機械です。本装置は九州では初めての導 入であり、整形外科の脊椎手術で威力を発揮すると期待されています。

 

このように、大学病院として最先端技術に遅れないようにバード面での準備は整いつつあります。あとは人材確保や教育といったソフト面の充実を図らなければな りません。昨年よりICU入室加算も大幅に引き上げられましたが、その施設基準一つとして30時間以上の専門講義の受講および5年以上の専従経験を持った 集中治療専門医の2名配置が必要とされています。ハイブリッド手術やICU業務など、より高度な先進技術に対応できる高い専門性を持った麻酔科医の育成が 目下の課題です。

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