教授メッセージ

麻酔生体管理学教室は、総勢30名で臨床麻酔、ペインクリニック、集中治療、緩和ケアに従事しています。麻酔管理20名、ペインクリニック3名、集中治療7名、ペインクリニックとの兼任で緩和ケアに1名が勤務しています。

麻酔管理は、最新のロボット手術やTAVI手術にも対応しており、全国レベルに引けを取らない充実した診療を提供しています。ロボット手術は、泌尿器科の前立腺全摘手術から始まり、今では肺切除術、子宮切除術、直腸切除術などに広がり、ロボットの争奪戦が勃発するほど人気があります。近いうちにもう一台ロボットを購入するように申請しています。最近では、若い医師の更なる進歩を目指して、神経ブロックの勉強のために鹿児島の病院へ派遣するなど学習環境の整備にも尽力しています。

ペインクリニックは慢性的な疼痛患者に関して、根気よく痛みの治療を行っています。今後、以前大学に勤務していた宇野先生が行っていた慢性疼痛に劇的な効果が期待できる刺激電極の硬膜外植え込み術を再開するように若手の医師が取り組んでいます。ペインクリニックの最新のトピックスとして、治療抵抗性の慢性疼痛患者の多くにADHAに類似する疾患群が診断テストの結果認められたとの報告があり、ペインクリニックの治療に投薬に加えて臨床心理学的要素を取り入れる必要性を感じています。

集中治療は、新型コロナ感染症の重症患者の管理にて大きな成果を上げました。特に感染症の早期に流行したデルタ株における呼吸器障害の管理では、薬物療法に加えて最新式の呼吸器を駆使して患者回復に大いに貢献しました。早々に腹臥位療法に着目し、多くの患者で呼吸機能の改善を得ております。3室の集中治療室を陰圧室に改造するなど施設も大幅に改修し、迅速かつ丁寧に対応することで、クラスターを起こすこともなく、30名上の救命に成功しています。デルタ株感染ではECMOも数名に使用しましたが、オミクロン株は呼吸器障害のリスクが低くなり、現在のところECMOの使用はありません。集中治療室の頑張りは敬意を表したいと思います。

緩和ケアは、緩和ケアチームとして終末期医療に携わっています。多死社会の到来に伴い緩和ケアの重要性がますます高まっています。マンパワー不足から緩和医療に十分な人員を割くことができていませんが、麻酔科医として緩和医療に関するアドバイスを適切に行うことができるように、教育体制の充実に努めたいと考えています。

最後に、研究面でも充実しています。昨年度から3名が大学院を無事卒しました。現在1名が学位論文を投稿し、その審査待ちです。研究テーマは、ショックや循環管理など麻酔に直結する臨床研究から、疼痛機序の解明など動物モデルを用いた基礎研究に至るまで幅広く扱っています。

以上、麻酔科は臨床的に表立って行動することが少なくあまり目立ちませんが、病院の核となる診療をしっかりと支えています。まだまだ人員不足から病院の要望にすべて答えることはできていませんが、明るい未来を目指して新人獲得に努めて参りたいと思います。

皆様のご支援のほどよろしくお願いしたします。

令和4年11月9日

【学歴】

1990年3月         鹿児島大学医学部卒業

1997年3月        鹿児島大学大学院修了

【職歴】

1990年4月        鹿児島大学医学部麻酔科医員(研修医)(麻酔科)

1991年4月        鹿児島市立病院臨床研修医

1992年4月        鹿児島市医師会病院

1995年7月        藤元病院麻酔科部長

1997年10月        鹿児島大学医学部附属病院助手(集中治療部)

1999年2月        ワシントン大学医学部麻酔科研究員

2001年10月        鹿児島大学医学部附属病院助手(集中治療部)

2005年7月         鹿児島大学大学院医歯学総合研究科講師(先進治療科学専攻生体機能       制御学講座)

2007年10月   鹿児島大学大学院医歯学総合研究科准教授(先進治療科学専攻生体機能制御学講座)

2007年12月        宮崎大学医学部麻酔生体管理学教授

【免許および資格】

1990年5月        医師免許取得

1993年9月         麻酔科標榜医取得

1997年9月        麻酔専門医取得

2005年4月         麻酔指導医取得、日本集中治療学会専門医取得

2005年12月        アメリカ心臓病学会 Healthcare Provider

2007年1月         アメリカ心臓病学会   ACLS Provider

【学会活動】

日本麻酔科学会(理事)日本臨床麻酔学会(理事)、日本循環制御医学会(理事)、日本麻酔学会九州支部(広報委員)日本ペインクリニック学会(評議員)、日本老年麻酔学会(評議員)、九州集中治療学会(評議員)、ペインクリニック学会九州支部(評議員)、日本神経麻酔集中治療医学会(評議員)、日本区域麻酔学会(評議員)、日本集中治療医学会(会員)、日本手術医学会(会員)、日本蘇生学会(会員)、日本小児麻酔学会(会員)、日本心臓血管麻酔学会(会員)

【研究分野】 血管反応性ショックと循環管理

メールアドレス:isao45@med.miyazaki-u.ac.jp

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