ペインクリニック

ペインクリニックとは

ペインクリニックは、痛みの治療を専門に行う部門です。
痛みは急性痛と慢性痛に分けられ、急性痛の場合は消炎鎮痛薬、いわゆる「痛み止め」が効果的です。しかし、痛みが慢性化してくると鎮痛薬が効きにくくなってきます。
そのような慢性痛の患者さんを主な対象に、神経ブロック療法や薬物療法を主体とした痛みを取り除く診療を行っています。
平成19年度は、のべ 3,500人以上の患者さんが当科外来で治療を受けています。

ペインクリニック外来

初診 月・水・金 (火曜休診)
再診 月・水・木・金 (火曜休診)

術前外来(問題症例)

診療日 月・水・金
診療時間 8:30~12:00(月曜日 金曜日)※受付は11:30まで
休診日 火曜、土曜、日曜、祝日、休日及び年末年始
お問い合せ先 外来直通:0985-85-9355(平日8時から17時まで)
時間外:0985-85-1742

対象となる疾患

  1. 腰や下肢の痛み(腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間関節症、脊椎手術後後遺症など)
  2. 首、肩や腕の痛み(頸肩腕症候群、変形性頚椎症、胸郭出口症候群など)
  3. 顔の痛みや頭痛(三叉神経痛、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛など)
  4. 帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛
  5. がん性疼痛
  6. 難治性疼痛(複合性局所疼痛症候群など)
  7. 脳脊髄液減少症(※1
  8. 痛み以外の疾患(顔面神経麻痺、突発性難聴など)

治療法

ペインクリニックでの治療は、神経ブロック療法と薬物療法が主体となります。神経ブロックとしては、硬膜外ブロック、星状神経節ブロック、三叉神経ブロックが外来でよく行われています。また、手術室でレントゲン透視下に神経根ブロック、腰部交感神経ブロック、腹腔神経叢ブロック、脊髄神経後枝内側枝ブロックなどを局所麻酔薬、神経破壊薬(無水エタノール)、高周波熱凝固やパルス高周波療法(※2)を用いて行っています。
薬物療法では、消炎鎮痛薬のほかに医療用麻薬や鎮痛補助薬(抗うつ薬、抗けいれん薬、抗不整脈薬)などを用いています。

抗血栓療法(パナルジン、バイアスピリン、ワーファリンなどを内服)中の患者さんには、安全の面から神経ブロックを行っていません。そのような患者さんなどを対象として、光線療法(半導体レーザー、スーパーライザー)、イオントフォレーシス、鍼通電なども行っています。

※1 脳脊髄液減少症と硬膜外自己血パッチ術

最近、テレビや新聞などのマスコミで脳脊髄液減少症という病気をよく耳にされると思いますが、交通事故など体への強い衝撃を契機に頭痛、頸部痛、めまいや耳鳴りなどが持続する病気です。このような症状の患者さんがすべて脳脊髄液減少症というわけではありませんが、症状が強く日常生活に支障をきたすようであれば入院による検査が必要です。当科では、脳槽シンチグラフィーという検査を放射線科に依頼して行っています。この検査によって脳脊髄液が漏出している直接所見や間接所見(図1)が得られた場合、硬膜外自己血パッチ術を行います。

硬膜外自己血パッチ術とは、患者さん本人の血液を細菌が混入しないように十分に注意しながら採血し、脳脊髄液が漏れている硬膜の裂け目の近く(硬膜外腔)に注入する方法です。注入された血液が凝固することで裂け目が塞がれて脳脊髄液の漏出がなくなり、症状が改善すると考えられています。1回の治療で症状がかなり改善する患者さんもいますが、そうでない場合には1ヵ月以上間隔をあけて2、3回繰り返し治療を行う場合もあります。脳槽シンチグラフィーと硬膜外自己血パッチ術をあわせて、約5日間の入院が必要になります(図2)。当科では昨年度、硬膜外自己血パッチ術を約20例行っており、良好な結果を得ています。

※2 パルス高周波療法

パルス高周波療法とは、痛みの原因となる神経にパルス状の高周波(500kHz)を照射することで、神経障害を起こさずに、その神経の支配領域の痛みを緩和させる新しい治療法です。以前は高周波治療はパルス波ではなく、連続波を用いて行っていましたが、連続波では神経周囲の温度が70 90℃と上昇し、神経を破壊してしまいます。これは高周波熱凝固法と呼ばれる治療法ですが、痛みの部位によっては、運動麻痺を生じる危険性があり、適応に制限がありました。しかし、高周波をパルス状に照射することで、温度上昇を42℃以下に制御し、運動麻痺などの合併症をなくすことができました。現在、当科でも帯状疱疹後神経痛や腰椎手術後の腰下肢痛の患者さんに対して積極的にこの治療法を行っています。パルス高周波による疼痛緩和のメカニズムは未だによくわかっていませんが、この治療で疼痛が軽減すれば、3~6ヵ月間の効果の持続が期待できます。実際には手術室でレントゲン透視を用いて行います(写真1)。希望により日帰りでこの治療を受けることも可能です。当科ではこれまでにパルス高周波療法を約100例行っています。

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