カテゴリー: 研究業績
Surgical Case Reports:Fatal Hyperkalemia Following Reduction of a Strangulated Obturator Hernia: A Pitfall in Assessing Bowel Viability
NEWS | 2026.09.08.
高カリウム血症では、心電図上、重症化に伴ってQRS幅が著明に延長し、サインカーブ様波形(sine-wave pattern)を呈することが知られています。教科書では知っていましたが、実際の臨床現場で目にしたのは初めてでした。このときの血清カリウム値は8.5 mmol/Lでした。
私が非常勤で勤務する病院で経験した症例です。急変コールを受けて病室へ駆けつけると、患者さんはすでに意識を失っており、直ちに心肺蘇生を開始しました。患者さんは当日、嵌頓した閉鎖孔ヘルニアに対して用手的還納を受け、その後、経過観察中でした。
用手的還納と高カリウム血症との因果関係を直接証明することはできませんでしたが、経過から、虚血腸管の再灌流に伴う高カリウム血症の可能性を考慮する必要がある症例でした。嵌頓ヘルニアを用手的に還納した後、造影CTでみられる腸管壁の造影効果をどのように解釈し、その後の腸管障害や全身への影響をどのように評価すべきかを考える上でも、示唆に富む症例でした。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/scrj/12/1/12_cr.26-0515/_html/-char/ja
“Fatal Hyperkalemia Following Reduction of a Strangulated Obturator Hernia: A Pitfall in Assessing Bowel Viability”
Takanori Kinashi, Toshihiro Tsuruda
Surgical Case Reports (2026)
DOI: 10.70352/scrj.cr.26-0515
本論文はオープンアクセス論文です。
© 2026 The Author(s). Published by Japan Surgical Society. 本論文は Creative Commons Attribution 4.0 International License(CC BY 4.0)に基づき公開されており、適切な出典を明記することにより、利用・再配布が可能です。
Determinants and Clinical Interpretationof Circulating Transthyretin inATTR Amyloidosis
NEWS | 2026.09.08.
本論文では、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)患者における血中トランスサイレチン(TTR)濃度の臨床的意義について検討しました。
本研究の特徴は、治療経過中に繰り返し測定したデータを用いた混合効果モデルによる解析を行い、血中TTR濃度を規定する要因を検討した点です。その結果、血中TTR濃度は病気の進行だけでなく、患者さんの全身状態や疾患修飾薬による治療の影響を反映していることが分かりました。
ATTR-CM患者を診療する上で、血中TTR濃度をどのように解釈すべきかを考えるための重要な知見と考えています。
https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacadv.2026.103047
“Determinants and Clinical Interpretation of Circulating Transthyretin in ATTR Amyloidosis”
Toshihiro Tsuruda, Yosuke Suiko, Yunosuke Matsuura, Soichi Komaki, Kohei Moribayashi, Hiroki Tanaka, Masashi Yamaguchi, Kinuko Yamamoto, Michikazu Nakai, Koichi Kaikita
JACC: Advances (2026)
DOI: https://doi.org/10.1016/j.jacadv.2026.103047
Copyright © 2026, The Authors. Published by Elsevier on behalf of the American College of Cardiology Foundation.
本論文はオープンアクセス論文であり、Creative Commons Attribution License(CC BY 4.0)に基づき公開されています。適切な出典を明記することにより、利用・再配布が可能です。
手根管組織から早期ATTR-CM病変を見出す
お知らせ・活動報告 | 2026.04.08.
手根管症候群はATTR-CM発症の5-10年先行するとされます。本研究は、手根管組織からトランスサイレチン型アミロイドが検出されたがピロリン酸シンチでは心病変が示唆されなかった13例の心形態の特徴を示しています。心基部中隔下壁の長軸方向のストレイン低下が認められた4症例は血中トロポニンT濃度が上昇していることを見出しました。
ストレイン心エコーは、当院ハートセンターの技師の皆様の信頼性の高い技術力の賜物です。心エコーによる早期発見の手がかりが早期治療に結びつく未来を信じています。
本論文は2025年10月22日にアクセプトされましたが、オンライン掲載されたのは2026年2月16日でした。1か月、2か月、3か月経過しましたが出版社から原稿の校正連絡はなく、業を煮やし連絡するも音信不通でした。なんと、この間、出版社がWikey社からOxford社に変更になり、おそらく移行期間で宙に浮いてしまったと思われます。久しぶりに潜んでいた英語での主張が試されました。
正式に掲載され、ほっとしました。
”Basal inferoseptal longitudinal strain deformation may indicate early cardiac
involvement in wild-type carpal ATTR”
Tsuruda et al.
ESC Heart Failure (2026)
DOI: https://doi.org/10.1093/eschf/xvag055
本論文はオープンアクセス論文です。
© The Author(s) 2026. Creative Commons Attribution License (CC BY 4.0) に基づき公開されており、適切な出典明記により自由に利用・再配布が可能です。
Vitamin E固定化膜透析器による急性腎障害の豚モデルにおける血清アルブミンの酸化還元状態に及ぼす影響
研究業績 | 2025.03.31.
概要
ビタミンE固定化膜透析器では酸化還元のいくつかの研究報告はありますが、アルブミンについての有意結果を示した報告はありませんでした。今回、宮崎大学の東九州メディカルバレー共同研究において確立したブタ急性腎不全評価モデルを用い、ビタミンE固定化透析器の酸化還元の有用性が確認できました。

Wiley Author Services
doi: 10.1111/aor.14982
著者:Shouichi Fujimoto, Masahide Koremoto, Shushi Yamamoto, Hiroshi Umeno, Yusuke Sano, Toshihiro Tsuruda
宮崎県内科医会誌に掲載されました
お知らせ・活動報告 | 2024.11.07.
野生型トランスサイレチン心アミロイドーシス診療の現在と未来
本寄稿は、野生型トランスサイレチン心アミロイド―シス診療の現状と将来の展望をまとめたものです。早期診断により生命予後は改善しますが、治療薬の適応は限られます。さらなる診断方法と治療薬の開発が望まれます。
宮崎県内科医会誌 第100号 2024年10月 刊行
※このファイルは、宮崎県内科医会の許可を得て掲載しています
Basal inferoseptal segment is highly susceptible to deformation in the clinical spectrum of transthyretin-derived amyloid cardiomyopathy
研究業績 | 2024.09.27.
本論文は、宮崎県内の医療機関から紹介頂いたトランスサイレチン型心アミロイドーシス患者63名を解析したものです。心エコー(ストレイン解析)および心臓MRI(T1マッピング)を用いて、左心室の形態を18分画毎に解析しました。解析結果から心筋へのアミロイド沈着は一様でなく心基部の中隔下壁を好むこと、それを反映して同部位の長軸方向のストレイン値が早期から低下することを見出しました。病態の解明はこれからですが、ストレイン・エコーが心アミロイドーシスの早期診断に役立つことを期待します。なお、本研究は超音波技師・MRI技師、放射線科医、整形外科医、循環器内科医からなるAll Miyazakiの合作でした。これからも宮崎から情報を発信し、心アミロイドーシス診療の向上に努めたいと思います。

Europe Heart Journal Open
doi: 10.1093/ehjopen/oeae076.
著者:Tsuruda T, Nakada H, Yamamura Y, Matsuura Y, Ogata M, Tanaka M, Suiko Y, Komaki S, Tanaka H, Moribayashi K, Ideguchi T, Terada T, Ota T, Yamamoto K, Nishihira K, Shibata Y, Kaikita K.
当講座研究員 山本集士先生(現在、酪農学園大学 助教)の論文がIJAOに掲載されました
お知らせ・活動報告 | 2024.05.28.
本論文は、東九州メディカルバレー構想の、「研究開発の拠点づくり」の一環として、旭
化成メディカル株式会社と宮崎大学(医学部血液・血管先端医療学講座、農学部獣医学科
)の共同研究の成果として挙げるものであります。
豚で両腎摘出による急性腎不全モデルを作成し、維持血液透析を行うことで、ダイアライ
ザーのin vivo評価系の構築や旭化成メディカル株式会社製のダイアライザーの治療効果を
明らかにしました。
新型コロナウイルス感染症の流行時期は実験中断を余儀なくされました。私は途中からの
参加でしたが、週末に宮崎大学農学部附属病院に獣医師や学部学生、そして社員の皆さん
が集結し、実験に取り組みました。また、2週間の実験中、毎日、測定と検体採取を繰り
返した努力の賜物だと思います。
当講座は、これからも血液・血管に関する産学官連携による研究開発を推進します。

※IJAO掲載論文はこちら⇓
A chronic intermittent haemodialysis pig model for functional evaluation of dialysis membranes
doi.org/10.1177/03913988241253152
宮崎県医師会医学会誌に掲載されました
お知らせ・活動報告 | 2024.05.08.
心アミロイドーシス診療の実践
2019年3月、ビンダケル®カプセル(一般名:タファミジスメグルミン)が、変異型/野生型トランスサイレチンによる心筋症へ適応拡大されました。それを受けて宮崎大学医学部附属病院では心アミロイドーシスの診療体制を整え、県内の基幹病院、かかりつけ医と診療連携し、診断、タファミジス処方の導入を行っています。本寄稿では、当院循環器内科のこれまでの取り組みを紹介し、今後の課題について皆様と共有したいと思います。
- 「心アミロイドーシス診療の実践」
宮崎県医師会医学会誌 第48巻 第1号 2024年3月 刊行
※このファイルは、宮崎県医師会の許可を得て掲載しています
Rewiring of the dissected branch along the jailed balloon technique in provisional stenting for true coronary bifurcation lesions
研究業績 | 2024.04.05.
Rewiring of the dissected branch along the jailed balloon technique in provisional stenting for true coronary bifurcation lesions
心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈インターベンション: PCI)において分岐部病変はステントを留置する際に枝分かれした血管(側枝)が閉塞するリスクがあります。そのような合併症を回避する手段としてmodified jailed balloon technique (MJBT)やthe rewiring of dissected branches along the jailed balloon technique(Real JAB Technique) という側枝にバルーンカテーテルを使って閉塞を回避する方法がそれぞれ近年報告されています。今回この2つの手法を計画的に組み合わせて使うことの有用性を5例の症例を用いて報告しました。
Shintaro Izumoto

Cardiovascular Revascularization Medicine: Interesting Cases誌
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2950275624000145
Nitroglycerin use and adverse clinical outcomes in elderly patients with acute coronary syndrome
研究業績 | 2024.02.02.
ニトログリセリンは急性冠症候群(ACS)の治療薬として、長い間使用されてきたものの、ACSの転帰改善を支持する研究は限られています。また、高齢患者の増加や、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と至適薬物療法などのACS管理の進歩により、ニトログリセリンの有効性を再評価する必要性が高まってます。今回、宮崎県立延岡病院の単施設後ろ向き研究で検討した結果、特に75歳以上の高齢患者においてPCI実施前のニトログリセリン投与が血圧低下および有害な臨床転帰と関連することが示され、Open Heart誌(2024年1月11日号掲載)に報告しました。
宮崎県立延岡病院は、急性期集中治療の中核を担う地域の基幹病院であり、延岡市で唯一PCI治療が可能な心臓カテーテル検査室を有する施設です。延岡病院から最も近いカテーテル検査室のある施設は約60km離れた他県にあります。したがって、延岡市のACS患者が他施設に救急車で搬送される可能性は低いと考えられます。この地理的な特徴により、延岡市のACS入院患者の正確な臨床転帰を研究することが出来ました。
