宮崎大学開学以来,肝胆膵外科は,旧第一外科ならびに第二外科においてそれぞれが得意な分野で発展してきました.平成27年 (2015年) 4月より外科の再編に伴い,新しい肝胆膵外科としてスタートし,現在,宮崎県内唯一の高度技能専門修練施設 (注1) として,また高度技能専門医 (注2) が在籍する施設として,主に肝臓がんや胆道がん,膵臓がんといった疾患に対する手術を行っています.これらの疾患に対する手術は高難度肝胆膵外科手術と言われ,当科では年間50〜60件行っております.
私たちの分野の手術は負担の大きな手術も多いため,安全かつ最良の治療ができるように,標準的な治療法及び最新の知見を基に,患者さんに情報を提供し,十分相談した上で治療方針を検討しています.このために毎週消化器内科医や病理医を交えて多角的に意見を交換するカンファレンスを行っています.胆道がんや膵臓がん (注3) は,進行した状態で発見されることも多く,そのような時には当院の「臨床腫瘍科」と協力して,抗癌剤治療を行った後に腫瘍の縮小を図ってから切除するといったことも行っています.また,周囲の血管や臓器に進展していることもありますが,門脈や動脈といった血管や周囲臓器の切除や再建を積極的に行いR0 (取り残しのないこと) の手術を目指しています.近年は腹腔鏡での手術が増えてきており,その適応があれば積極的に行っております.
また,私たちは今後の医療に貢献できるように様々な臨床研究,基礎研究を行い,学会発表,論文投稿も積極的に行っています.
注1)
高度技能専門修練施設とは ?
http://www.jshbps.jp/modules/public/index.php?content_id=1
注2)
高度技能専門医とは ?
http://www.jshbps.jp/modules/public/index.php?content_id=3
注3)
肝胆膵の病気の種類と治療について
http://www.jshbps.jp/modules/public/index.php?content_id=2
当科における高難度肝胆膵外科手術数
当科における手術数
臨床研究
- 切除不能胆管癌の集学的治療におけるレザフィリンと半導体レーザを用いた光線力学的治療-安全性と有効性について
- 大腸癌肝転移における抗腫瘍免疫応答の病理組織学的検討
- 最新のMRIを用いた肝臓の脂肪化における脂肪定量、鉄含有量および線維化測定の評価-組織学的評価との相関、臨床病態、術後合併症および患者予後との関連に関する研究
- 肝アシアロシンチにおけるGSA Rmaxの肝切除における臨床的意義
- Indocyanine greenを用いた術中肝区域染色法に関する二施設での後ろ向き調査
- 過去の胆汁培養の結果に基づく予防的抗菌剤を使用した膵頭十二指腸切除術後の感染性合併症における胆汁細菌の影響についての後ろ向き観察研究
- 膵頭部領域手術前後のグレリンの変化と合併症・栄養・ピロリ感染の関連検討
- 膵臓癌における末梢血内リンパ球分画の検討 -観察前向き研究-
- 膵管癌切除症例における予後解析と関連因子の後ろ向き検討
- 新規約における Borderline resectable 膵癌の治療成績の再検討
- 若手外科医の獲得と手技のスキルアップを目指した新規外科教育システムの確立とその検証
- 免疫栄養剤による術後合併症の予防効果の検討
多施設共同研究
- 分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の前向き追跡調査
- 膵・消化管および肺・気管支・胸腺神経内分泌腫瘍の患者悉皆登録研究
- 根治切除 (R0) 不能局所進行膵癌に対する Gemcitabine+nab-Paclitaxel 療法の有用性に関する前向き多施設共同研究
- 慢性膵炎による難治性疼痛に対する内科的インターベンション治療と外科治療の比較解析
- 胆嚢癌の診断と治療方針・予後に関する前向き観察研究
- 膵管癌切除症例における予後解析と関連因子の後ろ向き検討
- 腹腔鏡下膵切除術の安全性に関する検討 ~前向き観察多施設共同研究~
- 浸潤性膵管癌切除後の残膵再発に対する再切除の意義の検討 -日本肝胆膵外科学会 プロジェクト研究-
- 膵頭部癌に対する門脈合併膵頭十二指腸切除施行後の左側門亢症に関する研究
- 切除可能 (Primary resectable) 膵癌における早期再発/予後不良因子についての後ろ向き研究
- AJCC第8版によるT1膵癌の新分類のバリデーション試験と臨床病理学的特徴 -日韓共同プロジェクト研究-
- 肝細胞がん腹膜播種に対する後方視的観察研究
- 混合型肝癌に関する臨床病理学的・分子生物学的検討に関する九州肝臓外科研究会多施設共同研究