古川貢之教授 挨拶

2021年(令和3年)6月1日付けで宮崎大学外科学講座心臓血管外科学分野教授を拝命しました。私は1995年に山口大学を卒業後、宮崎大学(旧宮崎医科大学)第二外科に入局し、古賀保範教授、鬼塚敏男教授、中村都英教授の指導のもと主に成人心臓大血管疾患に対する外科手術の研鑽を積んでまいりました。その中でも冠動脈バイパス術、左室形成術、弁形成術、胸部・腹部大動脈人工血管置換術の執刀を数多く経験し、研究におきましては虚血性心筋症などの重症心不全に対する自己心温存療法の臨床研究をメインテーマに発表の機会を頂いてまいりました。

今後は七島篤志教授と協力して外科学講座の運営を担当させていただきます。当外科学講座は2015年4月から1)心臓血管外科、2)呼吸器・乳腺外科、3)肝胆膵外科、4)消化器・内分泌・小児外科、5)形成外科よりなる大講座制に移行し、5分野が機能的に診療・研究・教育活動を行っています。それまでの専門領域の重複を排除し専門性を高め、患者さんに分かりやすく、安全で質の高い外科診療を提供しています。特に形成外科、小児外科、食道外科の各分野はその特徴が発揮され手術数を飛躍的に伸ばしています。また呼吸器外科では胸腔胸下手術に加え、daVinci(ダヴィンチ)システムを用いたロボット支援下手術を導入し低侵襲で安全な手術を実施しております。大講座制に移行しての最大メリットは、各分野の横断的な協力により外科講座が一体として問題にあたれることであります。各分野同士の合同手術が日常的に行われ、治療の質の向上に貢献出来ています。また外科同門会も一つとなり宮崎県外科全体が強固な協力体制へ発展しつつあると思います。今後、このような協力体制をさらに深化させ社会に還元できるよう努めてまいります。

担当領域である心臓血管外科分野におきましては、大学病院と県立宮崎病院、延岡病院、宮崎市郡医師会病院の関連3病院からなる連携施設を挙げて医療の質向上に全力に尽くし、さらには宮崎県内で循環器疾患を担当する全ての先生と【オールみやざき】となって安心できる循環器疾患の診療体制を提供できるよう緊密な連携を図ってまいります。大学病院では経カテーテル的大動脈弁置換術や人工血管留置術などの低侵襲治療にも積極的に取り組んでおり、患者さんに応じた最適な治療を行います。また宮崎県心臓血管外科治療の最後の砦として急性大動脈疾患や心筋梗塞合併症などへの緊急手術、虚血性心筋症などの重症心不全への左室形成術・僧帽弁形成術、透析を要する患者さんへの開心術、胸腹部大動脈瘤手術、末梢血管の外科手術にも対応しています。さらに小児科、産婦人科の先生と協力して未熟児動脈管開存症や先天性心疾患への小児心臓手術にも対応しています。今後、多くの仲間を募り、宮崎県の循環器診療の発展に貢献します。

最後に、私を含めまして宮崎大学外科学講座一同が協力して当大学の合言葉である【世界を視野に地域からはじめよう】を実践できるよう臨床、研究、教育活動に積極的に取り組んでまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

宮崎大学外科学講座心臓血管外科学分野
教授 古川 貢之