症例報告:Mesothelial/monocytic incidental cardiac excrescence

当講座の黒木麻由医員らが、僧帽弁形成術に関連した左室mesothelial/monocytic incidental cardiac excrescence (MICE) について症例報告を行いました。MICEは、開心術などで偶発的に発見される組織球・中皮細胞・フィブリンで構成される凝集塊病変であり、その組織像や発症機序の考察を、免疫組織化学、免疫蛍光化学を用いて詳細に報告したものです。
組織像からその発生機序を詳細に考察した報告は少なく、重要な知見集積であると考えられます。

本症例の要旨は、黒木医員が第396回九州・沖縄スライドカンファレンスで発表しました。

*病理学会員は、メディカルオンラインから無料で閲覧可能です。
黒木真由 他. 僧帽弁形成術に関連した左室mesothelial/monocytic incidental cardiac excrescenceの一例. 診断病理. 2024;42:343-348.

第56回日本動脈硬化学会総会・学術集会で研究発表を行いました

第56回日本動脈硬化学会総会・学術集会 (2024.7.6-7, 神戸)において、当講座より研究発表を行いました。

・一般演題(口演)
筆頭演者: 黒岩 靖淳
“非アルコール性脂肪性肝疾患の新規画像診断:核磁気共鳴画像による腹部大動脈硬化の検出と肝臓評価”

・ポスター発表
筆頭演者: 中村 恵理子
“冠動脈プラークにおけるフィブリン・フォンウィルブランド因子の発現と好中球細胞外トラップの形成:動脈硬化進展との関連”




浅田名誉教授が第56回日本動脈硬化学会総会・学術集会で大島賞を受賞されました

浅田祐士郎 名誉教授(現宮崎市郡医師会病院病理診断科部長)が、第41回大島賞を受賞され、第56回日本動脈硬化学会総会・学術集会 (2024.7.6-7, 神戸) で受賞講演をされました。

大島賞は、永年にわたって動脈硬化に関する秀れた研究を行い、かつ日本動脈硬化学会の発展に特に功績のあった会員に授与される賞です。心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の発症機序を明らかにした一連の研究、並びに学会理事や学会誌であるJournal of Atherosclerosis and Thrombosisの編集長などを歴任した学会発展への貢献が評価されました。
当講座では、住吉 昭信 名誉教授 に続き、2人目の受賞となります。
当講座での一貫した動脈硬化・血栓症に対する研究が評価された結果であり、講座スタッフ一同、これより更なる研究発展に邁進していく所存です。

浅田祐士郎. 第41回大島賞 受賞講演
”動脈硬化と血栓症:アテローム血栓症における血栓形成機序”

静脈血栓組織におけるFibroblast activation protein α の発現を明らかとした原著論文が公開されました

当講座 大栗先生らの、DVT患者より吸引された静脈血栓を用いた研究成果が、Thrombosis Research に掲載されました。
本研究では、静脈血栓は経時的な変化とともに、反復性に新鮮血栓が形成されていること、血栓の線維芽細胞にFibroblast activation protein α (FAP)が発現していることを明らかとしました。
従来、FAPは癌周囲間質に発現することは知られていましたが、静脈血栓にFAPが発現していることを、病理組織学的に世界で初めて明らかとした研究成果です。
今後、静脈血栓の器質化過程における役割や、Imaging の標的としての研究・診断応用が期待されます。
(Open access であり、以下のリンクからご覧いただけます)

Oguri N, Gi T, Nakamura E, Furukoji E, Goto H, Maekawa K, Tsuji AB, Nishii R, Aman M, Moriguchi-Goto S, Sakae T, Azuma M, Yamashita A.
Expression of fibroblast activation protein-α in human deep vein thrombosis.
Thromb Res. 2024 Jun 25;241:109075. doi: 10.1016/j.thromres.2024.109075. Epub ahead of print.

(上記論文より引用掲載)

ISTH 2024 in BANGKOK !!

国際血栓止血学会 (ISTH 2024)が、タイのバンコクで開催されました (2024.6.22-26)。
当講座からは、山下教授、阿萬先生、中村先生が出席され、研究発表をされました。

Oral session: Clinical significance of biomarkers and NETs in thromboinflammation
Eriko Nakamura “Fibrin and von Willebrand factor deposition, and neutrophil extracellular traps formation during human coronary atherogenesis”

Poster session
Murasaki Aman “Enhanced expression of protease-activated receptor-1 and platelet and fibrin depositions in placenta accreta spectrum”

第46回日本血栓止血学会学術集会で受賞講演・研究発表を行いました

2024年6月13日-15日、金沢で第46回日本血栓止血学会学術集会が開催されました。
当講座より以下の研究発表・学術奨励賞受賞講演が行われました。
また、山下教授が一般口演の座長を務められました。

・一般口演:大栗伸行
“深部静脈血栓症におけるfibroblast activation protein α の発現”

・一般口演「動物モデル(凝固)」:山下 篤(座長)

・学術奨励賞受賞講演:魏 峻洸
“Histopathological features of cancer-associated venous thromboembolism: presence of intrathrombus cancer cells and prothrombotic factors”

・第17回DAIICHI-SANKYO SYMPOSIUM FOR THROMBOSIS UPDATE:魏 峻洸
“人体病理から解析するがん関連静脈血栓塞栓症”

プラークびらんモデルによる血栓形成とVIII因子の関わりを明らかにする原著論文が公開されました

当講座ご出身の杉田千泰先生(九州医療科学大学薬学部生化学講座 講師)との共同研究で、家兎プラークびらんモデルを用いた研究成果が、Thrombosis Research に掲載されました。
本研究からは、凝固第VIII因子の増加は、平滑筋に富む新生内膜におけるびらん性血栓成長に寄与することがわかりました。プラークびらんに関連したアテローム血栓症における第VIII因子の潜在的役割が明らかとするもので、プラークびらん・血栓症の病理病態解明に重要な知見と考えられます。
(Open access であり、以下のリンクからご覧いただけます)

Chihiro Sugita, Kazunari Maekawa, Toshihiro Gi, Nobuyuki Oguri, Eriko Nakamura, Eiji Furukoji, Minako Azuma, Yujiro Asada, Atsushi Yamashita.
Elevated plasma levels of factor VIII enhance arterial thrombus formation on erosive smooth muscle cell-rich neointima but not normal intima in rabbits. 
Thromb Res 2024;238:185-196. https://doi.org/10.1016/j.thromres.2024.04.025

新しい大学院生が加わりました!

2024年4月より、循環器内科医師の内田暁子先生が、当講座で博士課程を開始しました。
内田先生は、当講座で医学生時代から継続的に研究活動を行っており、医学科研究者育成コースで学長賞を受賞しています。
今後も、循環器疾患の病態病理解明に向けて、一緒にがんばりましょう!

症例報告:Paratesticular cellular angiofibroma

当大学医学部附属病院泌尿器外科の村嶋先生らが、傍精巣領域に発生したCellular angiofibromaについて症例報告を行いました。本症例は、当講座の魏助教が九州沖縄スライドコンファレンスで発表した症例であり、共著者として分担執筆を行いました。
希少な良性軟部腫瘍であり、重要な知見集積であると考えられます。
*Open access であり、以下のリンクから本文を読むことができます。

Murashima, T., Kida, K., Gi, T. et al. Paratesticular cellular angiofibroma: a case report. J Med Case Reports 18, 170 (2024). https://doi.org/10.1186/s13256-024-04499-y

第113回病理学会総会で研究発表を行いました

2024年3月28日-30日にかけて、名古屋にて第113回病理学会総会が開催されました。
当講座からも、以下の研究発表を行い、活発な議論が行われました。

・筆頭演者:阿萬 紫 助教
(ポスター)
「癒着胎盤におけるPAR-1発現およびその活性化因子に関する検討」
“The expression of PAR-1 and its activators in placenta accreta spectrum.”

・筆頭演者:堀内 早紀 さん(研究者育成コース)
(学部学生ポスター)
「冠動脈硬化巣におけるフィブリン・フォンウィルブランド因子の発現と好中球細胞外トラップの形成」
“Fibrin, von Willebrand factor, and neutrophils extracellular traps in coronary atherosclerosis”