宮崎大学医学部 病理学講座 構造機能病態学分野
教授 山下 篤
Prof. Atsushi Yamashita (Research map) (Pubmed)
Division of Pathophysiology, Department of Pathology, Faculty of Medicine, University of Miyazaki
2022年9月1日より前任の浅田祐士郎先生を引き継ぎ、宮崎大学医学部 病理学講座 構造機能病態学分野(旧宮崎医科大学医学部 病理学第一講座)の教授を拝命いたしました。
長崎県出身で、1997年に宮崎医科大学(現宮崎大学医学部)を卒業後、宮崎医科大学病理学第一講座に入局し住吉昭信先生(宮崎大学名誉学長)や浅田祐士郎先生にご指導いただきました。なお卒後1年間の内科研修を希望し内科学第一講座(現内科学講座 循環器・腎臓内科学分野)にお世話になりました。大学附属病院の研修医として、3つの内科学講座を研修することで貴重な症例を経験し、多くの先生方にご指導いただけたことは現在の財産となっております。また内科学講座との縁はその後のキャリアに大きく影響し、臨床病理学的研究や基礎研究に関する共同研究の機会に恵まれました。研究内容は、開講当時からの血栓症の病理・病態研究であり、病理標本やモデル動物などを用いて動脈硬化やそれを基盤に発症する心筋梗塞、静脈血栓塞栓症、微小血管の血栓症などを研究対象としています。近年では妊産婦死亡の主な原因疾患である羊水塞栓症や宮崎県で感染が多発している重症熱性血小板減少症候群の研究にも取り組んでいます。現在はデータ駆動型研究が盛んですが、データが蓄積された状況になった際には、病理所見から病態を推察する仮説駆動型研究が重要になると考えています。国内で循環器病理を専門とする教室は少ない状況ですが、それを強みに共同研究を推進し、次世代の育成に励みたいと考えています。
宮崎県内では現在30名弱の病理医が診療に従事しています。2022年度から2023年度にかけて、宮崎市郡医師会病院、古賀総合病院、国立病院機構都城医療センターに新たに常勤病理医が勤務することとなり、県内の病理診療の充実が図られるものと期待しております。また、全国で病理医として活躍している卒業生も少しずつではありますが増加しており、そのネットワークも構築したいと考えております。医学部附属病院病理部の病理診断や解剖は当教室と腫瘍形態病態学分野(旧病理学第二講座)の先生方と分担で担当しており、この体制が診療・教育・研究業務をバランスよく運営していく上で重要と考えております。
「働きやすい環境の構築」、「働いてみたい環境の構築」を教室運営の方針として、病理医や講座の枠を超えた研究者を育成し、県内の病理診療の質の向上や大学の研究を発展させるべく取り組んでいく所存です。
2025年1月
略歴
1997年3月 宮崎医科大学医学部医学科 卒業
2003年10月 宮崎医科大学医学部 病理学第一講座 助教
2004年3月 宮崎医科大学大学院医学研究科博士課程 修了
2007年4月 宮崎大学医学部 病理学講座構造機能病態学分野 助教
2017年10月 同 准教授
2022年9月 同 教授
所属学会
日本病理学会(学術評議員)、日本血栓止血学会(代議員)、日本動脈硬化学会(評議員)、日本循環器学会、日本血管病理研究会(世話人)、国際血栓止血学会、アメリカ心臓協会