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口腔がん

口腔癌とは?

口腔内に発生する悪性腫瘍のことである。舌癌 、上顎歯肉癌、 下顎歯肉癌 、口底癌 、頬粘膜癌、硬口蓋癌、口唇癌に分類されます。

舌癌
下顎歯肉癌
口底癌

口腔癌において転移は多く見られ、そのほとんどが頸部リンパ節転移です。頸部リンパ節が存在すると予後は悪くなることが多いです。

CT : 頸部リンパ節転移

口腔癌のリスクファクター(危険因子)は喫煙、飲酒といった生活習慣やHPV(とくにヒトパピローマウイルス)への感染が挙げられます。つまり、予防することができるのです。また、例え口腔癌を患ったとしても早期発見、早期治療を行えば完全治癒する可能性は高くなります。生活習慣を正すこと、早期発見のため、定期的にかかりつけ歯科医院へ通院することをお勧めいたします。

前癌病変

白板症

将来口腔癌になる可能性が高い病気のことを前癌病変といいます。口腔内で見られる前癌病変としては大きく分けて2種類あります。

一つが白板症、もう一つが紅板症です。口腔内に白い無痛性の隆起性の病気または赤い病気ができていたりしたら早期に専門科に診察してもらうようにしましょう。

当科での口腔癌治療までの診療

口腔癌は早期治療が望ましいため、可能な限り迅速にかつ確実な検査を行います。

口腔がんの早期発見、治療は予後に大きく関与します。
「自分は口腔癌じゃないかな?」、「口腔内に病気ができている!」といったことがありましたらお近くの歯科医院に迅速に相談しましょう。

当科での口腔癌治療

手術

基本的には手術を中心とした治療を行います。切除は進行口腔癌の場合は当科では原発腫瘍と頸部郭清組織を一塊で摘出するpull-through operationを施行し、予後の向上に努めております。また口腔癌の手術は審美性、咀嚼や嚥下そして構音といった機能性を失う可能性があります。当科では様々な再建法を用いてできる限り術後障害を減らすように手術の計画を立てます。

手術例

下顎歯肉癌

切除と同時に下顎骨の再建を行います。当科では血管柄付肩甲骨、広背筋の遊離複合皮弁を用いて再建を行うことが多いです。骨再建を行えば、インプラント治療を術後に行うことができ、よりよい咬合再建が可能となります。

遊離肩甲骨広背筋皮弁採取
下顎歯肉癌切除後、肩甲骨、広背筋にて顎口腔再建

舌癌、頬粘膜癌、軟口蓋癌

切除と同時に舌の再建を行います。当科では血管柄付遊離前腕皮弁を用いて再建することが多いです。

遊離前腕皮弁採取
舌再建術後
口底再建術後

手術を回避したいと希望された患者様には放射線化学療法を行います。当科では年齢や、既往を考慮しながらコンプライアンスの高い抗がん剤を選択するようにしております。

腫瘍の大きさによっては放射線治療と超選択的動注化学療法を行います。これは腫瘍のある部位にだけ多量に抗がん剤を投与する高度先進医療です。大腿部(太ももの内側)の動脈からカテーテルを挿入し、腫瘍の栄養血管を同定し、特定部位に抗がん剤を投与することで、多量の抗がん剤を投与することができ治療効果をたかめることができます。また、副作用もある程度は軽減することができます。当科では本治療で高い治療成績を有しており手術を回避することができた患者様も大勢います。

超選択的動注化学療法例

進行舌癌
舌癌に対して、放射線治療と
舌動脈からの動注化学療法
治療後、舌癌は治癒した。

広範囲顎骨支持型装置

口腔癌等で、顎の骨を失ってしまうと入れ歯を支える土手(顎堤)がうまく機能せず、入れ歯が合いにくくなります。広範囲顎骨支持型装置とは移植した顎骨や、残存した顎骨に対してインプラントを埋入したのちに義歯でかみ合わせを作ることです。保険適応となったため、顎の骨を失いうまく噛めない方も高い費用をかけずにインプラント義歯を作成することができるようになりました。

肩甲骨再建後インプラント埋入
腸骨移植と植皮による
顎堤形成術後インプラント埋入
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