一般の方へ

インプラント治療

失ってしまった歯に入れ歯やブリッジをする従来の治療に、現在ではインプラント治療を加え、かみ合わせを回復させる方法は多様化しています。高齢社会が進む中、全身的な病気を有する患者様が増える一方でインプラントの需要も増えてきています。人間の一生の終わりを迎えるまで天然歯牙のように日常の食事をすることはQOL(生活の質)の向上につながることは言うまでもありません。とは言え、すべての患者様にインプラントが適応できるか?といわれると現在のところ当科ではそうではありません。

インプラント治療の適応

  1. セルフでの口腔細菌のコントロール可能な患者様
  2. 口腔内に放射線治療の経験がない患者様
  3. 不正咬合のない患者様

上記の3点は必須条件で、それ以外にもインプラントを断念せざるを得ない場合はあります。

また、当科で施行しているインプラント治療は、「All on 4 ,All on 6」、「骨欠損部位への骨移植」、「広範囲顎欠損へのインプラント治療」などです。
骨移植に用いる骨補填材種類としては以下のようなものがあります。

i) ?自家骨

下顎枝からのブロック移植、または粉砕骨
腸骨海綿骨移植

ⅲ) 人工骨

B-TCP(β-リン酸三カルシウム)
Bi-OSS

自家骨移植とは、患者様ご本人の骨を使用し、採取しても日常生活において支障のない部位から採取可能で、自分の骨で有るために、新たな感染症等のリスクは最小限に抑えることが可能となります。
自家骨に加え、患者様の血液から採取したCGFと呼ばれる多血小板フィブリンを用い、自家骨と混和させ骨欠損部位に補填することで、骨造成能力も高めるとされ、積極的に行っております。
下顎枝と呼ばれる親知らず周囲の骨をスクレーパーと呼ばれる器具を用いてそぎ落とすときもあれば、欠損形態によりブロックで採取することもあります。
また、腸骨と呼ばれる、腰周囲の骨より海綿骨を採取し、骨欠損部位に使用するケースもあります。 これらは骨欠損量、骨欠損形態により採取する部位、採取方法が事異なってきます。

当科での治療例

図1 初診時パノラマ
インプラン埋入後

図1は骨移植を必要としない、いわゆる一般的なインプラント治療です。術後のレントゲンで下顎左右に各2本と、左上顎に2本インプラントがきちんと埋入させていることがわかります。

当科のインプラント治療では術前にシュミレーションをしっかりと行います。
特に下顎の臼歯部にはオトガイ神経と呼ばれる神経束が近接しているため、術前のシュミレーションが不可欠であります。(図2)

図2、左側臼歯部へのインプラント埋入シュミレーション
オトガイ神経までの距離を十分に保ち、術後の神経症状の回避を予め行っています。

上顎大臼歯部は上顎洞と近接していることよりインプラント埋入において骨量不足が予想される場合には、サイナスリフトを行なっております。サイナスリフトを行う事で、骨量不足である上顎臼歯部のインプラント埋入も可能となります。(図3)以下に当科でサイナスリフトを施行しインプラント治療を行った症例を示します。

図3、左側上顎へのインプラント埋入シュミレーション
上顎洞へ3.5mmの迷入を認めるためサイナスリフトが必要と判断できました。

図4 上顎のサイナスリフト

上顎洞前壁に図4のようにトラップドアを形成し、シュナイダー膜を損傷しないように剥離し、上方に持ち上げることでインプラント治療による上顎洞内へのインプラント体の迷入を避けることが可能となります。

術前
術後

最後に骨移植を行い、インプラント治療を行った症例を示します。

当科でのインプラント治療の理念

トップダウントリーメントの概念を取り入れ、最初に最終補綴装置の形態(最終ゴール)を定め、インプラント埋入位置、本数、埋入方向を決めてから、インプラント埋入手術を行い、インプラント補綴を行うことを理念としています。近年では広範囲顎欠損の患者様に対しても本理念を用いて骨再建→インプラント治療を行っております。

図に示すのは最終補綴物を装着した状態を仮想とした顎骨3Dモデルです。上下顎義歯を図に示すように、装着すると想定し、それに見合うにように顎骨を再建することができれば、広範囲顎骨欠損患者においても咬合機能の回復が可能となるのです。

顎骨3Dモデル

患者様へ

  • インプラント治療をしたい、興味を持っているという患者様は、顎骨精密検査、術前審査診断を施行いたします。
    話を聞いてみたい患者様や検査を受けたい患者様は、紹介状を持っていない場合であれば当科外来にお電話ください。
    外来:0985-85-9887 (月~金 9:00~17:00)
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