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矯正歯科治療

矯正歯科治療ってどんなもの?

矯正歯科治療では、顎の位置や歯並びを整えて上下の歯がしっかり咬み合うようにします。これによって、食物を咬む、発音するといった口腔の機能を高めます。

大学病院でも普通の矯正歯科治療ができますか?

大学病院では般の矯正歯科治療も行っていますが、外科処置が必要な埋伏歯の治療、あごの手術を伴う顎変形症、口唇口蓋裂その他の疾患に伴う不正咬合など、口腔外科の専門医や言語聴覚士、医科診療科と連携した治療が必要な患者様を中心に治療を行っています。

対象となる歯ならびや咬みあわせの不正は?

治療の対象となる歯並びや咬みあわせの不正には、叢生(歯のでこぼこ)、下顎前突(受け口)、上顎前突(出っ歯)、上下顎前突(口元の突出)、開咬(上下の前歯が咬み合わない)、空隙歯列(すきっぱ)などがあります。永久歯が自然に生えてこない場合、骨の中に埋伏している歯にボタンをつけて、引っ張り出す治療も行います。下あごが小さい子供さんでは、睡眠時無呼吸症が隠れていることがあり、そのような場合には、顎の成長をうながす装置を使用することで改善することがあります。

対象年齢は?

患者さんによって、治療を開始する時期は異なります。
不正咬合の多くは、幼少期からの口呼吸や扁頭腺の肥大、唇を咬むなどの悪習癖、舌や顎の動きが未発達で乳幼児期のえん下や咀しゃく・発音のパターンが残ったままになっている、といったことが原因で生じます。遺伝の影響が含まれている場合もありますが、早い時期から原因を突き止めて管理すれば、軌道修正できる可能性が高くなります。そこで、乳歯列期から不正咬合の予防に関するご相談や癖を治す訓練、治療などを行っています。

また小学校の低学年頃になり、歯の抜けかわる時期に入ると、顎のずれや咬み合わせの不正が目立ってきます。こうした不正も、計画的な乳歯の抜歯、顎の成長や歯列の大きさをコントロールする装置の使用などにより、正常な方向に誘導することができます。

小学校の高学年頃になると、永久歯が生えそろうので、歯並びを最終的に整える治療が始まります。下あごが特に大きい場合などは、あごの骨の成長が止まるのを待って治療を行う場合もあります。この場合には、しばらく経過観察を行った後、思春期かそれ以降に治療を再開します。

成人の患者さんも増えています。50代以降になってから治療を始められる方も増えています。虫歯などで歯を抜いた場所へ別の歯を動かす、歯周病の治療効果を高めるために歯列を整えるというケースも見られます。社会の高齢化が進むにつれて、「健康でありつづけたい、生涯、自分の歯でおいしく食事をとりたい、口元を気にせず会話や食事を楽しみたい」といった願いは高まっているようです。

治療期間や費用は?

歯は、あごの骨の中で、微細な骨の吸収と添加が繰り返されながら動いていきます。したがって治療にはある程度の年月を要します。治療期間は、かみ合わせの状態や歯の動くスピードに個人差があるのではっきりとはいえませんが、少数歯の移動では半年から1年程度、歯列全体の治療では2年前後、難しいものではそれ以上かかることもあるようです。成長期の治療では、あごの成長をコントロールするため、3-4歳頃から15歳頃まで成長期を通じて治療を行うことになります。ただし、矯正歯科治療のための通院は、1-2か月に1回程度ですので、学校や仕事のスケジュールと合わせれば、大きな負担になることはないようです。

一般の矯正歯科治療の費用は保険適用外です。全体矯正では通常40-60万円前後かかります。埋伏歯の牽引など部分的な治療では10-20万円前後で済む場合もあります(埋伏歯の状況によって異なります)。

健康保険が適用される症例もあります。①開窓牽引が必要な骨性埋伏歯(3歯以上の永久歯)、②顎変形症(あごの手術が必要)、先天異常(唇顎口蓋裂など)、ダウン症候群、 成長ホルモン分泌不全性低身長症 、6歯以上の先天性部分無歯症、色素失調症をはじめ厚生労働大臣が定める疾患に伴う矯正歯科治療では、健康保険が適用されます。

治療中の注意点は?

矯正装置を装着すると、口腔粘膜や口唇の口内炎、不快感、痛みなどを伴います。また、口腔清掃が難しくなり、清掃が不良な状態が長く続くと虫歯や歯周病になったり、歯が変色してしまったりすることもあります。粘着性の食べ物や、硬い物をかじるような食べ方をすると、装置が脱離して誤飲してしまうこともあります。したがって、矯正歯科治療中は、定期的に通院する、食事や生活上の注意事項を守る、口腔清掃を徹底する、といった患者様のご協力が必要です。

他にも、矯正治療に伴う副作用として、装置の着脱時にエナメル質に微小な亀裂が入る、歯の移動で歯根が吸収して短くなる、歯ぐきが下がる、歯の神経が壊死する、歯の色が変色する、顎関節症の症状が出るなど生じる場合があります。こうした症状は予測が難しく、症状に応じて個々に対応が必要です。また、歯の動き方や成長には個人差があり、計画通りに歯が動かず、治療期間が延びたり治療計画の修正が必要になる場合や、治療後に後戻りを生じる場合もあります。こうした注意点についても十分に説明をお聞きになることをお勧めします。

患者様へ

矯正歯科治療に興味を持っている、話を聞きたい、相談したいという患者様は、まずは相談、検査を行います。大学病院の受診には原則として医療機関からの紹介状が必要です。紹介状をお持ちでない場合は当科外来にお電話ください。外来:0985-85-9887 (月~金 9:00~17:00)

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