教室紹介
Classroom Introduction

循環器グループ

循環器グループは、従来から力を入れている虚血性心疾患および不整脈疾患のカテーテル検査・治療のみならず、心筋症や肺高血圧症の診断と治療、重症心不全患者へのデバイス植込み(心臓再同期療法)なども積極的に行っています。また、検査部の生理機能検査(心電図および心エコー・血管エコー検査)部門も近年充実してきており、若い先生方が生理検査技師と協力して積極的に取り組んでいます。地域医療への貢献についても、当グループ所属の多くの医師を日南市や都城市の基幹病院に派遣しております。以下の当院における循環器グループの特色をご紹介します。

1.診療状況について

入院患者の疾患の内訳は虚血性心疾患が約40%、不整脈疾患30%、弁膜症、心筋症、うっ血性心不全および肺高血圧症が20%、その他(高血圧症、大動脈疾患、末梢動脈疾患など)10%となっています。近年不整脈疾患や心筋症関連そして肺高血圧症が増加傾向です。循環器グループの週間予定ですが、月曜日の朝に英文教科書の勉強会、月曜日午後、火曜日夕、木曜日夕に循環器カンファレンスを行い、水曜日朝には当院心臓血管外科スタッフとハートチームカンファレンスを行っています。

2.カテーテル検査、治療について

虚血性心疾患、弁膜症、心筋症、心サルコイドーシス、肺高血圧症等幅広い疾患に対するカテーテル検査、虚血性心疾患や心筋症患者等に対する心筋シンチグラフィー検査、不整脈疾患に対する心臓電気生理学検査等を行っています。治療につても冠動脈インターベンション、カテーテルアブレーション、人工ペースメーカー、植込み型除細動器および両室ペーシング機能付き除細動器の植込みを行っており、最近では心房細動のアブレーションも手掛けています。

3.生理検査室の紹介

大学附属病院の改築に伴いまして生理検査室も改装され非常に機能的になりました。待合室も広く、心電図室、負荷心電図室、心臓超音波室、血圧脈波室ときちんと個室で区分されており、患者様のプライバシーが守られるつくりとなっています。近年心臓超音波検査を主に担当する検査技師の方の協力により検査件数は飛躍的に伸びております。最近は3D心エコーによる評価や臨床研究にも取り組んでいます。また、循環器医師と検査技師とのカンファレンスを毎週月曜日の夕に行い、診断スキルの向上に努めています。

4.臨床研究と基礎研究について

当グループにて最近行っている臨床研究には以下のようなものがあります。低左心機能患者における右室機能の超音波検査による評価、低左心機能患者に対する利尿薬投与の予後に与える影響とMIBG心筋シンチとの関連、冠循環におけるアディポネクチンの役割と心血管イベントとの関連など研究分野は多岐にわたっています。基礎研究については、糖尿病実験モデルを用いた糖尿病大血管障害に関する研究、循環器疾患における間質細胞の役割等を中心に基礎研究を行っています。大学院生を主に少ない人数ではありますが、国内学会、国際学会に積極的に参加しており、研究に興味のある若手医師の参加を切に願っております。

初期及び後期研修医先生へ

当科には、年間20名前後の研修医の先生方がローテートしてこられます。そのうち循環器グループの受け持ち期間は平均1ヶ月半程度になります。循環器疾患の中には緊急で対処が必要な疾患(急性心筋梗塞、大動脈解離、心室性不整脈、肺塞栓症など)も多く、救急医療に関する経験・知識も身につけることができます。また、心臓カテーテル検査、カテーテルアブレーション、経皮的冠動脈インターベンションなどの検査・治療も多く経験することが可能です。研修内容は決して楽なものではありませんが、指導医からの指導体制やカンファレンスも充実しており、得られる知識や技術も多く、今後の医師としての基礎を築く上で非常に有意義な研修期間となると確信しております。

■循環器グループの初期研修期間にできること

  • ・循環器疾患に対する診断、治療方針決定についてのノウハウ
  • ・循環器緊急疾患に対する初期対応、治療、入院管理等
  • ・循環器疾患における基本的な薬剤の使用方法
  • ・基本的な循環器系検査・治療の手技(運動負荷心電図検査、心エコー検査、スワンガンツカテーテル挿入、体外式ペースメーカー留置等)

■入局後の後期研修期間にできること

上記に加え、心臓カテーテル検査(冠動脈造影、左室造影、心臓電気生理学検査)、恒久的ペースメーカー植込み術、下大静脈フィルター留置術等のより専門的な検査・治療

高血圧研究室

1.診療活動

■患者さんへ

日本の高血圧患者数4300万人といわれており、高血圧はもっと患者数の多い一般的な病気いわゆるCommon diseaseです。多くの患者さんは近くの医療機関で治療を受けておられますが、大学病院では特別な検査や治療の必要な高血圧患者さんの診療を行っております。具体的には、ホルモンの異常が原因となっているような二次性高血圧や治療抵抗性の重症高血圧患者さんが対象です。どうしても血圧が下がらないとか、血圧が上がったり下がったりして困っている場合などは、主治医の先生と相談してから当科を受診してください。
 そのほかに、動脈硬化に伴って血管が障害されてきますが、動脈硬化の程度を判断するための検査も行っております。また、禁煙外来も実施していますので、受診希望の方は、大学附属病院の「禁煙外来について」のところを参照ください。

■医療関係者の方へ

高血圧グループでは以下のような診療を実施しております。
 ▶高血圧緊急症を含む重症高血圧の治療
 ▶二次性高血圧の診断と治療(特に原発性アルドステロン症)

利尿薬を含む3剤以上の降圧薬を使用しても目標血圧に到達しない場合を治療抵抗性高血圧と定義していますが、日米の研究で治療抵抗性高血圧の割合は13%程度と報告されています。この中で、本当に治療に難渋する患者は0.5%程度であり、このような患者には特別な対処が必要になります。血圧コントロールで困っている患者さんがおられたら、気軽に当科をご活用ください。
二次性高血圧の中では、原発性アルドステロン症の頻度が従来考えていたよりはるかに多いことが話題となっています。報告によっては高血圧患者の10%程度というものもありますが、現実的には~3%程度の患者が本症の可能性があると思われます。日本内分泌学会のガイドラインにあるとおり、アルドステロン・レニン同時測定でこの比が20(アルドステロンの単位ng/dL)または200(アルドステロンの単位pg/mL)以上の時はそのまま当科へご紹介ください。患者さんの状況に合わせて、腹部CTによる副腎腫瘍の確認、各種内分泌負荷試験を実施し、適応がある患者さんには副腎静脈サンプリングにて手術療法の適否を判断します。ただし、最近はスクリーニング検査が普及したことにより、比較的軽症の特発性アルドステロン症が多く見つかるようになっています。参考として、最近副腎静脈サンプリングを行った38例中9例が片側性病変(腺腫によるAPA)で、残り29例は両側性病変で特発性アルドステロン症(IHA)と診断しました(特発性が76%)。なお、9例の片側性病変のうち典型的な腫瘍側からのアルドステロン過剰分泌が認められた症例は4例のみでした。これらの症例の分析結果は以下のとおりであり、注目いただきたいのは両側性病変においてはほとんど低カリウム血症を認めず、負荷試験で陰性になる症例も少なくありません。

片側性(APA) 両側性(IHA)
患者数 9例 29例
CTで腫瘍あり 6例(2例は非機能性腫瘍) 2例
低カリウム血症 6例 3例
カプトプリル負荷試験陽性 7例 13例
立位・フロセミド負荷試験陽性 8例 17例
両方の負荷試験陰性 1例 9例

このため、当科ではACTH負荷試験を追加して、アルドステロンの過剰分泌があるかを確認し、強いアルドステロン過剰分泌が認められる症例に積極的に副腎静脈サンプリングを実施しています。このため、ACTH負荷に対するアルドステロンの過剰分泌が少ない症例は紹介元で経過をみていただく場合があります(手術適応にならないため)。

2.研究活動

■生理活性ペプチドに関する研究

宮崎大学で心房性Naペプチド(ANP)や脳性Naペプチド(BNP)が発見され、現在ANPは心不全の治療薬、BNPは心不全の評価指標として広く使用されています。当科では1993年に北村先生がアドレノメデュリンを発見し、その後基礎研究、臨床研究で数多くの論文を発表しています。ここ10年ほどはアドレノメデュリンを治療薬として開発するための医師主導治験を精力的に実施しています。アドレノメデュリンは血管拡張性の降圧ホルモンであり、当初循環器疾患への応用が検討されましたが、アドレノメデュリンは同時に免疫調整、組織修復機能を有しており、治療薬としてはこちらの用途が主力となっています。アドレノメデュリンの製剤開発から健常人を対象とした第Ⅰ相治験が終了した後、全国の主要施設の参加を得て炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病)に対する第Ⅱ相治験を実施しました(潰瘍性大腸炎に関しては論文発表済)。また、アドレノメデュリンは敗血症や重症肺炎で血中濃度が大きく上昇し、これらの炎症に対する生体防御因子として作用しています。現在、世界中で問題となっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でもアドレノメデュリンの著明な上昇が確認されており、その有効性が期待されています。そこで、全国の主要な施設の協力を得て、COVID-19による中等症から重症肺炎に対する治療薬開発をめざした第Ⅱ相医師主導治験が現在進行中です。

3.社会活動

■高血圧治療ガイドライン作成

高血圧は患者数が最も多い疾患であり、治療ガイドラインの作成は非常に重要な意味を有しています。日本高血圧学会は早期よりガイドライン作成に尽力し、2000年に最初のガイドラインが作成されました。当教室は2000年から高血圧治療ガイドライン作成に参画してきています。第5版となる高血圧治療ガイドライン2019が最新のガイドラインとなります。また、同ガイドラインをベースにした、高血圧専門医受験の参考となる専門書「高血圧診療ステップアップ」の作成にも参加しています。

■研修医の皆様へ

当教室での研修は重症高血圧の管理、原発性アルドステロン症をはじめとした二次性高血圧の診断と治療がメインとなります。高血圧は初期研修において必ず経験しないといけない重要な疾患です。当科は高血圧学会による高血圧認定施設であり、高血圧専門医(指導医)を有し、高血圧に関して基本から応用まで体系的に学べる施設となっています。皆様の参加を歓迎します。