教授挨拶
Top Message
宮崎大学医学部内科学講座
循環器・腎臓内科学分野
教授
海北 幸一
Kaikita Koichi
循環器および腎臓内科領域に全力を尽くす
宮崎大学医学部内科学講座循環器腎臓内科学分野のホームページへようこそ。早いもので、2021年5月1日付けで宮崎に赴任して2年が経過しました。新型コロナウイルス感染症も2023年5月8日、5類感染症となり、診療の面だけでなく、教育、研究においてもパンデミック時代の低迷を取り戻さないといけない状況となっております。
先代北村和雄教授より当教室を引き継がせて頂いた2021年5月はパンデミックの真っ只中でしたが、この赴任後2年間で取り組んだ内容と成果を振り返ってみたいと思います。
診療の面では、循環器内科、腎臓内科の外来、入院患者数の増加、特に救急循環器疾患患者数を増加させることを目標としました。循環器内科では、同門の先生方からの直通電話であるハートコールの再周知と、循環器救急疾患患者のヘリ搬送の御依頼を促しました。それらに加えて、2021年10月より、宮崎市内の消防署と大学病院との間で心電図伝送システムによる患者搬送システムを開始しました。これらの取り組みにより、急性冠症候群患者の受け入れ数が2倍以上増加し、急性心不全、頻脈性および徐脈性不整脈の受け入れ患者数も増加しております。2022年12月より新しく心臓カテーテル検査室が増設されましたこともあり、冠動脈インターベンション(PCI)の件数も倍増しました。不整脈グループも着実にカテーテルアブレーション症例数を増やしており、今までアブレーション治療まで4-5ヵ月待ちの状態でしたが、上述の心カテ室増設により、スムーズに治療が進むようになりました。さらにペースメーカ、ICD、CRT等のデバイス治療も急増しております。上述の心電図伝送システムと大学への紹介患者の促進により、重症心不全の受け入れも増加しており的確な病棟管理の上、最先端薬物治療、デバイス治療に従事しております。重症大動脈弁狭窄症に関しては、この2年間で当科への紹介も増えており、心臓血管外科の先生方とともにTAVI治療の件数も伸びております。今後重症僧帽弁閉鎖不全に対する経カテーテル治療であるMitraClipの導入も予定しております。
腎臓内科の分野では、近年の生物学的製剤をはじめとした多くの薬剤の開発により従来と異なる新たな腎機能障害が引き起こされるようになりました。その結果、急性腎障害(AKI)に対する専門的な対応を求められることが多くなっておりますが、当科では迅速な対応で早期にAKIに介入することで腎予後・生命予後の改善につなげる取り組みをしております。また、末期腎不全患者に対しては、血液浄化療法部での年間透析施行数も2000回超と右肩上がりであり、全国の国公立大学医学部附属病院の統計でも同規模の施設よりも多い施行回数になっております。
研究面では、この2年間の幾つかの新規研究の立ち上げや国内留学、海外留学の促進に伴い、学会発表、論文発表も増えて参りました。また、2023年3月に、日本循環器学会から、「2023年JCS/CVIT/JCCガイドラインフォーカスアップデート版 狭⼼症と冠微⼩循環障害の診断と治療」が発刊されております。私は副班長を務めさせて頂いておりますが、日本語版、英語版共に発刊されておりますので、お時間のある時にご確認頂けますと幸いです。
諸先輩方からよくお聞きする武田信玄の名言「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」が、最近、よく理解出来るようになってきました。この2年間、当科の全医局員に積極的な新入医局員の勧誘を促してきた御陰で、2023年度は当教室に10名の新しい先生方が入局してくれました。2024年度から働き方改革もスタートしますので、循環器内科、腎臓内科に興味を持たれている多くの若い先生方に入局して頂き、活気のある教室へと発展することを望みます。
現在の当教室の取り組みが、数年後にどのように評価されるのか、期待と不安に満ちておりますが、今後とも御指導の程宜しくお願い申し上げます。
■海北 幸一 プロフィール
宮崎大学医学部内科学講座 循環器・腎臓内科学分野教授
<略歴>
1991年 |
熊本大学医学部卒業 |
1991年 |
熊本大学医学部附属病院循環器内科研修医 |
1992年 |
熊本市民病院内科 |
1992年 |
熊本赤十字病院内科 |
1993年 |
新別府病院循環器科 |
1994年 |
熊本大学大学院医学研究科入学 |
1998年 |
医学博士の学位取得(熊本大学) |
1998年 |
熊本市民病院循環器科 |
1999年 |
米国Vanderbilt大学メディカルセンター心血管部門
Research Fellow(Douglas E. Vaughan教授) |
2002年 |
熊本大学医学部病理学第二講座(現細胞病理学分野)助手 |
2004年 |
熊本大学大学院医学薬学研究部循環器病態学助手 |
2006年 |
熊本大学大学院医学薬学研究部循環器病態学講師 |
2007年 |
熊本大学医学部附属病院循環器内科講師 |
2008年 |
熊本大学医学部附属病院循環器内科医局長 |
2012年 |
熊本大学医学部附属病院循環器内科講師 |
2015年 |
熊本大学医学部附属病院循環器内科副科長 |
2017年 |
熊本大学大学院生命科学研究部循環器内科学准教授 |
2021年5月 |
宮崎大学医学部内科学講座循環器・腎臓内科学分野教授 |
2021年10月 |
宮崎大学医学部附属病院副病院長 |
|
宮崎大学医学部附属病院臨床研究支援センター長 |
<資格>
- 日本内科学会認定内科医
- 日本内科学会総合内科専門医
- 日本内科学会内科指導医
- 日本循環器学会循環器専門医
- 植え込み型除細動器/ペーシングによる心不全治療施設認定医
- 身体障害者福祉法第15条指定医
- 難病指定医
- 日本心血管インターベンション治療学会認定医
- 日本経カテーテル心臓弁治療学会TAVR実施医
- 日本血栓止血学会認定医
<所属学会>
- 日本内科学会
- 日本循環器学会(FJCS,社員)
- 日本心臓病学会(FICC,社員)
- 日本心血管インターベンション治療学会
- 日本不整脈心電学会
- 日本血栓止血学会
- 日本循環器学会九州地方会(幹事・評議員)
- 日本動脈硬化学会
- 米国心臓協会
- 欧州心臓病学会(FESC)
- 日本経カテーテル心臓弁治療学会
- 日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄支部運営委員
- 日本心血管画像動態学会(評議員)
- 認定NPO法人日本心血管協会(評議員)
- 日本成人先天性心疾患学会