ヨーロッパ心臓病学会学術集会(ESC Congress 2024 London)を振り返って
今回ロンドンで開催されたESC congress 2024 Londonに参加させていただきました。
卒後11年目にして初の海外学会参加となりました。
「水光くん、今度のESCに演題出してみたら?」
2024年2月に海北教授および松浦先生からこの一言をかけていただいたことがきっかけでした。これまで日循総会のポスターセッションがやっとでしたが、ESCの採択率はそんなに高くないと聞き、とりあえずこれまで進めてきた心アミロイドーシスと冠微小循環障害のデータをまとめ、応募してみました。
それから3ヶ月ほど経ち、朝起きると「Congratulations!」が一文目のメールが届いていました。まさかと思って開いてみるとESC採択通知のメールでした。正直嬉しいという気持ちより、どうしようという不安が9割くらいしめていました。というのも英語が全くできない自分ですので、発表はもちろん、海外での行動も含めて不安しかありませんでした。演題取り下げ?も一瞬だけ頭によぎりましたが、せっかくのチャンスを断ったら今後の大事なステップを自分から捨ててしまい、絶対に後悔してしまうと思い、チャレンジしてみることにしました。
パスポートを作ることから始まり、そして約4ヶ月間、演題のブラッシュアップと英語の練習を重ね、いよいよESCに出発となりました。
私の発表は初日の午後からでした。まずESCの会場に到着し、雰囲気に高揚感を感じました。数多くのブースがあり、様々な人種、様々な年代の医師が集い、皆が自信をもって発表していました。メインの会場ではHot Lineやガイドラインセッションの雰囲気にも圧倒されました。
そして私の発表ですが、Moderated e-poster sessionで現地での発表3分間、質疑応答2分間でした。聴衆は思いのほか多く、50人以上集まり、アミロイドーシスの対する世界的な関心を感じました。非常に緊張しましたが、発表は無事終えることができました。しかし、質疑応答は苦い思いをしました。事前にいろいろな質疑応答の準備をして臨みましたが、ネイティブの質問は聞き取ることすら困難でした。やはり付け焼き刃の英語学習では十分ではなく、継続して英語を学習していくことの重要性を感じました。
一方で、日常の臨床研究で行っている内容で、十分に世界で戦えることも感じました。今回、心アミロイドーシスや冠微小循環障害を中心にModerated e-poster sessionを聞きましたが、海外の発表と比べて普段私たちが行っている研究も遜色ないと感じました。もちろん目を見張るような最先端の研究もありましたが、私が拝聴した内容は当科でのリサーチミーティングで他の先生の話を聞いているような内容でした。宮崎という田舎の地ではありますがそこに縮こまることなく、世界で十分に戦えると胸を張って研究を続け、発信すべきだと感じました。
最後に環境を変えることの大事さも感じました。今回ESCで非常に刺激を受けましたし、空いた時間にロンドンの街を歩くことでリフレッシュできました。日常診療や研究の中で行き詰まることもありますが、一旦そのような現場から離れて刺激を受けることで、改めて日常診療をよりよくしていけると思いますし、新たな研究のアイデアを思い浮かべることもできると思います。
今回の海外発表で満足することなく、今後も学会発表や論文作成に向けて日々精進していこうと思います。
今度11月に開催されるAHA2024 米国心臓学会議には当科からは森林先生と田中先生が発表されます。今回自分の発表で先輩方にいい流れが作れたと信じて、先輩方の成功や、当科の発展を祈念したいと思います。
最後にこのような機会を与えていただいた海北教授、演題作成からロンドンでの行動まで終始お世話になり続けた松浦先生、そして不在の間に病棟を守っていただいた、医局員やスタッフの皆さま、本当にありがとうございました!
水光洋輔