2018.01.05
宮崎大学医学部内科学講座循環体液制御学分野では、下記の臨床研究に、試料・情報を提供しています。皆様には本研究の趣旨をご理解頂き、ご協力を承りますようお願い申し上げます。
提供先の研究課題名:IBDにおけるニューモシスティス肺炎発症患者の実態調査:多施設共同研究
1提供先の研究に関する情報
1)研究の目的や概要について
抗TNF抗体製剤の登場により炎症性腸疾患(IBD)において、多くの患者さんが寛解導入・寛解維持されるようになりました。その反面、免疫抑制状態にともなう感染症合併の報告も増加しています。特にニューモシスティス肺炎(PJP)はIBDにおいて稀ではあるものの、一度発症して治療介入が遅れれば致死率は高いことが知られています。そのため欧米のガイドラインでは、抗TNF抗体製剤もしくはカルシニューリン製剤を含む3剤の免疫抑制剤使用中の患者にはST合剤の予防的投与が推奨されています。しかしすべてのIBD患者に予防投与が本当に必須なのかは議論の残るところです。そのため今回我々はIBD症例におけるPJPの死亡リスク因子を検討することとしました。死亡リスク因子が解ることにより,PJP発症後の死亡の回避や必要最低限の患者さんにのみST合剤の予防投与を行うことができるようになると考えられます。
本研究は2002年1月1日から2017年8月1日までに宮崎大学医学部附属病院消化器内科(旧第一内科)において受診歴のある炎症性腸疾患(IBD)患者さんを対象とします。その中でもニューモシスティス肺炎(PJP)を発症したIBD症例全例を抽出して検討を行います。治療経過、転帰等の臨床経過を診療情報から後方視的にデータ集積を行います。具体的には免疫調節剤や抗TNF-α抗体製剤といった薬物療法の使用状況やST合剤の使用状況について調査します。集積されたデータをもとにPJP発症に関する声明予後やIBDの治療転帰等について後方視的に解析を行います。一施設では限られた症例数となるため、全国より参加施設を募り研究を遂行します。本研究によりIBD患者のPJP発症に関する実態把握が可能となり、適切な治療選択が可能になることが期待されます。なお、この研究は、炎症性腸疾患の治療に関連する新しい知識を得ることを目的とする学術研究活動として実施されます。
2)研究実施予定期間
上記の研究は、倫理委員会承認後から平成30年2月まで行われます。
2対象者
提供する試料・情報の対象となるのは、平成14年1月から平成29年8月に本院消化器内科(第一内科)に入院され、ニューモシスチス肺炎を併発された潰瘍性大腸炎の患者様が対象となります。
3提供する試料・情報の内容
対象となる方のカルテ情報から、下記項目を利用させて頂き、これらの情報をもとにIBDに合併したPJP罹患後の死亡について解析し、PJP発症リスク因子を検討します。
1) 年齢と性別
2) 疾患(UCまたはCD) 病型を記載
3) 投薬内容 IBDの治療で使用される免疫抑制薬(anti-TNF、ステロイド、Tacrolimus、CyA、Thiopurine等)の投与内容について記載
4) 血液検査
上記投薬開始時期のWBC, Lym, TP, ALB,CRPの測定結果を記載
5) 喫煙の有無
6) 癌、肺疾患や糖尿病等の有無
7) PJP発症前後でのST合剤予防投与の有無
8) PJP発症後の有害事象(長期入院、肺機能低下などの後遺症等)の有無
9) 転帰はPJP発症後死亡または軽快等の有無
上記の情報を、大阪市立大学医学部附属病院消化器内科 鎌田紀子医師(共同研究機関責任者)まで提供いたします。なお、匿名化加工によって対象者の個人情報保護は十分配慮されています。
4ご質問などの連絡先
この研究に関して疑問、質問があった場合は下記連絡先へ連絡をお願い致します。
宮崎大学医学部内科学講座循環体液制御分野
職名 助教、氏名 芦塚 伸也
電話:0985-85-9227
FAX:0985-84-3580