ごあいさつ

挨拶

宮崎大学医学部附属病院 救命救急センター センター長

落合秀信

宮崎大学医学部附属病院救命救急センターは、平成24年に宮崎県で第3番目の救命救急センターとして指定を受け、今年で開所8年目に入りました。現在は主に宮崎県全域を対象に重症救急患者さんの診療に当たっておりますが、年々受診される患者さんの重症率は上昇してきており、微力ではありますが宮崎県における救急医療の最後の砦としての役割は果たせているものと思っております。また当院は、宮崎県の基幹災害拠点病院にも指定されており、宮崎県における懸念事項の1つである南海トラフ巨大地震や津波、そして新燃岳等の噴火による火山災害などの自然災害、そしてテロ活動などの人為災害に対する医療体制の構築にも積極的に取り組んでおります。ここ8年間で当救命救急センターの体制もかなり洗練されたものになってきており、平成30年度の厚生労働省救命救急センター充実段階評価では、最上位の「S」評価をいただくことができました。これも院内各部署のみならず、連携してくださる諸機関のご協力のおかげと深く感謝しております。

現在の救急科スタッフは、教授1名、講師(病院准教授)1名、助教(病院准教授)1名、助教6名、救急科専攻医4名の13名で、院内各診療科・各部署のご協力のもと、ER診療、ドクターヘリ並びにドクターカーによる病院前救急診療、重症外傷診療、集中治療など幅広い救急診療を展開しております。 また、専攻医研修の一環として国内留学も積極的に行っており、現在2名がER型救急、そして中毒診療を極めるべく国内最先端の医療機関で修行中です。彼らが成長し戻ってきて宮崎の救急医療をさらに発展させてくれることをスタッフ一同楽しみにしているところです。

診療におきましては、通常の救急患者受け入れのみならず、宮崎県全域を俯瞰し、県北、県央、県南、そして県西部各地域の救急医療拠点病院に常勤医師もしくは非常勤医師を派遣してそれら地域の救急医療体制の充実を図りつつ、それら救急医療施設のhub施設として当救命救急センターがバックアップする診療体制も構築しています。その結果、当救命救急センターにおける入院患者さんの重症率は年々上昇しています。 患者さんの内訳は、多発外傷などの外因性疾患が6割程度、重症敗血症や脳血管疾患、心疾患などの内因性疾患が4割程度となっています。 当然ですが中毒や熱傷などの特殊救急疾患の診療も幅広く行っております。
一方、「病院まで持たない命をつなぐ」をコンセプトに開始したドクターヘリも総要請件数が3,500件を超えました。 重症外傷に対する救急現場出動が多く、外傷センターそして医療過疎地へのバックアップ機能も十分果たせていると思います。
また、ドクターカーも、平日準夜帯4時間の限られた運用であるにも関わらず年間100件程度の出動があり、宮崎県全域に出動しています。
さらに陸路到達困難な地域での重症救急患者にも迅速に対応するために、県と協定を結び開始した防災ヘリコプターによる救急現場医師投入もこれまで3件の活動実績があり、全国でもトップレベルの病院前救急診療を展開しています。

専攻医教育におきましては、「地域で最強の救急総合医を育成する」を合言葉に、「For MIYAZAKI救急科専攻医プログラム」を立ち上げ、卒後3年目の救急科専攻医を診療チームのリーダーとする独自の教育方法を行ってきました。現在、8名がこのプログラムにのって救急科専門医取得を目指しています。この教育方法についてアンケートをとりましたところ、「つらい面もあるが指導医の掌の中で多くの症例を経験でき、早く実力をつけることができるとても良いシステム」という意見を専攻医から多くいただきました。今後も幅広く専攻医の意見を取り入れつつ、救急科専攻医の先生方が”生き生きと輝き、後輩の憧れの的となる”ような効果的な教育システムとなるようup dateしていきたいと思っております。

研究面では、外傷診療ネットワーク構築、補体系と凝固系のクロストーク、航空医療システム、重症頭部外傷の治療、急性期脳梗塞の遠隔診療支援体制の構築、災害医療などに関する研究を行っており、関連学会はもとより欧文誌や和文誌にその成果を報告しています。

国際連携としては、カリフォルニア大学アーバイン校 (UCI) 救急医学へ定期的に訪問しスタッフ交流を深めています。 また、これまでタイ、中国、南スーダン、スロベニアからの留学生受け入れも行っています。

最後に、まだまだ開所8年目の若い救命救急センターではありますが、皆様方のご支援のおかげで診療のみならず、教育や研究、国際連携においても少しずつ前進することができました。
今後も宮崎県の救急医療の最後の砦として、そして「地域で最強の救急医」を育成する機関として、また、世界を視野に研究成果を発信できる研究機関として微力ながら精一杯邁進していく所存ですので、今後とも変わらぬご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします。


挨拶

看護師長

藤浦まなみ

救命救急センターは、令和元(2019)年で8年目を迎えました。3次医療機関としてあらゆる救急患者を受け入れ、“命をつなぐ”“For MIYAZAKI”の精神で救命救急センターの医師や各診療科の先生方と連携しながら、看護師も積極的に救急医療に対応しております。

現在、看護スタッフは、看護師長1名、副看護師長3名、看護師44名の48名(うち救急看護認定看護師2名)が活動しております。当救命救急センターは専用病床20床を備え、一般病棟に救急科優先のベッド6床を有しております。院内でのベッドコントロールはもちろんのこと、患者支援センター、MSWの協力を得ながら県内多くの医療施設に患者様を広く受け入れていただいております。
平成24(2012)年4月宮崎大学医学部附属病院に救命救急センター開所と同時に宮崎県ドクターヘリの運航が開始され、平成26(2014)年4月には、ドクターヘリの補完としてドクターカーが導入されました。救急現場に医師や看護師を投入することで、病院前から診断・治療を行うことが可能となり、患者様の致命率の向上に貢献しています。

看護師の育成におきましては、救命救急センタースタッフやドクターヘリ運航管理室、各消防機関のご支援のもと、救急看護を担う看護師に求められる基本的能力(知識・技術・態度・接遇)の向上に力を入れております。

新たなフライトナースやドクターカーナースの育成に関しては、フライトドクターや現役フライトナースの指導のもとOJT(On the Job Training)で計画的に経験を積ませております。現場で経験したことや“気づき”はしっかりと本人へフィードバックし、ドクターヘリスタッフミーティングを有効な場として活用しています。また、当センターには、救急車内を再現した画期的なシミュレーション室がありますので、救急科専門医の指導・協力をもらいながら、「ルーブリック(Rubric)」を用いて積極的にスキルアップに励んでおります。さらに、臨床現場においては、リーダーシップのとれる看護師の育成に励み、看護管理に加え、業務態度(責任感、積極性、協調性、規律性、守秘義務、礼節、健康管理)が育まれるよう関わっております。魅力あるリーダーを育成し、メンバーの意識を引き上げることで、救命救急センター全体の底上げにも繋がりますので、更なる看護体制の充実を目指して頑張っていこうと思っています。

学会発表におきましては、宮崎救急医学会や日本救急医学会九州地方会、日本集団災害医学会、日本航空医療学会等で自分たちの活動を発表し、多くの意見や評価を頂いております。看護の力を発展させるためにも研究や活動報告を継続的に行っていきたいと思っております。

研究に関しては、人工呼吸器関連肺炎予防に関する研究に取り組んでおります。また、企業と連携し、災害時のポータブル吸引装置の開発を進め、平成29年度に日本集団災害医学会学術集会でその成果と経過を報告しています。

施設見学におきましては、国内・外より、多くの留学生や救急医療に関心を持つ様々な希望者を定期的に受け入れております。さらに、インターンシップや就職説明会におきましても、救命救急センターで働くことの魅力やフライトナースからのメッセージを伝えることで、救急医療に携わるきっかけになるよう積極的に働きかけています。ドクターヘリやドクターカー展示も様々なイベントを通して行っておりますので、機会がありましたら、ぜひ会場へお越し下さい。

最後に、救命救急の現場は、日々緊張感に包まれております。だからこそ、お互いがコミュニケーションを積極的にとり、信頼関係を築くことが大切だと実感しております。今後も救急に関わるすべてのスタッフと連携を取りながら『患者様の命を救う』という一つの目標に向かって前進していきたいと考えています。このことが救命率の向上、患者様の回復への一歩に繋がっていきます。
これからも地域医療の発展のため、命をつなぐ”救急・災害医療・看護が充実するために、一人ひとりが成長していける環境をスタッフ全員で築いていきたいと思っております。今後ともご指導よろしくお願い申し上げます。


宮崎大学医学部附属病院救命救急センター