白血病に合併する脳出血に関する原著論文が掲載されました

本講座の魏助教らが、白血病に合併する脳出血に関する原著論文を発表しました。

本研究では、白血病患者における重篤な合併症である脳内出血の発症機序を明らかにすることを目的として、剖検例を用いた病理学的解析が行われました。白血病症例37例と対照20例を対象に、中枢神経系の血管病変の特徴および止血関連因子の発現について詳細に検討しています。

その結果、多くの白血病症例では、白血球細胞そのものが脳血管に浸潤することで、内皮障害や血管壁の変性等の血管傷害を引き起こすことを明らかとし、これらが出血の背景となる可能性が示されました。さらに、好中球由来プロテアーゼであるカテプシンGの発現が血管障害と関連し、VEGF発現が白血病細胞の髄膜進展に関連していることが明らかとなり、白血病細胞が血管傷害に関与する分子機序の一端が示唆されました。

Ref) https://doi.org/10.1016/j.rpth.2026.103433

これらの知見は、白血病における脳出血の病態理解を深めるとともに、出血リスクの評価や新たな治療標的の探索につながる可能性があり、臨床的にも重要な意義を有する研究と考えられます。

なお、本研究は、宮崎大学医学研究者育成コースに所属している医学科生の解凱堯さんも参画しました。本研究内容で、解さんは宮崎大学医学研究者育成コース (2025年度) 医学部長賞を受賞しています。

本研究成果は、国際血栓止血学会の公式誌である Research and Practice in Thrombosis and Haemostasis 誌 に掲載されました。

リンクは以下からです。open access であり、どなたでもご覧いただけます。
Gi T, Kai K, Shide K, Nakamura E, Oguri N, Aman M, Maekawa K, Moriguchi-Goto S, Nakai M, Shimoda K, Hisada Y, Yamashita A. Cathepsin G is associated with cerebral vascular injury in myeloid leukemia: A pathological insight into intracranial hemorrhage. Res Pract Thromb Haemost. 2026;10:103433. doi:10.1016/j.rpth.2026.103433.

第115回日本病理学会総会で発表しました

第115回日本病理学会総会(4/16-18, 札幌)において、当講座の山下教授、阿萬助教らが講演・研究発表を行いました。

(シンポジウム: 血管・リンパ管分子生物学最前線)
山下 篤. 「止血機構と静脈血栓形成機序の相違:血液凝固反応からの視点」

(ポスター発表)
若狹 朋子, 阿萬 紫, 竹内 真, 池田 智明. 「妊娠オウム病4例の臨床病理学的検討」

Case report: CD20-Positive Adult T-cell Leukemia/Lymphoma

当大学医学部附属病院 皮膚科学分野の持田講師らが、まれなCD20陽性ATL(成人T細胞白血病/リンパ腫)を、皮膚病変の生検を契機に診断した症例を報告しました。あわせて既報例を検討し、早期の皮膚所見の把握と迅速な診断・治療が予後改善につながる可能性を示しました。
当講座 魏助教が病理診断について共著者となっています。
Open accessであり、以下のリンクからどなたでもご覧いただけます。

Mochida K, Narita Y, Nogami K, Gi T, Sekine M, Amano M. A case of CD20-positive adult T-cell leukaemia/lymphoma: Skin biopsy and analysis contributed to early diagnosis and improved survival.
Indian J Dermatol. 2026. doi:10.4103/ijd.ijd_1001_24 (online published ahead of print)

 

Case report: Helicobacter felis-associated acute gastric mucosal lesion

当講座の阿萬助教らの症例報告が、Pathology international (日本病理学会発行の国際英文誌)に掲載されました。
猫や犬にみられる Helicobacter felis が、人の胃に急性胃粘膜病変を引き起こした稀な症例を報告したものです。詳細な光学顕微鏡・低真空走査電子顕微鏡による形態観察、ならびにRT-PCRにより菌種を確認し、H. felis がヒト胃疾患の原因となり得ること、また病理診断における詳細観察の重要性を示しました。
低真空走査電子顕微鏡は、共同著者である当医学部解剖学講座 超微形態科学分野の澤口朗先生が独自に開発された手法であり、病態解析への応用が進んでいます。

Aman M, Gi T, Maekawa K, Kimura T, Sawaguchi A, Yamashita A. Helicobacter felis-associated acute gastric mucosal lesion: Ultrastructure by low-vacuum scanning electron microscopy.
Pathol Int. 2026;76:e70109. https://doi.org/10.1111/pin.70109 (online ahead of print)

低真空走査電子顕微鏡についてはこちら
Sawaguchi A, Kamimura T, Yamashita A, Takahashi N, Ichikawa K, Aoyama F, Asada Y. Informative three-dimensional survey of cell/tissue architectures in thick paraffin sections by simple low-vacuum scanning electron microscopy.
Sci Rep. 2018;8:7479. https://doi.org/10.1038/s41598-018-25840-8.