プラークびらんモデルによる血栓形成とVIII因子の関わりを明らかにする原著論文が公開されました

当講座ご出身の杉田千泰先生(九州医療科学大学薬学部生化学講座 講師)との共同研究で、家兎プラークびらんモデルを用いた研究成果が、Thrombosis Research に掲載されました。
本研究からは、凝固第VIII因子の増加は、平滑筋に富む新生内膜におけるびらん性血栓成長に寄与することがわかりました。プラークびらんに関連したアテローム血栓症における第VIII因子の潜在的役割が明らかとするもので、プラークびらん・血栓症の病理病態解明に重要な知見と考えられます。
(Open access であり、以下のリンクからご覧いただけます)

Chihiro Sugita, Kazunari Maekawa, Toshihiro Gi, Nobuyuki Oguri, Eriko Nakamura, Eiji Furukoji, Minako Azuma, Yujiro Asada, Atsushi Yamashita.
Elevated plasma levels of factor VIII enhance arterial thrombus formation on erosive smooth muscle cell-rich neointima but not normal intima in rabbits. 
Thromb Res 2024;238:185-196. https://doi.org/10.1016/j.thromres.2024.04.025

症例報告:Paratesticular cellular angiofibroma

当大学医学部附属病院泌尿器外科の村嶋先生らが、傍精巣領域に発生したCellular angiofibromaについて症例報告を行いました。本症例は、当講座の魏助教が九州沖縄スライドコンファレンスで発表した症例であり、共著者として分担執筆を行いました。
希少な良性軟部腫瘍であり、重要な知見集積であると考えられます。
*Open access であり、以下のリンクから本文を読むことができます。

Murashima, T., Kida, K., Gi, T. et al. Paratesticular cellular angiofibroma: a case report. J Med Case Reports 18, 170 (2024). https://doi.org/10.1186/s13256-024-04499-y

PTX3と動脈硬化の関係を明らかとした原著論文が公開されました

本講座盛口助教らと、国立循環器病研究センター、宮崎市郡医師会病院、本学循環器内科などとの共同研究の論文が国際誌であるThrombosis Resarchに掲載されました。
 
反応性タンパクの一つであるペンタラキシン3が動脈硬化の進行病変や不安定狭心症の冠動脈プラークに多く沈着していること、一方で沈着の多い動脈硬化病変の方が血管内治療後の再狭窄率が低下することを示しました。その機序として平滑筋細胞の増殖や浸潤、血小板凝集にペンタラキシン3が抑制性に作用することを明らかにした内容です。
 
以下のリンクからダウンロードいただけます(open access)
 
Otani T, Moriguchi-Goto S, Nishihira K, Oguri N, Shibata Y, Matsuura Y, Kodama T, Asada Y, Hatakeyama K, Yamashita A. Intralesional pentraxin 3 increases with atherosclerotic disease progression, but may protect from thrombosis: Friend or foe? Thromb Res. 2024 Jan 9;234:134-141. doi: 10.1016/j.thromres.2024.01.004.

症例報告:ITP患者に合併した遅発性ステント血栓症

循環器内科, 島津先生らによる、免疫性血小板減少症(ITP)患者に合併した遅発性ステント血栓症の症例報告が、JACC: Case report に発表されました。当講座の魏助教、山下教授が共著となり、ステント血栓の病理組織学的解析を行いました。
ITPでは血小板が著明に減少しますが、一方で血栓症のリスクが高い病態も示唆されており、その機序は未だ不明です。本症例は、OCT、ならびに吸引血栓の詳細な病理組織像が提示された、貴重な症例報告と考えられます。
以下のリンクよりダウンロードいただけます(Open Access)

Shimazu H, Matsuura Y, Moribayashi K, Moribayashi K, Gi T, Suiko Y, Tanaka H, Komaki S, Ishikawa T, Yamashita A, and Kaikita K. Very Late Stent Thrombosis Complicating Immune Thrombocytopenia. J Am Coll Cardiol Case Rep. 2023 Oct, 24, published online.
https://doi.org/10.1016/j.jaccas.2023.102017

症例報告:ウェスエルマン肺吸症に伴う肺壊死性肉芽腫病変

前川研究員らは、ウェステルマン肺吸虫症に伴う肺壊死性肉芽腫性病変を報告しました。典型的な虫体の肉眼像、組織像を提示し、DNAシークエンスを用いて種の同定を行っており、貴重な典型例報告と考えられます。
以下のリンクよりご覧いただけます。

Maekawa K, Nagayasu E, Hata Y, Hanamure F, Maruyama H, Yamashita A. Paragonimus westermani preadult fluke in a pulmonary necrotizing granulomatous lesion: A case associated with eating soy sauce-marinated raw freshwater crab, “gejang”. Pathol Int. 2023 Jul 26. doi: 10.1111/pin.13352. 

症例報告:癌関連静脈血栓のMRIと病理組織像の対比

魏峻洸助教らは、胃癌患者の剖検症例より得られた下大静脈血栓に対し、体外MRI像と病理組織の比較検討を行い、T1強調画像、T2強調画像によって、血栓組織と癌成分を区別することが可能と考えられた症例を報告しました。
本報告は、日本循環器学会の公式誌であるCirculation Reports に掲載されました。癌関連静脈血栓塞栓症に対するMRIの報告は少なく、重要な知見と考えられます。
以下のリンクよりご覧いただけます。(Open access です)

Toshihiro Gi, Yasuyoshi Kuroiwa, Yasushi Kihara, Sae Miyaushiro, Atsushi Yamashita. Magnetic resonance imaging of cancer-associated deep vein thrombus in a patient with gastric cancer. Circ Rep. 2023:5;265-266. 
 

羊水塞栓症の病理に関する原著論文が公開されました

羊水塞栓症の病理所見を検討した山下教授の論文が、BJOGに2023年5月15日付でオンライン公開されます。肺内小血管内での広範な微小血栓形成と子宮静脈血栓と、それらの組成の相違を明らかにした内容です。この研究は浜松医科大学産婦人科、近畿大学奈良病院病理診断科との共同で行われました。
論文のリンクはこちら↓です
 
Yamashita A, Oda T, Aman M, Wakasa T, Gi T, Ide R, Todo Y, Tamura N, Sato Y, Itoh H, Asada Y. Massive platelet-rich thrombus formation in small pulmonary vessels in amniotic fluid embolism: an autopsy study. BJOG. 2023 (publish online ahead of print)
 

山下教授の総説 Pathology Internationalの表紙に

日本病理学会2021年の学術研究賞(A演説)の内容をまとめた総説が、Pathology International(2023年2月号)の表紙を飾ることになりました。Open Accessとなっておりますので、次のリンクからご覧いただけます。

Yamashita A, Asada Y. Underlying mechanisms of thrombus formation/growth in atherothrombosis and deep vein thrombosis. Pathol Int. 2023;73(2):65-80.

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pin.13305

中村医師(大学院博士課程)の論文がPLOS ONEに掲載されました。

当研究室の大学院博士課程中村医師の論文が、2023年2月17日号のPLOS ONEに掲載されました。動脈硬化巣(プラーク)に存在する細胞の代謝とプラークの不安定化に関する内容です。
中村らは、ウサギ動脈硬化モデル、ヒト冠動脈の組織標本、末梢血単核球由来マクロファージを用いて、動脈硬化血管のコリン含有量が多いこと、冠動脈不安定病変のマクロファージでコリン輸送体が高発現していること、細胞内コリンやコリン輸送体の発現に影響する因子は何か、を明らかにしました。

Nakamura E, Maekawa K, Saito Y, Matsumoto T, Ogawa M, Komohara Y, Asada Y, Yamashita A. Altered choline level in atherosclerotic lesions: Upregulation of choline transporter-like protein 1 in human coronary unstable plaque. PLoS One. 2023;18(2):e0281730.

本論文はOpen accessとなっています。こちらのリンクからご覧ください。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0281730