宮崎大学医学部附属病院 検査部

ISO15189認定施設
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基準範囲のご案内

基準範囲のご案内

この資料は当院における代表的な検査項目の基準範囲と簡単な説明を示しています。

基準範囲とは?

多数の健常者測定値から上限・下限の2.5%ずつを除いた残りの95%の範囲を表しています。このカットされた5%にも健常者は含まれていますので、基準範囲から外れていても必ずしも異常とはいえません。一つの目安としてお考え下さい。

また、他院での検査結果と大きく違う場合、測定方法や単位が異なっていることが考えられますのでご注意下さい。

基準範囲のMは男性、Fは女性を示しています。

血液検査
検査項目 基準範囲 単位 説明
白血球数(WBC) 3.3~8.6 x103/μL 血液中の血球成分の一つで、細菌や異物を排除する働きがあります。炎症や感染症で増加します。
赤血球数(RBC) M:4.35~5.55
F:3.86~4.92
x106/μL 赤血球は全身に酸素を運ぶ働きをしている細胞です。ヘモグロビンは酸素と結合する色素蛋白で赤血球に含まれます。ヘマトクリットは血液中における赤血球が占める容積の割合を示したものです。
これらの項目は貧血の検査に用いられます。
ヘモグロビン(Hb) M:13.7~16.8
F:11.6~14.8
g/dL
ヘマトクリット(Ht) M:40.7~50.1
F:35.1~44.4
平均赤血球容積(MCV) 83.6~98.2 fL これらの項目は赤血球の大きさ、赤血球に含まれるヘモグロビンの量や濃度を調べる検査で、貧血の種類の鑑別に用いられます。
平均赤血球血色素量(MCH) 27.5~33.2 pg
平均赤血球血色素濃度(MCHC) 31.7~35.3 g/dL
血小板数(PLT) 158~348 x103/μL 血小板は血液を固め、出血を止める働きをします。低下すると出血しやすくなります。
凝固検査
検査項目 基準範囲 単位 説明
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT) 25~35 出血した時には血液が固まり止血されます。この働きや過程の異常を調べるのが凝固検査です。血液凝固因子の一部は肝臓で作られるため肝臓の機能を調べるときに利用されることもあります。
また、プロトロンビン時間はワーファリンの治療効果の判定に重要な検査です。
プロトロンビン時間(PT) 11.4~14.0
80~100

活性%
フィブリノゲン定量(Fib) 200~400 mg/dL 血液凝固因子の一つです。血液を固まらせる働きをしています。血栓形成の指標となります。
生化学検査
検査項目 基準範囲 単位 説明
総蛋白(TP) 6.6~8.1 g/dL 血清中に含まれるすべての蛋白を総称して総蛋白といいます。総蛋白の50~70%を占める蛋白がアルブミンです。これらの項目は全身の健康・栄養状態を評価するために利用されます。
アルブミン(ALB) 4.1~5.1 g/dL
総ビリルビン(TB) 0.4~1.5 mg/dL ビリルビンはヘモグロビンの代謝産物です。肝疾患の診断、黄疸の鑑別に必要な検査です。
直接ビリルビン(DB) 0.05~0.3 mg/dL
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST) 13~30 U/L 肝臓、心臓、骨格筋などに多く存在し、これらの臓器が障害を受けると血液中に増加してきます。(他の病院でGOTと表示されているものとほぼ同じです)
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT) M:10~42
F: 7~23
U/L 主に肝臓に存在する酵素であり、肝臓が障害をうけると血液中に増加してきます。(他の病院でGPTと表示されているものとほぼ同じです)
乳酸脱水素酵素(LD) 124~222 U/L 肝臓、心臓、骨格筋など多くの臓器に含まれる酵素で、これらの臓器の障害や血液疾患などで高値となります。
アルカリホスファターゼ(ALP) 38~113 U/L 肝臓や胆道の障害、あるいは骨疾患で増加します。また、成長期の小児でも高値を示します。
γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γGT) M:13~64
F:9~32
U/L 肝臓や胆道の障害で増加します。また飲酒との関連もあり、アルコール性肝障害で高値を示します。
コリンエステラーゼ(ChE) M:240~486
F:201~421
U/L 肝臓で合成されるため、肝機能の障害があると低値を示します。
アミラーゼ(AMY) 44~132 U/L 膵臓、唾液腺などから分泌される、糖類を分解する消化酵素です。膵臓、唾液腺の障害で増加します。
クレアチンホスホキナーゼ(CK) M:59~248
F:41~153
U/L 骨格筋、心臓、脳に含まれる酵素でこれらの臓器の障害で増加します。また、運動後でも高値を示します。
血糖(GLU) 73~109 mg/dL 血液中のブドウ糖を示し、糖尿病の診断に用いられます。食後には増加します。基準範囲は空腹時のものです。
ヘモグロビンA1c(HbA1c) 4.9~6.0 % 検査当日から過去1~2ヶ月間の血糖の状態を反映しています。
尿素窒素(UN) 8~20 mg/dL これらの項目は腎臓の機能を見るための検査です。腎機能の低下、腎不全などで高値となります。
クレアチニン(CRE) M:0.65~1.07
F:0.46~0.79
mg/dL
尿酸(UA) M:3.7~7.8
F:2.6~5.5
mg/dL 痛風や尿路結石などになりやすいかどうかを見る指標となります。腎臓機能低下でも増加します。
ナトリウム(Na) 138~145 mmol/L 体内の水・浸透圧や酸塩基平衡の調整に重要な役割をしている成分です。体液の水分量やバランスの状態を調べるのに用いられます。
またカリウムは神経や筋肉の興奮性に関与しています。
カリウム(K) 3.6~4.8 mmol/L
クロール(Cl) 101~108 mmol/L
カルシウム(Ca) 8.8~10.1 mg/dL 骨代謝やホルモン分泌を調節しています。骨代謝異常やホルモン分泌異常で変動します。
無機リン(IP) 2.7~4.6 mg/dL
総コレステロール(TC) 142~248 mg/dL 血液中のコレステロールの総量を調べる検査で、肝臓でのコレステロール合成や栄養状態を反映します。高値では動脈硬化の危険因子となります。
中性脂肪(TG) M:40~234
F:30~117
mg/dL 高値では動脈硬化の危険因子となります。
食事の影響が大きく、食後には上昇します。
HDL-コレステロール(HDL-C) M:38~90
F:48~103
mg/dL 善玉コレステロールといわれ、動脈硬化を防ぐ作用のあるコレステロールです。
LDL-コレステロール(LDL-C) 65~163 mg/dL 悪玉コレステロールといわれ、高値では動脈硬化の危険因子となります。
C反応性蛋白(CRP) 0.00~0.14 mg/dL 代表的な炎症のマーカーです。感染症、炎症などがあると増加する蛋白です。
尿・便検査
検査項目 基準範囲 説明
尿定性 PH 4.8~8.0 尿の酸性・アルカリ性の程度を調べる検査です。食事などの要因で幅広い変動が見られます。
(-) 尿に糖が出ているかの検査です。糖尿病の診断や治療経過の判定に用いられます。
蛋白 (-) 尿中の蛋白を調べる検査です。腎機能の障害で検出されますが、健康な人でも一時的に排出される場合があります。
潜血 (-) 尿中の出血の有無を調べます。腎臓の障害、尿路結石などで陽性になります。
ケトン体 (-) 糖尿病や高熱、下痢、嘔吐などで陽性となります。
亜硝酸塩 (-) 尿中に細菌が多く存在しているかを調べます。陽性の場合、膀胱炎など尿路感染症が疑われます。
白血球 (-) 腎臓から尿道までの尿の通過経路の炎症の有無を調べる検査です。
ビリルビン (-) 尿中のビリルビンを調べる検査です。肝臓の障害や胆道閉塞などで陽性となります。
ウロビリノーゲン (±) ビリルビンが腸で代謝され尿中に排出されたものです。肝機能障害などで増加し、胆道閉塞では陰性化します。
比重 1.006~1.030 腎臓の尿の濃縮力を調べます。水分摂取や発汗などで変動します。
便 便潜血 (-) 便に血液が混じっているかを調べる検査です。

※検査結果の詳細や疑問な点については主治医にご相談下さい

PDFファイル

基準範囲のご案内2022年1月版