宮崎県ドクターヘリ運航要領より抜粋
■救急現場からの要請
救急現場出動及び救急現場から医療機関へのドクターヘリによる救急搬送については、以下のとおりとする。
なお、災害発生時については別項によるものとする。
(1)出動要請
①要請者
救急現場への出動要請は、原則として消防機関が行う。
なお、個人からの直接の要請は受け付けない。
②出動要請の判断
消防機関は、119番通報を受けた時点、又は救急隊員が救急現場に到着した時点で、「ドクターヘリ出動要請基準」に基づいてドクターヘリ出動の必要性があると判断した場合は、出動の要請を行うことができるものとする。
ドクターヘリ出動要請基準
(1)生命の危険が切迫しているか、その可能性が疑われるとき
(2)重症患者であって、搬送に長時間を要することが予想されるとき
(3)特殊救急疾患の患者(重症熱傷、多発外傷、指肢切断等)で搬送時間の短縮を特に図るとき
(4)救急現場で緊急診断処置に医師を必要とするとき。
なお、(1)及び下記4条件を満たすときは、医療機関への指導的医師搬送にドクターヘリの使用を可能とする
①要請する医師が「ドクターヘリによる即時の指導的医師搬送以外に救命の手段がない」と判断し、
かつドクターヘリスタッフもそれを納得していること。ただし、要請を行った医師は、後日検証会議で説明もしくは報告書の提出を義務づける。
②すでに関連診療科間で調整がなされ、大学病院当該科からの搬送医師が決定しているとき
③搬送される指導的医師が大学病院からドクターヘリに搭乗するとき
④ドクターヘリでの対応が可能であるとき
■医療機関からの要請
病院間搬送のためのドクターヘリの出動については、以下のとおりとする。
(1)要請
①要請者
要請者は、宮崎県内の医療機関とするが、病院ヘリポートを有しない医療機関は消防機関を通じて要請する。
なお、個人からの直接の要請は受け付けない。
②搬送元医療機関の医師による要請の判断と出動要請
搬送元医療機関の医師は、より高度な医療、又は専門的な医療を行わなければ患者の救命及び社会復帰に関わるなどの理由から、ドクターヘリによる他医療機関への搬送が必要であると判断した場合は、ホットラインを使用してドクターヘリの出動を要請できる。
なお、この際の判断には「ドクターヘリ出動要請基準」を準用する。
③搬送先医療機関の決定
搬送元医療機関は、原則として事前に搬送先医療機関を決定しておかなければならない。
また、搬送元医療機関は、基地病院及び搬送先医療機関との間で、搬送日時や受入体制の確保、ドクターヘリの離着陸場所、離着陸場所からの搬送方法等について事前に調整しておかなければならない。
④搬送元医療機関の離着陸場所の決定
搬送元医療機関が病院ヘリポートを有しない場合、当該医療機関は、管轄消防機関に搬送への協力を依頼し、依頼を受けた管轄消防機関は、あらかじめ定められたランデブーポイントのうちから使用する場所を選定する。
管轄消防機関は、当該場所の管理者に使用を連絡し、離着陸に備えた対応を依頼するとともに、支援隊を出動させて安全確保の措置を取り、ホットラインを使用してドクターヘリを要請する。
なお、当該医療機関が病院ヘリポートを有する場合は、管轄消防機関への協力依頼は不要である。
⑤搬送先医療機関の離着陸場所の決定
搬送先医療機関が病院ヘリポートを有しない場合、当該医療機関は、管轄消防機関に搬送への協力を依頼し、依頼を受けた管轄消防機関は、あらかじめ定められたランデブーポイントのうちから使用する場所を選定するとともに、運航管理室に当該場所を連絡する。
管轄消防機関は、当該場所の管理者に使用を連絡し、離着陸に備えた対応を依頼するとともに、支援隊を出動させ、安全確保の措置を取る。
なお、当該医療機関が病院ヘリポートを有する場合は、管轄消防機関への協力依頼は不要である。
(2)出動
①出動の判断
基地病院は、要請者から連絡のあった患者の重症度その他の状況等を勘案し、ドクターヘリによる搬送が必要であると判断した場合は、ドクターヘリを出動させる。
ただし、搬送する時点での気象条件等により出動不能の場合は、その旨を要請者に伝える。
(3)搬送
①医療機関とランデブーポイント間の搬送
搬送元医療機関は、当該医療機関からランデブーポイントまでの間、患者搬送先医療機関は、ランデブーポイントから当該医療機関までの間、患者を搬送する。
なお、やむを得ない事情により、自らの搬送の手段がない場合、又は他に適当な搬送手段がない場合は管轄消防機関に当該ランデブーポイントと当該医療機関の間の救急搬送に関して協力を依頼することができる。
②引継ぎ及び搬送
搭乗医師が、搬送元医療機関の医師から必要な引継ぎを受けた後、準備が整い次第ドクターヘリは患者を搬送先医療機関へ搬送する。