臨床研究
RESEARCH
宮崎大学医学部 救急・災害医学分野 研究室
私たちの研究室では、指導教員と3名の大学院生を中心に教室員全員が、それぞれの探求心や臨床的疑問を基準点とした研究・学術活動を行っています。
集中治療を必要とする重篤な病気やケガの病態解明により「命を救う」研究から、ドクターヘリや災害対策といった「地域を広く守る」研究まで幅広く行っています。未来の救急・災害医療を切り拓くため、講座一丸で積極的な学術活動を心掛けています。
主な研究テーマ
私たちは、地域の課題解決と医学の発展を目指し、以下4つのテーマを軸に研究を行っています。
病院前診療と地域救急医療システム
宮崎県は地理的に多くの「へき地」を抱えています。私たちは、ドクターヘリやドクターカーによる早期治療のためのシステムを、単に病院へ搬送する手段としてではなく、「地域医療を支える大切なインフラ」と捉えています。救急現場や搬送中といった病院到着前の段階から医療を届ける病院前診療が、地域の病院や消防と緊密に連携し、誰もが質の高い救急医療を受けられる体制づくりを目指して研究しています。
重症の感染症や外傷における急性期の生体反応
重篤な感染症(敗血症)やケガ(外傷)では、体内の免疫や炎症が暴走(過剰な宿主反応)し、これが全身の状態を悪化・重症化させることが知られています。私たちは、特に「凝固系と補体系の相互作用」に着目しています。凝固系は出血を止めるために血液を固める仕組み、補体系は病原体などから体を守る免疫の仕組みの一部です。これらの反応が重症患者さんの体内でどのように関わり合い、病態を悪化させるのかを明らかにすることで、予後を改善する新しい治療法の確立を目指しています。
重症傷病の急性期における神経への影響
救命技術が大きく進歩した一方で、救命後の課題として「ICU(集中治療室)における重症患者さんの神経障害」が今、世界的に注目されています。特に、ICU治療そのものや重症病態に伴う全身的な機能低下、たとえば認知機能や身体機能の障害などは「ICU後症候群(PICS)」と呼ばれ、救急・集中治療領域における重要な課題です。私たちは、敗血症や外傷などの重症急性期疾患における脳・神経へのダメージに注目し、脳波解析を中心とした客観的なバイオマーカー、すなわち病気の状態や回復の程度を示す指標の探索を行っています。
局地災害を含む災害医学
広大な面積を持つ宮崎県では、高度な治療ができる集学的施設が限られています。そのため、大規模な事故や災害(多数傷病者事案)が起きた際には、限られた医療資源の中で治療の優先順位を判断し、適切な搬送先を選定する「トリアージ」が極めて重要です。 さらに、今後発生が想定される南海トラフ巨大地震に対する県内の災害医療体制の確立は私たちの最重要テーマであり、これまでも県内でリーダーシップを発揮して取り組んできました。これらの災害対策に関する研究を通して、地域のレジリエンス(災害に強い街づくり)と、一人でも多くの命を救う仕組みの構築に貢献します。
当研究室における臨床研究・共同研究のご案内と情報公開
共同研究・症例ご協力のお願い
現在当研究室では、「農薬・工業製品中毒における補体活性化」に関する研究を行っています。補体活性化とは、免疫の仕組みの一部である補体系が強く働く状態を指します。該当する対象患者さんを診療され、本研究にご協力いただける医師の方は、ぜひ研究窓口までご連絡いただけますと幸いです。
臨床研究に関する情報公開(オプトアウト)について
当講座において実施している臨床研究(過去の診療データ等を使用する観察研究など)のうち、患者さんから直接同意をいただく代わりに情報を公開し、拒否の機会を保障する「オプトアウト」を行っている研究の一覧は、以下よりご確認いただけます。オプトアウトとは、研究内容を公開したうえで、患者さんやご家族が希望されない場合には研究への利用を拒否できる仕組みです。
大学院生募集
私たちの研究室では、大学院生(博士課程・修士課程)を広く募集しています。
当研究室の最大の特徴は、「現場で感じた臨床的疑問(クリニカル・クエスチョン)」をそのまま研究テーマにできる環境があることです。
臨床と研究のハイブリッド:日々の救急・集中治療の現場と地続きの研究だからこそ、得られた知見がダイレクトに目の前の患者さんや地域医療へ還元されるやりがいがあります。
多様なキャリアを応援:救急科専門医や集中治療専門医の取得を目指しながらの研究はもちろん、他科のバックグラウンドを持つ先生や、臨床面からの病態解明に挑みたい方まで、個々のキャリアプランに合わせた柔軟な働き方・学び方をサポートします。
「へき地医療をシステムで変えたい」「急性期の未知なる病態を解明したい」「災害に強い社会をつくりたい」―そんな熱い探求心を持ったあなたを、メンバー一同心よりお待ちしています。
見学・相談は随時受け付けています
実際の研究室の雰囲気を見てみたい方、具体的な研究内容について話を聞いてみたい方は、お気軽に[お問い合わせフォーム / 医局連絡先]までご連絡ください。
寄付のお願い
当研究室では、救急・災害医学のさらなる発展、および地域医療・災害医療を担う次世代の医療人育成をはじめとする、講座全体の教育・研究活動の充実のため、広く皆様からの奨学寄附金を募集しております。
いただいた寄附金は、若手医師・研究者の育成や、当講座が取り組む先進的な研究活動に広く活用させていただきます。なお、特定の研究を指定した寄附などにも柔軟に対応しております。寄附に関するご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
税制上の優遇について
宮崎大学への寄附金は税制上の優遇措置(寄附金控除)の対象となります。確定申告をすることで、税金上の優遇(所得控除など)を受けることができます。詳しいお手続きや振込先については、[事務局へのお問い合わせリンク]までお気軽にご連絡ください。皆様の温かいご支援をお待ちしております。