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骨盤の裂離骨折

スポーツ傷害Q&A

裂離骨折とは?

筋肉に力が入った瞬間に、その筋肉が付着している骨を牽引して、骨が折れてしまうことです。

好発部位は?

上前腸骨棘、下前腸骨棘、坐骨結節、腸骨稜の順で頻度が多いです。

好発年齢は?

14歳~16歳前後が最も多いです。なぜならこの時期の成長軟骨帯が力学的に脆弱だからです。性差は圧倒的に男児に多いです。
では,以下に各々の特徴を見ていきます。

上前腸骨棘腸骨棘裂離骨折

スポーツの種目では陸上、サッカー、野球の順で多く、疾走する動作での発症が多い事が特徴的です。激痛のため走行不能になることが多いです。治療は、基本的に股関節を軽度曲げた肢位での安静による保存的治療ですが、骨片の大きさや、骨折部のずれの大きさで手術になることもあります。

下前腸骨棘腸骨棘裂離骨折

スポーツの種目では圧倒的にサッカーが多く、次いで陸上、野球の順です。キック動作での発症が多い事が特徴的です。治療は上前腸骨棘裂離骨折の場合と同様です。

坐骨結節裂離骨折

疾走による発症が最も多いですが、その他ジャンプ、スケート等で発症することもあり、発症すると殿部に疼痛を生じます。疼痛の軽度が軽く、肉離れと自己診断し診断が遅れる事があります。骨折部のすれが少ない場合は安静による保存的治療を行いますが、その他の裂離骨折に比べて治癒まで長期間を要するため、ずれが大きい場合は手術療法をすべきとの意見もあります。

腸骨稜裂離骨折

非常にまれです。バスケットボールや、野球のスイングで無理に体を捻った時に生じます。ほとんどの場合保存的治療で、比較的短期間に治癒します。

スポーツ復帰に関して

上・下前腸骨棘裂離骨折は1~2週間の安静後、松葉杖歩行を行い、少しずつ負荷を増やし、8~12週での復帰を目指します。
坐骨結節裂離骨折は4週間程度の下肢免荷(足を地面につけない)を行い、レントゲン検査を参考に12~16週での復帰を目指します。
腸骨稜裂離骨折は安静後2~3週間で歩行可能となり、6~8週間で復帰を目指します。