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骨は折れてもどうしてくっつくの?

スポーツ傷害Q&A

生物(ヒト)は、生まれながら元に戻ろうとする力が備わっています。骨が折れると、折れた骨と骨の間に出血が起こり“血腫(けっしゅ)”が生じます。出血を止めようとする物質(酵素)の働きにより“凝血塊:血の塊り”となります。また、炎症により様々な細胞や折れた骨を治そうとする物質や血管が入り込み“肉芽組織:線維性の塊り”ができます。次に骨をつくる細胞“骨芽細胞”の働きで肉芽組織が本当の骨の一歩手前の“線維性仮骨”ができ、その後“骨性仮骨”となり、やがて新しい骨となります。

図1 骨折の治る過程

 

骨が治るのにかかる期間は、年齢や折れた骨の部位により異なりますが、6週から3か月程度かかります。但し、本来の骨の姿に戻るには数ヶ月から1年かかります。もちろん成長期の場合は、早く治ります。また、こどもの場合、自家矯正能(折れて変形していても正常の状態に戻そうとする力)が優れています。

図2 4歳であり受傷後2週で明らかな仮骨(白いうっすらとした骨)が見え、また変形(曲がっている)も真っ直ぐになるよう仮骨(点線の矢印)ができてきている。仮骨:成熟した骨になる前の未熟な骨です。水あめのような柔らかい骨でX線上には、白くうっすらと見えます。

 

折れた骨が治る際に影響する因子として、折れた部位の影響(局所的因子)と全身的な影響(全身的因子)が関与します。

局所的因子

治るために必要な血管の問題で治りにくい部位(下腿の骨、手首の骨、大腿骨頚部(股の付け根)など)や折れた状況(骨のズレや開放骨折(キズとつながっている骨折)など)や折れた部分の固定の状態などが影響します。決められた通りギプスなどで固定しないと折れた部位がグラグラのままでは、骨癒合(骨がくっつかない:偽関節)しないことがありますので注意しましょう!

全身的因子

成長期は、再生能力(治ろうとする力)が大人に比べ高く、栄養状態も影響しますのでたんぱく質、カルシウムやビタミンDなどの栄養素も摂りましょう。

 

参考文献

学校の運動器疾患・障害に対する取り組みの手引き」日本学校保健会、2009