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関節弛緩性ついて

スポーツ傷害Q&A

関節弛緩性とは?

関節弛緩性とは関節の運動する方向が正常で、この程度が強い時に用いられます。一方、関節運動の方向の異常(通常動かない方向へ動く)については関節不安定性と表現されます。
先天的には一般に男性に比べて女性の方が関節の弛緩性は大きい傾向にあります。これらについてはホルモンなどの関連が報告されています。また、後天的には幼少の頃から関節に繰り返し力が加わるような同じ動きを反復した場合にも、関節の可動範囲が大きくなり、運動において、その動作に適した関節の動きをしている場合があります。例としては新体操の股関節や野球投手の肩関節などがあります。

評価方法について

現在、国内のメディカルチェックなどで最も用いられているのは中嶋らが報告した7ケ所の関節の評価です。(図1) 左右一側ずつあるものは片側を0.5点として、7点中4点以上可能を関節弛緩性陽性と判定する報告が多いようです。

関節弛緩性と外傷と障害

これまでの様々な報告において関節弛緩性と障害・外傷の発生と関係についてははっきりしていません。私たちの過去6年間における宮崎県少年選手のメディカルチェックでの結果でも関節弛緩性と障害・外傷との関連ははっきりしませんでした。
しかし、弛緩性のある関節は運動を行う上で動く範囲が大きくなり競技能力にプラスであっても、障害・外傷の観点からは周囲の筋力不足や疲労、老化などによって関節の異常な可動に対する防御力、適応能力が低下した際には逆に靱帯損傷などか起こしやすくなる可能性が高くマイナスの面もあります。この為、柔らかい関節については周囲筋力をトレーニングすることにより筋肉で関節の保護を行うことも大切になります。

出典

  • 中嶋寛之ら:国体選手における医・科学サポートとガイドライン.日本体育協会国体選手の医・科学サポートに関する研究班,1-96,2000
  • 山本利春:測定と評価(改定増補版) ,ブックハウスHD,東京,72-80,2004.
  • 河原 勝博ほか:宮崎県少年選手におけるメディカルチェック-障害・外傷と関節
  • 弛緩性・筋柔軟性との関連について-日本臨床スポーツ医学誌,18,59-66,2010