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踵の成長痛とは?

スポーツ傷害Q&A

踵の骨は踵骨(しょうこつ)と呼ばれます。成長期の踵骨の端には、どんどん伸びて長くなる骨端線(成長軟骨板)と柔らかい骨で形成された骨端核が隣りあわせで位置しています。 踵骨の骨端核にアキレス腱がついており、 ジャンプやダッシュ、ストップなどの衝撃が骨端核にかかると、 アキレス腱などに骨端核が引っ張られて、 骨端核に連続する骨端線が傷ついたり、ずれたりする可能性があります。また骨端核が原因不明の血行障害により壊死(えし・骨が腐ること)を起こすことや骨端核内部が分離(分節)することがあります。そのような病態を医学的には踵骨骨端炎と呼んでいます。

踵骨の骨端核は男子では7~8歳で認められ、女子ではそれよりも1~2年早く認められます。骨端核はその後15~17歳くらいで踵骨体部(骨の本体)と癒合を完成します。本症はその癒合が完成する以前の発育段階の時期に発症しますが8~12歳の男子に多く見られます。

症状は明らかな誘引なく、運動時に踵部の痛みを自覚しますが、局所の熱感や腫脹はそれほど著明ではありません。激しい運動を行った場合は安静時痛を訴えることもあります。発症後数週間もしくは数ヵ月経過して病院を受診することが多いです。

治療は痛みが強いときはしばらく体重をかけずに局所安静をはかることもありますが、多くの場合は運動や体育を控えさせ、底が厚くて柔らかい靴を着用させると一時的に症状が寛解します。症状は2~3年で自然に消失し予後は良好です。

参考文献

図説 足の臨床