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舟状骨骨折

スポーツ傷害Q&A

舟状骨骨折とは?

手首にある手関節を形成している骨(手根骨)の中で舟状の形態をした橈骨側(親指側)の骨(図1)の骨折です。

  1. 手首にある手関節を形成している手根骨の近位列(手首側の列)の最も橈側(親指側)に位置
  2. 遠位(手先側)から進入した血管により栄養→骨折線が近位(手首側)に及ぶ場合:遷延治癒(治療長期化)傾向
  3. 手根骨骨折の中で最も多く、最も治癒困難

舟状骨骨折はどうして生じる?

スポーツ活動などで手首の背屈強制(手背側への曲げ過ぎ)により生じることが一般的です。外傷の既往がなく徐々に手関節運動時痛,圧痛が出現することもあります。

舟状骨骨折はどういう時に生じる?

転倒して手をついた時,スポーツ活動中の手首の背屈強制損傷時,パンチ動作で起こり得ます。

舟状骨骨折の症状は?

運動時の痛み,腫れ,可動域制限,握力低下,嗅ぎタバコ入れ(手首の親指側:図2)の圧痛(押さえた時の痛み)を認めます。腫れが強く出ず,見逃される場合もあります。

舟状骨骨折の損傷程度は?

受傷後6週以内を受傷後間もないものとして新鮮例,6週以降を受傷後時間が経ったものとして陳旧例とします。陳旧例は全て偽関節(関節のように骨折部が不安定に動くもの)とみなされます。
おおまかに,転位(ずれ)がない新鮮安定骨折(図3),転位がある新鮮不安定骨折(図4)陳旧例(偽関節)の3タイプに分類されます。

単純X線 (受傷時)

舟状骨骨折の検査と診断は?

通常の手関節X線撮影( 2方向:正面・側面)では診断がつかないことがあり,別の角度から撮影(舟状骨撮影:図1)し,診断がつくことがあります。X線撮影で疑わしい時はCT検査が役立つことがあります。MRI検査も,骨の血行状態を知るのに有用です。

単純X線

舟状骨骨折からの社会復帰は?

X線撮影での骨癒合が目安となります。

舟状骨骨折の問題点は?

解剖学的特徴から治療に難しい点があります。遠位から進入した血管により栄養されているため骨折線が近位に及ぶ場合は遷延治癒傾向です。発見が遅れ,偽関節になることがしばしばあります。長期間,偽関節が放置されると変形性手関節症を呈します。

参考文献

Filan SL, Herbert TJ : Herbert screw fixation of scaphoid fractures. J. Bone Joint Surg, 78-B : 519-529, 1996