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腰椎椎間板ヘルニア

スポーツ傷害Q&A

Q:腰椎椎間板ヘルニアとは?

A:腰椎は5つの骨(椎体)とその間にコラーゲンからなるクッション材(椎間板)で構成されます。

腰椎の後方には神経の束(馬尾)が走行しており、椎間板が正常な位置から飛び出し(ヘルニア)て馬尾を圧迫することで臀部から下肢にかけて放散する疼痛や下肢の感覚障害、筋力低下などが生じます。膀胱や腸も神経で司っているため、おしっこが出ない・頻尿・便秘などの障害を合併することもあります。多くの方が働き盛りの20-40歳代で好発し、特に男性は女性の2-3倍好発しているようです。多くの方が疼痛のため長期間にわたり十分働けないことで肉体的にも経済的にも支障が生じ、病院に受診されています。

Q:椎間板ヘルニアになりやすい人ってどんな人?

A:労働環境や喫煙の影響、遺伝的影響があると言われています。

労働環境では車ドライバーや金属機械業など重労働者は事務職に比べ3倍リスクが高いとの報告や膝を伸ばし前屈して10kg程度のものを抱える仕事(工場勤務や保育士、看護師など)で有意にヘルニア発生のリスクが高いとの報告があります。
喫煙は椎間板の老化(変性)に影響を及ぼしており、非喫煙者に比べ喫煙者の椎間板の老化は18%も進んでいるとの報告があります。
また、椎間板ヘルニアの手術をした人は、腰に問題がない人の5倍も家族に腰椎の障害を認めているとの報告があり、遺伝的な影響があるようです。
一方で格闘技やサッカー・ラグビーなどコンタクトスポーツ、バスケットやバレーボールなどジャンプが多いスポーツをする人で腰椎椎間板ヘルニアと診断されている方が多い印象がありますが、研究レベルでは特に関連性は認められていないようです。

Q:椎間板ヘルニアは異常?

A:健常な(無症状の)人をMRI評価し、その7割に椎間板ヘルニアや椎間板膨隆を認めたとの報告があり、椎間板ヘルニアがあることが問題ではありません。

椎間板ヘルニアが神経(馬尾)を圧迫し、その圧迫によると思われる症状(感覚障害や筋力低下など)があることが問題となります。椎間板ヘルニアの診断は(1)画像診断(レントゲンやMRI、脊髄造影検査)と(2)臨床症状(疼痛・感覚障害・反射異常)の両方を検討して行います。

Q:椎間板ヘルニアの治療法は

A:大きく保存的治療と手術的治療に分けられます。

急いで手術を行ったほうが良いケースは足の筋力低下や排尿障害が出現している場合です。このケースはなるべく早期に神経の圧迫を取り除かないと、筋力低下や排尿障害がずっと残存することがあるためです。また、長期間の保存的治療(内服薬や湿布の使用、リハビリやコルセットの使用、ブロック注射など)でも症状が改善せず、日常生活に支障がある際も緊急ではありませんが手術的治療の対象となります。一方でほとんどの方は保存的治療にて症状が軽快するといわれており、自然にヘルニアが消失するケースもあります。
つまり同じ椎間板ヘルニアと診断された患者でも、治療法はヘルニアの部位や大きさ、患者の労働環境・家庭環境など様々な要因で決定されるため、必ずしも同じ治療法にはなりません。