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腰椎分離症とは?

スポーツ傷害Q&A

腰椎とは?

腰椎というのは背骨で腰の部分にあたるところです。背骨は頚椎(首)、胸椎(背中)、腰椎(腰)にわかれます。頚椎は7個、胸椎は12個、腰椎は5個あります。

腰椎分離症とは?

腰椎の椎弓と呼ばれる部分が上下の関節の間で連続性を失った状態です。同部位の疲労骨折と言われています。普通の骨折が1回の大きな力で骨が折れるのに対して、疲労骨折は小さな力が積み重なって最終的に骨が折れてしまう状態です。(繰り返し力が加わり金属疲労で金属が折れるのと同じ状態です。)

腰痛分離症はどうして生じるの?

腰の曲げ伸ばしや腰をまわすような動作により、腰椎の椎弓と呼ばれる部分にストレスが加わり疲労骨折を起こすと言われています。生まれつきではないか?、骨がうまくつかなかったのではないか?、血流が悪くて骨が一部死んでしまったのではないか?などの説もありますが、現在では疲労骨折との説が一般的です。

腰椎分離症はどこに起こりやすいの?

腰椎の中で上から数えて5番目の腰椎(第5腰椎)に多いと言われています。次に多いのが4番目の腰椎(第4腰椎)です。

腰椎分離症は両側性?片側性?

腰椎分離症は、多くは椎弓とよばれる部分の両側性に起こりますが、片側性もこともあります。

腰椎分離症はどの時期に起こりやすいの?

腰椎分離症は小児発育期に発生するといわれています。
分離症は6歳では4.4%、12歳では5.5%、成人すると6%にみられたとの報告があります。7~8歳で発症することが多く、18歳までは増加していくとされています。また発症年齢は12~17歳が90%以上で多いとの報告もあります。

腰椎分離症はどういった人に多いの?

女性よりも男性に多いといわれています(男性が女性の2倍程度)。
スポーツをする人はスポーツをしない人に比べて発生頻度は高いです。
成長期のスポーツ選手の腰痛においては、一般の腰痛患者に比べて分離症の頻度が高いといわれています。

腰椎分離症の症状は?

腰痛が主症状になります。特に腰部を伸展(腰をそらす)させたときや側方に曲げたときに痛みが強くなります。
分離症があれば必ず腰痛があるわけでもありません。無症状のことも多く、大人になり偶然レントゲンで見つかることもあります。

分離症はどうやって診断するの?

基本的にはレントゲンで診断可能です。ただし、発症早期の場合にはレントゲンではわかりません。分離症が疑わしいときはCT検査やMRI検査で診断をします。

分離症に対する治療は?

保存的治療が主体になります。
思春期の腰痛分離症で発症早期の場合には、保存的治療で分離部の骨癒合も得られる可能性があるため、スポーツ活動の中止や体幹装具(コルセット)などの固定を行います。固定期間は分離症の進行状況によって変わりますが、1~3ヶ月程度は固定が必要になります。

どのようなときに手術が必要になるの?

保存的治療(スポーツ中止やコルセットなどの固定)を行っても痛みが改善しないときは手術を行うことがあります。またすべり症といって骨(椎体)の並びがずれてきたり、しびれや下肢痛などの神経症状がでるときにも手術を行うことがあります。

どのような手術を行うのですか?

分離部修復術といった分離しているところを固定するような手術や、椎間固定術といった分離している椎体と正常な椎体とを固定してしまうような手術などがあります。

参考文献

今日の整形外科治療指針 第4版 医学書院
腰椎分離症診療マニュアル orthopaedics Vol.29  No.9  2007