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痛みをがまんしてスポーツすることは?

スポーツ傷害Q&A

痛みをがまんしてスポーツをしても、より良い記録をだすことは不可能です。そればかりでなく痛みをがまんして競技を続けると、ケガや故障した部分が治るのにより一層時間がかかるばかりでなく、最悪の場合やりたいスポーツができなくなる可能性もあります。例えば、小学校の時はエースで早いボールを投げていたが高校に入ると野球肘のためピッチャーができなくなり困っている選手が、皆さんの周りにもいると思います。ひどい場合には、ピッチャーどころか野球もできなくなります。

では、なぜがまんしてスポーツをしてはいけないのでしょうか。もちろん、より良い記録をだすためには、きつい時にもうひとがんばりする“我慢:ガマン”はスポーツをする上で大切なことです。一方、スポーツが大好きなこどもたちは、痛いと言うとレギュラーから外されるとか、怒られるといった理由でがまんしているのをよく耳にします。

痛みとは身体が休ませてほしいという危険信号を出しているということです。
スポーツにより骨、筋肉や関節に刺激が加わりその刺激が限界を超えると、痛みとして症状があらわれます。初期の段階で正しい対応がされれば問題なくスポーツを続けることができ、将来に症状を残すこともありません。しかし、がまんして限界を超えた時に病院を受診しても、手遅れになっていればスポーツが長期間できなくなったり、最悪の場合スポーツをすることをあきらめなければならないこともあります。特にこどもには成長軟骨が関節やその近くにあります。骨が成長し伸びるのに必要な部分ですので、もしここが損傷されると、その時の痛みだけではなく、成長に伴い変形などが生じ日常生活に支障をきたすこともあります。

では、なぜ痛みがおこるのでしょうか?
大きく3つあります。(1)やり過ぎ、(2)負荷(大きな力・負担)のかけ過ぎ、(3)やり方が悪い(場所、道具や方法(フォーム)など)です。従って、スポーツをする環境を整えたりそれぞれの体力や特性(身体の柔軟性(柔らかさ)など)に応じ練習メニューを考える必要があります。
最も大切なことは、もし痛みが生じた場合早期に対応(診断・治療)するということです。そうすることで大好きなスポーツを続けより良い記録がだせるようがんばりましょう。

参考文献

学校の運動器疾患・障害に対する取り組みの手引き」日本学校保健会、2009