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疲労骨折

スポーツ傷害Q&A

疲労骨折とは?

ケガのような1回の外力で起こるものではなく、スポーツなどで微量な力が繰り返し加わることで起きる骨折のことで、オーバーユース(使いすぎ)症候群のひとつです。

原因は?

骨は損傷されると治癒機転(治ろうとする機転)が働きますが、それ以上に骨に対して負荷が加わり続けることで起こります。

症状は?

初めは運動後に痛みを感じ、休むと痛みは軽くなる。しだいに練習中でも痛みだすようになります。皮膚から浅い骨では腫れや圧痛(押さえると痛む)を認めますが、深い骨では圧痛程度で外から見た目ではわかりにくいことがあります。
また好発部位(よく起こしやすい部位)と競技種目特性(図1)が現在までに報告されており知っておくことも早期の診断につながります。

 

治療は?

基本的には局所の安静が必要で早期に診断できればスポーツ活動の休止だけで治癒する例が多くみられます。ただし痛みが強い場合には、短期間ギプスなどで固定を行ったり足の骨折では松葉杖で免荷(体重がかからないようにする)する場合もあります。
ほとんどの部位では以上のような比較的簡単な治療で治癒が可能ですが、いくつかの部位では治りにくく放置しておくと骨が癒合せずに周囲の関節へ悪影響(関節症の合併)を及ぼすことや、完全骨折にいたることもあるので注意が必要です。そのような部位ではスポーツへのより確実な復帰にむけて手術を行うことも考えます。

予防は?

疲労骨折は先で述べたように負荷のかかりすぎが原因なのでやりすぎないことが最良の予防法ですが、運動量が急激に増える時期(合宿など)やトレーニングメニューを変更する時期(冬場の基礎体力訓練としての走りこみなど)に発症する傾向があり、選手・指導者の本障害への理解が必要です。また、選手個人の要因として体の柔軟性欠如・アライメント異常(扁平足など)などがあげられます。これは疲労骨折に限らずさまざまなスポーツ障害の要因となりうるために重要なことです。医療機関でのメディカルチェックができればそれにこしたことはありませんが、すべての医療機関が受け入れてくれるとは限らず実際には困難な場合には選手・指導者自身による定期的な体力・身体測定を行い、その結果をもとに練習メニューの修正・追加、痛みなどの症状が続けば医療機関受診の指示を行うことが大事と思われます。

文献

武藤芳照、伊藤晴夫、片山直樹:スポーツと疲労骨折, 南江堂,1990