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投球障害肩とは

スポーツ傷害Q&A

投球障害肩とは

投球動作によって生じる肩障害で、投球時の疼痛や、ひっかかり感をみとめます。徐々に症状が出現してきたものと、この一球を投げたときから症状が出現してきたものがあります。

どんなものがあるの?

投球障害肩といっても肩関節のどの部位が壊れるかで病名が異なります。関節唇、特に上方関節唇がはがれる上方関節唇損傷(SLAP lesion)。腱板の関節側が一部断裂する腱板関節面不全断裂。後上方関節唇と腱板関節面が衝突するインターナルインピンジメント。関節窩後下方に骨の棘ができるBennett病変。神経が引っ張られて部分的な麻痺が生じる肩甲上神経麻痺などがあります。

どうして生じるの?

投球動作は足から膝、股関節、体幹、肩、肘、手首、指、ボールへとエネルギーが伝達されることで行われています。その運動連鎖のどこかで障害が生じるとそれをごまかそうと肩、肘に負担がかかります。
肩関節内で上腕骨頭が安定した良い位置(求心位)からずれた位置で骨頭が動くと肩関節内の弱い組織に負担がかかり肩が壊れます。

予防法は?

求心位で投球ができるよう全身のコンディショニングが大切になってきます。下肢、体幹の柔軟性を高めるストレッチ。投球前には準備運動、投球後にはアイシングといった体の手入れ。十分な休息と栄養。痛いときには投球中止するなどです。

治療法は?

95%は保存的治療(リハビリテーション)でいいといわれます。リハビリでも改善しないとき、関節鏡視下手術の適応となります。手術を行ってもうまく肩が使えず求心位がとれないと再発するのでリハビリテーションが重要となってきます。

引用文献

井手淳二:腱板損傷. 臨床スポーツ医学vol. 23臨時増刊号:87-93,文光堂、東京、2006