MENU

成長痛とは

スポーツ傷害Q&A

成長痛って・・・

成長するのに痛みが伴うのでしょうか? 通常ではなかなか考えにくい内容です。成長してゆく上で痛みをおこすのであればそれは病気です。ではなぜ成長痛というのでしょうか?成長痛には狭義の成長痛と広義の成長痛と分けて考えると考えやすいと思います。

狭義の成長痛

就学前の子供で「夜間に膝周囲を痛がって泣く。しかし朝になるとけろっとしていてふつうに走ったりできる」というのが一般的です。レントゲンを撮っても異常なく、診察上も特に異常を認めません。軽い反張膝のあるお子さんに多い気がしますが、この年代では一般的ですので異常ではありません。

狭義の成長痛の原因は?

基本的には心因性のもので「甘え」から来ます。こう説明するとたいていの親御さんは嫌な顔をしますが、よく考えてみてください、就学前の子供で親に甘えない子供なんてかえって心配になりませんか? これはごく当たり前のことですなわち、成長痛はごく当たり前に起こる症状の一つです。成長痛は子供の心の病気でもありませんし、もちろん親の愛情不足でもありません。

治りますか?

治ります。たいてい1週間程度でこの場合自宅で様子を見ていることが多いようです。病院に連れてこられる平均は2週間前後が多いようですので、私は念のためレントゲンを撮りますが、成長痛と診断して異常のあった子供はいません。確かめたデータはありませんが1カ月以上かかることはないと思われます。しかしながら繰り返すこと(2~3日痛がってまた、2~3週間あけて痛がる)は多々あるようです。

じゃあ、ほっといてもいいんですね・・・

就学前でも骨腫瘍や骨感染症の可能性、子供のリウマチ性疾患の可能性があります。典型的な(2)の症状の場合、様子を見てもかまいませんが1週間以上持続する場合は一度、専門医の診察を受けることをお勧めします。医師の診断が「成長痛」であれば1カ月は様子をみても大丈夫ではないでしょうか。

10歳なのに成長痛と医者に言われましたが・・・

「成長期になると骨の長軸方向への成長が早く、筋肉の柔軟性がそれに追いつかない子供は筋の付着部が痛くなる」ことがあります。これは付着部症といってまれに成長軟骨部にストレスがかかり骨端症になることがあります。その子供は夜間に泣くほど痛がりますか? 朝になるとけろっとしていますか? 痛いのは下肢の関節ですか? 違うのであれば成長痛ではありません。 就学後の学童を、いまのところ成長痛と診断したことはありません。

それでは誤診?

ここは言葉の定義の問題になります。成長期のこのような付着部症を成長痛と表現する医師も非常に多いです。説明に対する言葉が非常に解りやすいからです。(広義の成長痛)ちなみに付着部症の場合、レントゲンで骨端核が残っていると痛みが強く、骨が成熟すると痛みは全くなくなります。逆に骨端核が無くなってきてからの付着部症は年単位で続くことが多いように思われます。いずれも大人になると治ります。骨―筋バランスが安定するからかどうかはわかりません。スポーツをする男子学生に多いように思われます。

成長痛は関節だけですか?

膝が最も多いように思われます。他に下腿前面や下肢筋肉を痛がる子供もいますが自然と消退します。

忙しいので連れて行かなくても大丈夫ですか?

前述したように腫瘍(特に悪性腫瘍)や関節炎のこともありますので一度、医師の診察を受けたほうがよいでしょう。

※この欄が、「成長痛」の診断が今一つ納得いかない診断であった場合、実はどういう意味なのかを理解する手助けになれば幸いです。