MENU

成長期の膝痛-オスグッド病-について

スポーツ傷害Q&A

成長痛とは違うの?

成長痛とは、明らかな異常がないのに成長期の子供が膝など痛がる時、よく使われる言葉です。成長期の子供が膝周囲を痛がる時、実は様々な故障が生じていることもあるのですが、オスグッド病もその代表的なもののひとつで、“成長期に起こった膝の疾患(痛み)”と考えてください。

オスグッド病とはどんな病気?

主に10代前半の成長期真っ盛りの子供に多く発生する、“over use”といわれる運動のしすぎによる障害の一つです。膝蓋骨(お皿の骨)と脛骨(スネの骨)は膝蓋靭帯という強い靭帯でつながっていますが、この靭帯の付け根の部分、ちょうどお皿の少し下のほうに痛みがおきます。ひどい時には痛くて走れなくなるようなこともありますが、多くの場合は、運動はできるが痛みが続くといったような訴えで病院に来ることが多いようです。
最初は運動後に痛い程度ですが、進行すると痛みのため走れなくなったりします。また膝の少し下の方の脛骨結節といわれる部分の骨が飛び出したように盛り上がってしまうこともあります。

なんでなるの?

成長期の子供には体が大きくなるための成長軟骨と呼ばれる部分があります。成長軟骨は弱い骨で、骨なのに靭帯などより弱いのです。膝の場合、膝蓋靭帯という非常に強い靭帯が脛骨の成長軟骨付近にくっついていますが、運動をしたとき、ふとももの筋肉が動いてものすごく強い力で牽引されます。運動をやりすぎてしまうと、この引っ張られる力に骨のほうがついには耐えられなくなり痛みをおこしてきます。骨の端っこにある成長軟骨が障害されるため医学的には骨端症と呼ばれます。

治療はどうしたらいい?

原因は基本的には運動のしすぎです。そのため、一定期間運動量を調節することが必要です。目安として、多少痛みがあってもバランスよく運動ができるようでしたら継続してかまいませんが、条件があります。痛い場所位には炎症が起きるので、運動後、必ずアイシングが必要です。湿布やコールドスプレーでなく氷などを使ってできるだけ運動直後に15-20分、しっかり冷やしてください。また体がかたいとこの病気をおこしやすくなります。ストレッチをしっかりやって柔軟性を増すことは非常に大切で、これは予防にもつながります。痛みのため運動中にバランスを崩すようなら、痛みが少し和らぐまで2-3週間運動量を減らしたり、非常に痛みが強い場合には完全に運動を中止しなくては仕方ありません。バランスの悪い状態で運動を続ければ、肩や腰など膝と関係のない場所を故障する原因にもなります。痛みが和らいだところで、アイシング、ストレッチをしっかりやって競技に復帰して下さい。成長期の子供は膝痛に限らず運動をやりすぎるとすぐに故障し、時に取り返しの使いないことになります。オスグッド病も代表的なやりすぎによる故障ですが、子供は頑張りすぎてしまうので周囲の大人がよく注意して下さい。

参考文献

ジュニア期のスポーツ障害と予防
著者 奥脇 透
2002年10月1日第1刷発行 少年写真新聞社