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体の不自由なこども達の運動について

スポーツ傷害Q&A

ここで述べる対象は脳性麻痺や二分脊椎などの疾患を持つこどもさんです。脳や脊髄からの運動の命令がうまく筋肉に伝わらないことが原因で手足が自由に動かせません。日常生活を送るためにいろいろな装具または車いす等を使用しています。成長に伴って体が硬くなりがちで、様々な整形外科的な問題が出現してくることがあります。今回は日常の診療でよく質問されることを中心にお話したいと思います。

Q)保育園に通う5才の女の子です。右の片麻痺で右足に装具をつけて生活しています。普段の活動でほとんど介助は要りません。運動会の練習や屋外の活動も他児と一緒に行っていますが、時々疲労感を訴えることがあります。どこまで頑張らせたらいいでしょうか?

A)麻痺があって足首の運動が行えず、装具をつけないとつま先立ちになるため装具が必要なこどもさんです。痙性と呼ばれる筋肉のつっぱりがあります。常に筋肉が活動しているため疲労しやすく、時には痛みを訴えることがあります。動かない関節を充分に動かしてあげることで筋肉の緊張が軽くなります。また精神的な緊張や能力以上の競技を行わせると筋肉の緊張が増します。麻痺の無い方の足で頑張るのでそちらの症状が出ることがあります。留意点としては、「疲れた」「足が痛い」などの自覚症状があるときは無理に頑張らせず休養させる。活動の内容によっては他児と同じ事ができないため、失敗体験を重ねることにつながることがあります。その子なりの目標設定を行い達成感を持たせる配慮が大切と思われます。

Q)普通小学校5年生の男の子です。病院でのリハビリの時は歩行器で歩行できるそうです。机などでつかまり立ちはできますが、日常生活は車いすで自立しています。学校生活での注意点を教えてください。

A)車いすで座っている姿勢が多いと、股関節・膝関節は常に曲がっていることが多くなります。小学5年生というと急激に身長の伸びる時期です。正常では筋肉と骨がバランス良く伸びていきますが、麻痺した筋肉の伸びが間に合わず、結果として関節が硬くなることがあります。また体重も増加していくため立位をとる機会が少なくなると筋力も衰え運動機能が低下する悪循環が起こってきます。
対策として休み時間などに車いすから降りて股関節・膝関節を伸ばす運動を行う。四つ這いなどで下肢を交互に動かす機能を維持する。つかまり立ちを積極的に行って重力に対抗する筋力を維持することが重要となります。