カテゴリー: 研究業績
Relationship Between Coronary Artery Calcium Score and Bleeding Events After Percutaneous Coronary Intervention in Chronic Coronary Syndrome
研究業績 | 2023.02.14.

慢性冠症候群患者における冠動脈石灰化と経皮的冠動脈形成術(PCI)後の出血イベントの関連は十分に確立されていません。今回、県立延岡病院で術前の冠動脈CT検査とPCI加療を行った患者を対象とし、石灰化スコアと臨床転機の関連を検討しました。Kaplan-Meier生存解析では、石灰化スコア高値群で出血イベントの発生率が高く、多変量Cox回帰分析により、石灰化スコア高値は、PCI後1年間の出血イベントの独立した規定因子であることが明らかとなりました。
Angiotensin II Induces Aortic Rupture and Dissection in Osteoprotegerin‐Deficient Mice
研究業績 | 2022.11.30.

骨代謝に重要な役割を担うRANKL (Receptor activator of nuclear factor kappaB ligand)とOPG(osteoprotegerin)が血管の構造にも影響することを示した論文です。昇圧ペプチドであるアンジオテンシンIIをOPG遺伝子欠損マウスに投与すると大動脈破裂により死亡する個体が多くみられました。OPGはデコイ受容体としてRANKLの破骨細胞の分化・成熟を抑制しますが、OPG欠損状態ではRANKLの過剰作用により血管壁の細胞外マトリックスが脆弱化して大動脈破裂に至ったと考えています。遺伝的にOPG欠損を示す若年性パジェット病患者に血管の構造異常(両側の巨大海綿静脈洞部の内頚動脈瘤)を示す例が報告されます。「骨」と「血管」を結ぶ研究です。
Aberrant expression of cardiac troponin-T in lung cancer tissues in association with pathological severity.
研究業績 | 2022.11.30.

心筋特異的トロポニンTの免疫活性が肺がん組織で検出されたとする報告です。血中トロポニンT濃度は心筋梗塞の診断に用いられますが、がん組織でもトロポニンTを産生する可能性があります。本研究では、進行した肺がん組織でのトロポニンT免疫活性の検出率が高くなりました。しかし、本研究ではトロポニンTの血中濃度を測定しておりません。がん細胞で検出されるトロポニンTの病態生理学的意義も不明です。「腫瘍循環器学」と呼ばれる新しい分野の研究のスタートです。
宮崎県、宮崎市における院外心肺停止のプレホスピタル・ケアの現状について、PLoS ONE誌に掲載されました
研究業績 | 2022.10.25.

私は、日本内科学会が主催するJapanese Medical Emergency Care Course (JMECC)【内科救急・Immediate Cardiac Life Support (ICLS)講習会】のインストラクターです。内科病棟で起こり得る急変時の対応や心肺停止時の蘇生法等、後進の指導を行っています。
本研究は、Basic Life Support (BLS)/ICLS講習会の場で知り合った救急救命士の濱畑貴晃氏、救急医の遠藤穣治氏と共に、2015年~2019年の宮崎市およびその近郊における院外心停止例1,686例の解析を行ったものです。救急車が現場へ到着するまでの一般市民の対応(プレホスピタル・ケア)が生命予後に大きく影響することが明らかとなりました。プレホスピタル・ケアを一層推進するためには、1)一般市民へ定期的な蘇生法訓練(BLS)の機会の企画、特に無関心層への教育の機会の作出、2)屋外へAED設置の普及が必要と考えます。また、本研究では九州8県間の院外心肺停止例の救命蘇生率や生存率を比較しています。宮崎県や宮崎市の今後の課題が浮かび上がります。