授業
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「免疫・生体防御学:Immunology」講義:医学部医学科2学年対象
○担当教員
感染症学講座免疫学分野 教授 佐藤克明
○教育目標
免疫学は急激に発展している学問領域であり、感染症・アレルギー・自己免疫病・移植・がんだけでなく、さまざまな炎症性疾患などにも深く関わっている。さらに、高齢化社会の加速により加齢に伴う感染症や免疫疾患の罹患率が上昇している。将来臨床医として必要不可欠な生体防御、免疫学の基本的知識、考え方を修得し、種々の疾患の病態の理解やその治療に役立てられるようにする。特に病原体に対する生体防御、免疫系の過剰反応や破綻による免疫疾患、がんに対する免疫応答を理解するのに必要不可欠な免疫学的基礎知識の習得を目指す。
この科目はディプロマポリシーに掲げる「生命科学に関する知識の理解」、「臨床医学に関する知識の理解」を養う。
○講義の概要
免疫学の各論の講義前に免疫系の構成要素、生体防御の基本の理解を目指す。その上で免疫学の各論を系統的に講義する。免疫学の系統講義では特に自然免疫系と適応免疫系、感染免疫、免疫疾患、がん免疫の基本の理解を目的とし、そのために必要な基礎的事柄を順次講義していく。
○評価の方法
全ての講義の出席確認を取る。筆記試験(本試および再試)により評価を行う。講義の出席率が3分の2以下のものは、特別の事情がない限り筆記試験の受験資格を失う。
○学習上の注意
免疫学の理解を助けるために、参考書を講義開始後できるだけ早い段階(10月中)で通読することを求める。
感染症学講座免疫学分野ホームページの【学生へのお知らせ】にて免疫・生体防御学講義資料電子版(PDFファイル)をパスワード入力(xxxxxxx)後にダウンロード可能。パスワードは講義中に知らせる。講義の前日には免疫・生体防御学講義資料に目を通して、講義に臨むこと。
感染症学講座免疫学分野ホームページの【学生へのお知らせ】にて免疫・生体防御学問題集(PDFファイル)をパスワード入力(xxxxxxx)後にダウンロード可能。パスワードは講義中に知らせる。講義終了後、項目に従って、免疫・生体防御学問題集を用いて復習する。試験問題は免疫・生体防御学問題集から出題される予定である。
○教科書
【書名】『エッセンシャル免疫学 第4版』
【著者・編者等】平野俊夫、村上正晃 監訳
【発行所】メディカル・サイエンス・インターナショナル
【価格】7,150円
○授業計画
第1回 免疫系の構成要素(佐藤克明)
・免疫系の構成要素である免疫担当細胞と分子の種類と機能を理解する。
第2回 免疫系の生体防御における役割、抗体の構造とB細胞の多様性(佐藤克明)
・自然免疫と適応免疫の協調による生体防御のしくみ、B細胞の産生する抗体の構造と機能を理解する。
第3回 T細胞による抗原の認識(佐藤克明)
・T細胞による抗原の認識機構、抗原提示機構、MHC分子の機能を理解する。
第4回 B細胞の分化(佐藤克明)
・B細胞の分化段階と機能を理解する。
第5回 T細胞の分化(佐藤克明)
・T細胞の胸腺内分化の機構を理解する。
第6回 T細胞を介する免疫系(佐藤克明)
・機能的T細胞の種類とこれによる免疫反応の調節機構を理解する。
第7回 B細胞と抗体による免疫応答(佐藤克明)
・B細胞と抗体、補体による免疫反応の調節機構を理解する。
第8回 感染に対する生体防御(佐藤克明)
・微生物感染に対する自然免疫と適応免疫による生体防御機構を理解する。
第9回 生体防御機構の破綻(佐藤克明)
・先天性免疫不全症候群の種類、原因、症例とともに微生物感染などによる続発性(後天性)の免疫不全の機構を理解する。
第10回 免疫系における過剰反応(佐藤克明)
・過敏反応(アレルギー反応)の種類、原因、症例を理解する。
第11回 免疫応答における正常組織の破壊(佐藤克明)
・臓器特異的および全身性自己免疫疾患の種類、原因、症例を理解する。
第12回 免疫応答を利用した疾患の予防(佐藤克明)
・ワクチンの種類と作用、移植拒絶反応の機構と制御を理解する。
第13回 がんに対する免疫応答(佐藤克明)
・がんに対する免疫応答を理解する。