私は宮崎大学すずかけ太鼓部の顧問をしております。すずかけ太鼓部は主に6月の音楽祭、11月の学園祭である清花際で活動をしております。その他に清武の夏祭りに参加し、地域住民の方とのふれあい、また、昨年は宮崎大学創設50周年の祝賀会においても代表作である『大地の響き』を演奏させて頂きました。私も音楽祭は毎年見学させて頂き、清花際、清武のお祭りでの彼らの活動は時々参加しています。
宮崎大学のどの部活動も熱心に取り組み、学業を学生の本分としながらも、青春時代における情熱を部活動にぶつけ、自らの情操教育にもなっていると私はいつも感じています。彼らにあった時の礼儀正しさは折に触れて紹介いたしますが、社会人になった時にも十分通用する礼節行為であると常々感じています。
本日は医学部医学科日髙想大君に同意を得て登場して頂きます。日髙君には①宮崎、宮崎大学の良さについて ②すずかけ太鼓部でどんな事を学んだか ③どんな社会人になりたいかをお聞きしました。
①宮崎、宮崎大学の良さについて 私の考える宮﨑、そして宮﨑大学の良さは、一言でいうと「優しさ」だと思います。自然が豊かで落ち着いた環境が広がっており、都会と比べてゆったりとした雰囲気の中で生活できることが大きな魅力です。
また、「地域のきずな」の強さも宮﨑の大きな特徴だと感じています。私が卒業した鏡洲小学校(宮崎大学の近く)は山の中にある全校児童約20名の小さな学校で、運動会や文化祭は準備から当日の運営、そして打ち上げまで地域の方々と一緒に行っていました。
さらに、すずかけ太鼓でも、普段練習場所として体育館を使わせていただいている内海小学校の発表会に参加し、地域の方々の前で演奏する機会がありました。
このように行事や学校活動を地域全体で支え合うことから、宮﨑の温かさや優しさを強く感じています。

②すずかけ太鼓部でどんなことを学んだか
私がすずかけ太鼓部で得た最も大きな学びは、「チームで高め合う姿勢」です。大学入学前まではソフトテニスや陸上など、個人競技に近い部活動に取り組んでおり、団体で活動する経験はほとんどありませんでした。
すずかけ太鼓では、中3(曲のリーダー)やパートリーダーを中心に、1チーム10〜20人ほどで互いに教え合いながら、6月の音楽祭や11月の学祭に向けて、3つのグループに分かれて約2か月間練習します。同じ場所・同じ時間帯で3チームが同時に練習するため、自分のチーム以外の様子も自然と目に入ります。練習中や休憩時間には、他チームの良い点や改善点をチャットで伝えたり、直接アドバイスをし合ったりします。
自分たちのチームだけでなく、他のチームとも助け合いながら部全体として高めあう、そんな一体感がすずかけ太鼓部の最大の魅力であると感じています。

③どんな社会人になりたいか
私は、優しくて頼りになる医師になりたいと考えています。医師を志したきっかけは、両親が医療関係の仕事に就いており、人の命を救うという行為に小さい頃から憧れを抱いていたことです。中学生の頃、同級生のお父さんが救急医をされており、その方のお話を聞くうちに、医師という職業に強く惹かれるようになりました。
高校生活や浪人生活を通して何度も「どんな医師になりたいか」を考える中で、今は、患者さんに真摯に向き合い、思いやりを持って寄り添い、困った時には頼りにしてもらえる、そんなお医者さんになりたいと思っています。
以下 顧問 桂木の感想です。
日髙想大君は鏡水小学校出身なのですね。すずかけ太鼓部に入ってからも近隣の内海小学校と連携したりと、自身の育った地域の皆さんと交流できて素晴らしいことですね。
鏡水出身で浪人しながらも『優しくて頼りになる医師』を目指す日髙君は地元の誇りだと思います。宮崎大学医学部のスローガンは『地域から世界へ』ですが、日髙想大君は鏡水の地域から宮崎大学医学部に進学し、これから全国で活躍する医師になる事と思います。もちろんたゆまぬ医学の勉強と技術の向上、患者さまに対する態度というものは医師の3本柱として必要です。それに加えて医療を行う上ではチーム制というものがあります。
例え開業医であってもそれは医師会や、近隣の病院、身近で働く看護師、薬剤師、ひいては家族の支えも必要でチーム医療を行っています。すずかけ太鼓部ではその根幹となる、『仲間と支えあう精神』を学んできたと書かれており、大変頼もしい存在であると思います。
すずかけ太鼓の練習風景の中に、『3チーム合同で練習し、お互い気づく点をチャットで連絡しあったり、伝えあったり』という部分がありました。この部分が将来社会人として生きていく上でとても重要な部分だと思います。『共に生きる』、という姿勢、大げさな事ではなく、すずかけ太鼓の皆さんは3チームが『共に輝く』ためにお互いを鼓舞しあい、高めあっている事が良く分かります。
問題点を指摘しあい、明日の課題とし、本番までに立て直す。医療もこの連続です。どの診療所、どの診療科もそれぞれ問題点を抱えています。それを指摘しあい、乗り越えてこそ、『優しく頼りになる病院』が地域の皆様に提供できるのだと思っています。
私も宮崎大学産婦人科教授として、宮崎県の産婦人科診療を牽引する立場にあり、さまざまな困難にぶつかる事もあります。そんな時に医局長や、周囲の医師、看護師さん、または友人、家族など多くの方の意見が支えになっています。
実際の医療現場としては、人間関係が働きやすく、自身のやりがいのある職場が求められています。私自身も『優しく頼りになる医療者』が働きやすく、実力を発揮できる職場環境を提供できるように頑張っていきたいと思います。



