Research

研究概要

私たちの講座では、動脈硬化、動脈血栓症(Atherothrombosis)、静脈血栓塞栓症、そして産科疾患における血栓症・止血異常の病態を中心に研究しています。

血栓症とは、血液の塊(血栓)によって引き起こされる疾患の総称です。血栓は動脈、静脈、心臓、さらには微小循環系など、心血管系のあらゆる部位で形成され得ます。動脈血栓はしばしば破綻した動脈硬化病変の上に形成され、心筋梗塞や虚血性脳卒中などの原因となります。一方、静脈血栓は下肢に発生することが多く、肺血栓塞栓症の主な原因となります。このように血栓は重篤な合併症を引き起こし、ときに致死的となります。

しかし、血栓の形成・進展メカニズムは未だ十分に解明されていません。なぜなら、この過程には血管壁の構造、局所の血流特性(血流レオロジー)、全身的な血栓傾向、さらに免疫反応や炎症反応など、多くの因子が複雑に関与しているためです。

これらの病態や疾患については、これまで多くの基礎・臨床研究が行われてきました。しかし、人体病理を基盤とし、血栓・止血を専門的に研究する研究室は依然として稀です。当講座は開設以来、一貫して循環器および血栓止血領域の研究を続けています。

現在、私たちは人体病理・実験病理の手法を用いて、以下の課題に取り組んでいます。

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研究 Topic

  • 血栓症の病理

  • 血栓形成のメカニズム

  • 動脈硬化の発症および動脈硬化プラークの血栓形成能

  • 動脈硬化および血栓症の画像診断

  • がん関連血栓症および出血

  • 産科疾患における血栓症と止血


研究手法

  • 組織学的解析

  • ウサギを用いた動脈硬化・血栓症モデル

  • 血流チャンバー法

  • 細胞培養

  • 画像解析法


代表的な総説論文(当講座の研究内容がサマライズされています)

  1. Yamashita A, Gi T, Sato Y. Histological differences among thrombi in thrombotic diseases.
    Curr Opin Hematol. 2025;32:146-156. doi: 10.1097/MOH.0000000000000860.
  2. 魏 峻洸. がん関連静脈血栓塞栓における血栓内がん細胞の存在.
    日本血栓止血学会誌. 2024;35: 512-521. doi: 10.2491/jjsth.35.512.
  3. Yamashita A, Asada Y. Underlying mechanisms of thrombus formation/growth in atherothrombosis and deep vein thrombosis.
    Pathol Int. 2023;73:65-80. doi: 10.1111/pin.13305.
  4. Asada Y, Yamashita A, Sato Y, Hatakeyama K. Pathophysiology of atherothrombosis: Mechanisms of thrombus formation on disrupted atherosclerotic plaques.
    Pathol Int. 2020;70:309-322. doi: 10.1111/pin.12921.